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米リップル:日本テレコム固定電話を2613億円で買収-首脳探しへ(5)

日本での企業買収を進める米投資会社リッ プルウッド・ホールディングスは、日本テレコムホールディングス(HD)の 固定電話部門、日本テレコムを買収する。総額2613億円で日本テレコムの全株 式を取得、経営陣を送り込んで事業を立て直し、事業拡大が期待できるデータ 通信を中心に日本の通信市場に参入する。ボーダフォンはJ-フォンによる携 帯電話事業に経営資源を集中する。

米リップル、ボーダフォン、日本テレコムHDが21日発表したところによ ると、リップルは今年12月までに日本テレコムの全株式99万9000株をボーダ フォン傘下の日本テレコムHDから取得する。日本テレコムのウィリアム・モ ロー社長は新社長就任まで続投する。リップルは新たに取締役を送り込む。リ ップルのメール・ギルモア元モトローラ副社長らが経営をアドバイスする。

リップルはモロー社長の後任として社長職を務める人材を探す。また、会 長に相当する首脳も同時に選定し、経営首脳を刷新する。モロー社長は最終的 にボーダフォンに戻る見込み。

自己資金325億円、日本テレコムHD325億円、借入2000億円、

買収資金2613億円については投資ファンドを設立、金融機関11行が融資 する。日本テレコムHDは2288億円を現金で、325億円分を償還型優先株式で 受け取り、少なくとも来年7月まで同株式を保有する。受け取り資金は連結負 債の削減に充てる。日本テレコムHD側によると、今回の売却によって発生す る売却損を今年度決算に計上、それに伴い業績予想を修正する見通し。

買収資金の内訳は、2000億円弱が銀行借り入れ、325億円がリップル自身 の自己資金、325億円が日本テレコムHDからの優先株になる。

資金の金融機関の部分については、みずほコーポレート銀行、三井住友銀 行、東京三菱銀行、農林中央銀行、UFJ銀行の邦銀のほか、ABNアムロ証 券、シティバンク、クレディ・リヨネ銀行、INGバンク、J.P.モルガン・ チェース銀行、ウェストLB証券の外国勢がシンジケートローン(協調融資) を提供する。

リップルは新生銀行(旧日本長期信用銀行)、コロムビアミュージックエン タテインメント(旧日本コロムビア)、宮崎県のリゾート施設シーガイア、旭テ ックを傘下に収めたほか、日本で通信分野にも事業を拡大することになる。

ボーダフォンは固定電話部門の主導権をリップルに手渡すことで、携帯電 話部門J-フォンに日本での経営資源を集中させる。J-フォンは10月からブ ランドをボーダフォンに変更することを5月末に発表している。最終的には日 本テレコムHDと合併する可能性がある。

日本テレコムは、英ブリティッシュ・テレコム(BT)と米AT&Tの2 社と1999年に資本提携、その後この2社の持ち株が移動する形でボーダフォン の傘下に入った。さらに今回リップルウッドに経営権が移る。リップルは日本 の通信市場で、NTTグループのほか、KDDIに対抗していく。

今回のリップル側のファイナンシャル・アドバイザーは、みずほコーポレ ート銀行、東京三菱銀行、三井住友銀行、シティグループ、J.P.モルガン証 券、ゴールドマン・サックス証券だった。ボーダフォンと日本テレコムHDの ファイナンシャル・アドバイザーはUBS。

リップルの撤退戦略は、次はツーカー買収の見方も

アイエヌジー証券の早川仁アナリストは、リップルについて「一番重要な のはイグジットストラテジー(撤退戦略)」と指摘、買収後どのよに日本テレコ ムを立て直し、売却などで利益を確定するかがポイントと分析している。イグ ジットストラテジーの例としては資産や事業の分割・譲渡や株式上場を挙げた。

また、イグジットストラテジーのなかでは、固定電話部門である日本テレ コムの価値を高めるため、「KDDIの移動体通信事業体の1つであるツーカー を買収することは意味あること」と述べ、リップルの今後の買収先としてツー カーが候補になる可能性を示した。

KDDIの小野寺正社長は6月24日の株主総会で、「ツーカー問題につい ては再検討する時期が当然くる」と述べ、将来的に事業の在り方を含めて考え る意向を表明した。KDDIの携帯事業の主力ブランドはau。

日本テレコムHDの株主価値について早川氏は、今回の基本的には中立と しながら、「日本テレコムが上場するまで株式を持ち続ければ売却益は期待で きる」と予測している。日本テレコムをめぐっては、東京電力が買い手として 名乗りを上げて交渉を重ねたが、買収額で折り合わず断念していた。

日本テレコムは資本金499億5000万円、発行済み株式は99万9000株、総 資産(3月末)は5273億円、ウィリアム・ティー・モロー社長。2003年3月期 決算は、売上高が2.2%減の3401億円、当期損益は157億円の黒字(前の期は 770億円の赤字)。

日本テレコムHDの株価終値は、前日比3000円(0.8%)高の36万8000 円。日本テレコムをめぐっては、「2月以降に観測報道が流れる過程で日本テレ コムHDの株価に織り込まれている」(早川氏)と市場は判断している。

東京 上野 英治郎 Eijiro Ueno --* (03) 3201-8841 e.ueno@bloomberg.net Editor :Okubo

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