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携帯向け衛星放送会社、ウィンテルに出資要請へ-世界標準技術目指す

携帯端末で映像や音声を視聴できる衛星テ レビ事業の準備会社であるモバイル放送(東京都中央区)は、米マイクロソフト とインテルに出資を要請することを検討している。日本発の携帯テレビ技術を世 界に普及させるため、ソフトや半導体技術で提携したい考えだ。6月に同社社長 に就任したモバイル放送の溝口哲也氏が18日までにブルームバーグ・ニュース に明らかにした。

モバイル放送は、携帯端末や車載機器向け衛星放送事業を行うために東芝や トヨタ自動車、富士通などが1998年に共同出資で設立した。2004年にニュース や音楽専用番組など約70チャンネルの放送を開始する予定。溝口社長は東芝時 代にノートパソコン「ダイナブック」シリーズを製品化した経験を踏まえ、「ノ ートパソコンがパソコンを持ち運べる携帯機器に転換したように、テレビを携帯 機器にすることで新たな需要を開拓できる」と予想、事業化に自信を示している。

携帯端末向け衛星放送は、放送衛星(BS)や通信衛星(CS)を利用する 現行のデジタル衛星放送よりも強い電波を出力するため、小型のアンテナで受信 でき、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器にテレビ機能を搭載可能。

携帯電話市場の飽和により新サービスを取り込みたい通信事業者がテレビ対 応端末の投入を検討しており、同端末向け放送の送信には、「基地局を多数設置 するのに多額な費用が必要な地上波デジタル放送よりも、低コストの衛星配信の ほうが圧倒的に有利」(同社長)だ。

韓国SKテレコムが衛星費用の3分の1負担

海外からも注目されており、同社第2位の株主である韓国の携帯電話事業者 最大手SKテレコムが主体となって衛星を共同利用する形で韓国でもサービスを 提供する予定。専用衛星本体および打ち上げなどの初期費用250億円のうち3分 の1をSKテレコムが負担することがこのほど決まった。中国の衛星放送事業者 も関心を示している。同社長は「世界に普及させるには、マイクロソフトと基本 ソフト(OS)技術、インテルと受信用システムLSI(大規模集積回路)技術 で協力関係を築くことが必要であり、そのためにも出資を要請したい」と述べ、 資本提携を働きかける意向を明らかにした。

同社の資本金は現在309億円。今秋にも40億-50億円を増資する予定で、 来年にはマイクロソフトやインテルからの出資分を含め、400億円以上に資本金 を増額したい考えだ。早期に単年度で黒字化を達成し、その後株式を上場する方 針だ。

来春予定のサービス開始時期は微妙

ただ、事業を軌道に乗せるには課題も多い。同社は今年7月末に総務省から 放送免許を取得して来春サービスを開始する計画だが、「サービスの品質を高め るため実証実験を慎重に進める」(溝口社長)ことにしており、スタートが春以 降にずれ込む可能性もある。

現在は既存の通信衛星を利用して新幹線や高速道路のトンネル内、東京都内 のビルの陰での受信実験を行っているが、10月に専用衛星を打ち上げた後、画 像が場所、時間を問わず安定的に受信できるか実験を繰り返すことにしている。 衛星から直接電波を受信できないビル陰やトンネル内で必要な再送設備も、首都 圏を中心にできるだけ多く設置する。

技術的な詳細も詰める必要がある。画像データの圧縮方式としてMPEG (エムペグ)4を採用しているが、同規格よりも圧縮効率が1.5-2倍と高く、 限られた電波で多くの番組を放送できるH264規格を採用する可能性もあり、現 在検討中だ。

受信端末の開発も課題の一つ。同社には多数の電機メーカーが資本参加して いるにもかかわらず、端末開発メーカーは東芝やシャープ、アルパインなどにと どまっている。

しかし、溝口社長は「東芝が日本語ワープロを製品化した当初も利便性を理 解してもらうのは容易でなかった。一日の大部分を家庭の外で過ごすサラリーマ ンにとって携帯テレビは画期的な商品であり、新たな需要を創り出すはず」と期 待している。

モバイル放送の出資は現在71社。出資社は東芝(出資比率39%)、SKテ レコム(同13.6%)、トヨタ自動車(5.7%)、NTTデータ(3.2%)のほか、 日本テレビ放送網、富士通、三井住友海上火災保険、松下電器産業、電通、シャ ープなど。

東芝の株価終値は前日比5円(1.1%)安の450円。

東京 竹本 能文 Yoshifumi Takemoto --* (03)3201-8374 ytakemoto@bloomberg.net Editor:Okubo

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