サムスン:04年末までに負債ほぼゼロへ-余剰資金で株主価値向上(3)

韓国の家電最大手サムスン電子は、債務返済を 進め、2004年末にも負債額をほぼゼロにする方針だ。朱尤湜常務が13日、都内で開 催した三菱証券主催の投資家説明会で明らかにした。9月末の有利子負債額は約10億 米ドル(約1000億円)。負債を減らしたうえで、株主価値の向上に努める。

同社はこれまで、一定の負債を維持したほうが節税効果があるとしていたが、同 常務は「サムスンの経営陣は、無借金経営を標ぼうしている」と言明。株主重視の姿勢 を強調した。

同常務によると、04年末のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は100億ド ルに上る可能性もあり、「今後、フリーキャッシュフローは自己株買いや消却、配当の 支払いを中心とする株主価値の向上に充当する」方針という。今年もすでに約20億ド ルの自己株消却を実施しながら、9月末で約60億ドルのフリーキャッシュフローを確 保した。

説明会に参加したオプティマル・ファンド・マネジメントの前田宏インベストメ ント・マネジャーは、「サムスン電子は保有銘柄に加えなければならないほどの大企業 になっている。日本企業が復活するかどうかには不安が残るが、サムスンについては自 信が持てる。業績も良かった」と述べた。

「このうえなく順調」

朱常務はこの日、同社の業績好調ぶりを強調。特に「携帯電話事業は非常に順調 だ」と述べた。中級から高級機種に注力している同事業の営業利益率は20%を上回っ ており、売り上げも、今年から欧州やアジアで主流のGSM方式の携帯電話端末市場に 本格参入したことで、業界を上回る伸びを維持している。今年の携帯電話出荷台数は前 年比30%増の5500万台を見込む。世界市場は同11%増の4億6000万台に拡大する と予想している。来年以降のサービス開始が予定されている第3世代携帯電話について も、英国で通信事業者から受注を獲得しているという。

液晶パネル事業は、台湾勢の大型工場の本格稼働が遅れていることに加え、液晶 テレビやノート型パソコン、携帯電話向けの需要がおう盛で、今年は供給過剰感もあま りなかったことが好業績に寄与している。来年は「特に後半は若干の供給過剰に陥る可 能性もあるが、液晶テレビ市場が急成長を続ければ、それほど深刻な事態にはならな い」(朱常務)見通しだ。同社は先月、1メートル角級のガラス基板を投入できる最新 の第5世代工場で2番目のラインの本格稼働を開始した。1番目の生産ラインも月産能 力を4月の4万枚から7月までに10万枚に増強しており、05年前半にはソニーと共 同で建設する最先端の第7世代工場で生産を開始する計画だ。

薄型テレビ事業では、米国で発売した世界最大の70インチ型のプラズマテレビ と54インチ型の液晶テレビが2万ドル以上するにもかかわらず、「飛ぶように売れて いて、生産が追いつかない」(同)という。同社では薄型テレビの販売を今年、前年比 4、5倍に伸ばす見込みで、ここでも市場を上回る成長を確保する。

半導体はSOC、デジタル家電向けシステムLSIに注力

主力の半導体事業は、NAND型フラッシュメモリー(電気的に一括消去・再書 き込み可能な読み出しメモリー)が好調で高収益を維持している。同部品は同社のほか 東芝や米サンディスクに参入企業が限られていることもあり、サムスンの半導体事業の 営業利益の約40%を稼ぎ出している。同常務は「DRAM(記憶保持動作が必要な随 時書き込み読み出しメモリー)の生産を減らし、フラッシュメモリーを増産することも できたが、長期的な視野に立って、そうはしなかった」と述べた。

最先端の300ミリウエハーを投入できる半導体工場は、第12ラインの生産能力 を月産1万5000枚から今後半年前後で同4万枚に引き上げる予定で、年末には独イン フィニオンを上回り、最大の供給能力を持つことになるという。同社の第11ラインの 月産能力は1万枚で、来年には次の生産ラインを設置するための投資を開始する。既存 工場では、256メガバイトと512メガバイトのDDR-DRAM、2ギガバイトのN AND型フラッシュメモリーを生産している。

2003年から本格的に供給開始したNOR型フラッシュメモリーは、128メガバ イト製品換算で生産を前年比15倍以上の4100万個に増やし、市場シェアも02年の 1%から5%程度まで伸ばす見通しだ。同製品は携帯電話最大手ノキアや自社の携帯電 話事業部門などに供給している。

半導体事業では、液晶ドライバー、ICカード、デジタルカメラなどに使われる イメージセンサー、通信用回路などに力を入れてきた。今後は半導体の小型・軽量化、 高機能化を可能にするシステム・オン・チップ(SOC)技術やデジタル家電用のシス テムLSI(大規模集積回路)を強化する。

同社の7-9月期の連結純利益は前年同期比6%増の1兆8400億ウォン(約 1700億円)、売上高は同15%増の11兆2600億円に上った。

サムスン電子の株価終値は前日比7000ウォン(1.5%)高の47万7000ウォン。

--*東京 鈴木 恭子 Kyoko Suzuki(813)3201-8868

デスモンド・ハットン Desmond Hutton

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