石油各社の円高影響:新日石は在庫評価で減益要因-原油価格も左右

昨年12月に円ドル相場が一時1ドル=106円台と、 3年3カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けるなど、外国為替市場では円高・ドル安が進 んでいる。自動車や電気など輸出企業にとっては収益への悪影響が懸念されるが、原油 を海外から輸入する石油各社への影響はどうか。円高・ドル安は調達コストが低下する ため収益を押し上げるのが通常だが、在庫評価の影響や原油価格との絡みもあり必ずし もそうではないようだ。

新日本石油は04年3月期の下期の想定為替レートを1ドル120円から110円へと変 更した結果、原油在庫の評価損が80億円拡大した。同社は原油在庫の評価方法に期中に 仕入れた在庫価格に期初に抱えた在庫を加えたものを平均する総平均法を用いている。 期初に安値在庫を抱えていれば、期中に仕入れた原油価格が上昇した場合には総平均法 では全体の取得原価を押し下げ、収益増につながる。

ただ今期は期初に高値在庫を抱えていたため、期中に仕入れた原油価格が安ければ 逆に取得原価を押し上げ在庫評価損が膨らむことになる。下期は想定原油価格を1バレ ル当たり25ドルから26.40ドルに引き上げたものの、円高影響のほうが強いため「今期 は円高の影響で在庫損が膨らみ、業績にはマイナスとなる」(新日石の一色誠一・経理部 長)。

コスモ石油の場合、1バレル当たり1ドルの原油価格の上昇に対して、5円の円高 で調達コストが相殺されるという。例えば、為替相場で1ドル110円から105円へと円 高が進んだ場合でも、原油価格が25ドルから26ドルへと1ドル上昇すれば調達コスト に変化はない計算となる。03年9月期の為替相場は前年同期と比べ約5.9円円高に進ん だが、原油価格が24.85ドルから26.52ドルと1.67ドル上昇したため「円高でもコスト アップ要因となった」(森川桂造常務)。

一方、ジャパンエナジーを傘下に持つ新日鉱ホールディングスでは、電子材料や金 属精錬など輸出事業を手掛ける日鉱マテリアルズや日鉱金属を傘下に置いているため「全 体では10円の円高で40億円程度の減益要因になる」(企画管理グループの杉内清信シニ アオフィサー)という。

石油各社は月ごとに原油価格と為替相場の変動によるコスト負担を石油製品に価格 転嫁するようにしている。それでも、新日石の株価推移と円・ドル相場の推移を比較して みると、為替相場が円高に進む局面では新日石株が上昇し、逆に円安となった場合には 株価は下落するという相関関係を示している。円高が進行すると原油調達コストが軽減 し、収益拡大期待から投資資金が石油株に向かう傾向はあるが、みずほインベスターズ 証券の河内宏文アナリストは「在庫評価の影響や原油価格を考えると円高だからといって 収益増につながるとの判断は簡単には下せない」と指摘している。

--*東京 鈴木 偉知郎 Ichiro Suzuki (81)(3)3201-8594 isuzuki@bloomberg.net Editor:Abe

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