, コンテンツにスキップする
Subscriber Only

新生銀の八城社長:IT活用でリテール黒字達成-「次の一手」自信(2)

株式再上場を目指す新生銀行(旧日本長期 信用銀行)の八城政基社長はこのほどブルームバーグ・ニュースのインタビュ ーで、経営者が求めているものを明確にすれば情報技術(IT)は新事業を生 み出す有力な武器になるとの考えを示した。同銀がITを活用して参入した個 人金融事業(リテール)はこの第2四半期(7-9月)に単月黒字を達成した。 同社長の陣頭指揮で新生銀はIT戦略に基づく「次の一手」を準備している。

新生銀行での3年半の経験を踏まえて八城社長は、ITを活用するうえで は「何がしたいかが重要である」と指摘、こうしたビジョンやそれを実現する 手段であるビジネスモデルをシステム担当や開発者に話して、全員で問題解決 にあたるべきと強調した。

リテールと投資銀行(インベストメント・バンキング)を新たに新生銀行 の中核事業に据えた八城社長は、シティバンクで一緒に仕事をしたシステム担 当のジェイ・デュイベディ氏(執行役員金融インフラ部門長)を重用した。リ テール導入に際して旧長銀のシステムは役に立たなかった。

デュイベディ氏らの下でリテールは、シティコープがインドにつくったシ ステム会社が銀行用に開発したソフトを採用した。設計、デザイン、構築のほ か管理も自ら手掛けた。新生銀行のリテールシステムは大型のメインフレーム も持たない。八城社長はインタビューで「もともとシステム構築にほとんど金 がかかっていない」とリテールシステムの特徴を強調した。

リテール事業、7-9月で黒字達成の月も

この自社システムを武器に新生銀行は、2001年6月にリテールに参入した。 ITを活用した低コストでのシステムは、24時間365日いつでもどこでも0円 で使える現金自動預け払い機(ATM)を可能にした。郵便局やアイワイバン ク銀行の提携ATMでも、利用可能時間内ならば無料で使用できる。さらに電 話問い合わせのコールセンターも24時間稼働させている。

こうした従来の大手金融機関に無いサービスが奏功して、リテール事業は 順調に個人顧客を獲得、この7-9月に入り単月では黒字を達成するまでに急 拡大、成長した。リテール口座「パワーフレックス」はサービス開始から9月 末までの2年3カ月間で46万口座まで増加した。ATMの24時間稼働は、大手金 融機関ではようやくUFJ銀行が9月下旬から始めた。

ITを活用した「次ぎの一手」について八城社長はインタビューで「それ は言えない。企業秘密だ」と自身たっぷりに語った。2週間に1度は目黒のシ ステムセンターに足を運ぶ。システムの話は担当者から直接聞く八城社長は最 近、現在使用しているマイクロソフトのウィンドウズとリナックスの違いを検 証した。システムに寄せる思い、期待は強く、システムに事業機会を見いだす 目は鋭い。

ITを活用した例としてはこのほか、インターネットの技術やインフラを活用した IP電話がある。通話中でも通信回線を占有しないIP電話は、距離に比例した料金は 一般的に発生しない。同一事業者に加入している使用者同士の通話では固定料金のみで 通話ごとの課金もない場合が多い。

インベストメント・バンキングについては、2000年7月から欧米の投資銀 行を中心に外部から人材を招いて体制を整えた。この分野では最新の知識と豊 かな経験を持った人材が不可欠だからだ。

この新しく導入したリテール、インベストメント・バンキングに、伝統的 な企業向け貸し付け業務を加えたものが、新生銀行の収益の3本柱になった。 2004年3月期の連結純利益は、前期比23%増の650億円を予想しており、順調 に利益も確保している。

株式再上場について八城社長は5月の記者会見で、2004年の1-3月中に 達成したいとの意向を示している。ITを武器に形作ったリテール、外部人材 を登用したインベストメント・バンキング、さらに従来の貸し付け業務という 収益構造が実を結びつつあるなかで、大きな目標の1つである再上場も視野も 入ってきている。

八城社長は、エッソ石油(現エクソンモービル)社長やシティバンク在日 代表などを歴任、米投資会社リップルウッド・ホールディングスの要請でリッ プルが買収した旧日本長期信用銀行の会長兼社長に2000年3月就任した。旧長 銀は同年6月5日、行名を新生銀行に変更した。

--*東京 上野 英治郎 Eijiro Ueno (813)3201-8841 e.ueno@bloomberg.net Editor : Okubo

企業ニュース:JBN18

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE