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第3世代携帯の競争第2幕へ:復活模索ボーダフォン-各社正念場(下)

KDDI、ドコモの陰に隠れてボーダフォン は元気がない。カメラ付携帯電話で一時期シェアを伸ばしたが、他の2社がカ メラ付機種の品揃えを充実させていく過程で優位性が薄れていった。第3世代 (3G)携帯電話「ボーダフォングローバルスタンダード」の契約数は9万3200 人(昨年11月末)に過ぎない。

ボーダフォンを傘下に置く日本テレコムホールディングス(HD)は昨年 12月9日付で、ボーダフォン日本法人のダリル・グリーン社長(43)を新社長 に据えた。翌10日には社名を「ボーダフォンホールディングス」に変更、本店 所在地もボーダフォン日本法人本社がある東京都港区に移した。

一連の変更により、英ボーダフォンは名実ともに日本で携帯電話事業に経 営資源を集中させる体制を整えた。グリーン社長はブルームバーグのインタビ ューで、2004年以降の事業展開について「本当の3G携帯の特徴を生かしたサ ービスを手掛ける」と述べ、ゲームをはじめとする非音声分野で新しいコンテ ンツを投入してシェア回復を目指す意向を示した。

契約数の伸び悩みについては「企業でも自然でも季節がある。現在は種を 蒔く『春』である」として、現在は2004年以降の巻き返しを目指した基盤整備 の時期と位置付けた。インタビューでは、携帯電話加入者数のシェアを2010年 までに30%に引き上げる計画も明らかにした。

ボーダフォンの強みの1つは親会社の経営資源を活用して手持ちの携帯電 話が海外でもそのまま使える点。復活への具体策は依然見えにくいが、日本語 を流暢に操り、事業会社で最も若いグリーン社長の下で、英国本社の経営資源 を活用しながら3G携帯を通じて復活を模索するボーダフォンの取り組みが始 まった。

大和総研の森行真司・企業調査第三部アナリストは、ボーダフォンについ て「携帯電話端末の数量効果をはじめ、親会社との連携効果をどれだけ出せる かがポイントになる」と指摘した。

再編・整理進む-ツーカー、PHS、ポケベル

3G携帯をめぐり熾烈な戦いが繰り広げられる一方で、再編・整理や縮小 が進む移動体通信事業もある。折に触れて話題になるのがKDDIの携帯電話 ブランドの「ツーカー」とPHS(簡易型携帯電話)の「DDIポケット」。K DDIはauに経営資源を集中させる狙いから、2つの事業ともに「売却する ことも経営の選択肢に入れている」(小野寺正社長)。

ツーカー売却の決め手は最終的には価格になるが、現状でツーカーを売却 した場合、「最終的にはボーダフォンの手に落ちる可能性は否定できない」(ア イエヌジー証券の早川仁・調査部アナリスト)。現状のままボーダフォンがツー カーを手に入れると携帯電話のシェアでKDDIを逆転しかねず、小野寺社長 は難しい選択を迫られている。

DDIポケットと同様に、PHS事業についてはドコモも通話用を縮小す る方針。FOMAの性能向上で、通話用PHSの存在意義がなくなってきたか らだ。KDDIのWINやドコモのFOMAが普及すればするほど、音声用P HS事業の収益性は失われていく。

同様に、若者を中心に一世を風靡(ふうび)したポケットベルも携帯電話 の普及とともに利用者が減少基調をたどっている。ポケベルの契約者は96年6 月の1077万人をピークに減り続け、昨年11月末では85万人にまで減少。携帯 電話の広がり、料金の引き下げでポケベル離れも進んでいる。

ポケベルは現在、医師や消防士といった限られた分野でのニーズはあるが、 携帯電話の機能向上でそれが消えるのも時間の問題だ。ドコモはすでにポケベ ル(ブランド名クイックキャスト)について、代替手段の提供や顧客の理解を 前提にサービスを停止する方針を固めている。

クレジットカードや定期の機能も

ソニーとドコモは1月下旬、合弁会社「フェリカネットワークス」を設立 する。ソニーが開発した非接触型ICカード技術「フェリカ」と携帯電話の機 能を融合させる技術を開発していく。ドコモは2004年度中にこの技術を搭載し た携帯電話を発売する予定。

フェリカは現在、電子マネー「エディ」としてコンビニエンスストア「a m/pm」で支払いに使用できるほか、東日本旅客鉄道(JR東日本)のIC 定期券「スイカ」として、かざすだけで改札を通過できる。ドコモはこのフェ リカを進化させてクレジットカードや電子チケットといった機能を携帯電話に 持たせることを考えている。KDDIもクレジットカード携帯を年後半には実 用化する計画で、定期券機能の携帯電話への搭載も視野に入っている。

こうした機能やコンテンツ強化は、携帯電話の普及を後押しするうえ、各 社の収入を側面からサポートする。人口普及率が6割を超えて成熟しつつある 携帯電話市場について、携帯各社が強気の見通しを維持する背景は、この用途 の拡大にある。

「ガリバー」といわれたドコモのシェアは最盛期でほぼ6割に達したが、 KDDIを中心とする追い上げから、じりじりと低下している。こうしたなか で自動車電話から四半世紀目に当たる2004年が始まり、3G携帯で新たな競争 の幕が開ける。

KDDIの小野寺社長は3G携帯WINについて、顧客がどのような反応 を示すのか、「立ち上がり1、2カ月を見れば大体分かる」と語っている。ドコ モの新型FOMAが登場する2004年の前半は携帯電話各社にとって正念場にな る。

--*東京 上野 英治郎 Eijiro Ueno (813)3201-8841 e.ueno@bloomberg.net Editor : Okubo

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