みずほFG、M&A仲介でトップに-日商岩井・ニチメン統合が原動力

みずほフィナンシャルグループが2003 年1-3月期の日本企業が関わるM&A(合併・買収)の仲介・助言業務(公表 案件ベース、金額)ランキングで、トップとなった。上場企業の約7割を取引顧 客に持つ強みを生かして、企業の再生・再編などの案件を中心に手がけ、前年同 期の6位から急浮上した。

ブルームバーグ・ニュースの調査・集計によると、みずほは同期の最大案件 だった日商岩井とニチメンの経営統合(約7800億円)を含め、21案件、73億ド ル(約8770億円)を取り扱った。続く2位の三菱東京フィナンシャル・グルー プと、3位の米リーマン・ブラザーズも、それぞれ日商岩井・ニチメン案件を手 がけ、同20位、25位から上位に食い込んだ。

不良債権処理と企業再生は「表裏一体」

みずほ(コーポレート銀行)は日商岩井の、三菱東京(東京三菱銀行)はニ チメンの主要取引銀行の1つで、銀行が取引先の再生・再編に深く関わる姿が浮 き彫りになった。竹中平蔵経済財政・金融担当相が大手銀行に対し、貸出に占め る不良債権の比率を今後2年間で半分に減らすことを迫る動きは、企業側にとっ ても、経営体力が底をつく前に統合などを決断する1つの刺激になっている。

J.P.モルガン証券の河野哲也社長は、ブルームバーグ・ニュースとのイン タビューで「不良債権の処理と企業再生は表裏一体だ」と指摘。そのうえで、今 後の日本でのM&Aの傾向について「アドバイザーは再生可能な部分をみつけ、 それをどのように強化できるか、M&A業務を通じて提案していくことが、新た な流れになるだろう」と見通している。

日商岩井広報担当の神山秀夫氏は「みずほ証券をアドバイザーに選んだのは、 単に主要取引銀行の1つであるみずほ傘下の証券会社だったから」という。みず ほは他に、自動車部品メーカーのナブコと、帝人製機との経営統合(約300億 円)も手がけた。帝人製機の親会社、帝人は、中国メーカーとの価格競争のすえ、 繊維事業を縮小する。

日商岩井とニチメンは、他社との競争激化や、経費削減、事業再編を迫る取 引銀行からのプレッシャーなどを背景に、経営統合を決断した。4月1日の共同 持ち株会社設立により、国内で第6位の規模に踊り出る。2006年3月期までに 年間コストを1130億円削減し、エネルギー、自動車、宇宙開発事業など戦略分 野に経営資源を重点配分する方針だ。

みずほFGでM&Aを担当するみずほ証券では、広報担当の大貫敬太氏が 「みずほのネットワークを活用し、顧客ニーズに対応したきめ細かい提案と、質 の高い執行力への評価が、ランキングに反映されたものと考えている」と述べた。 今後も「内外政治・経済情勢の不透明感が高まるなか、日本企業を軸とした業界 再編、事業再生の大きなうねりは継続するだろう」とみている。

ブルームバーグのデータによると、同期の日本のM&A全体の規模は197億 ドル(約2兆3600億円)と、前年同期の209億ドル(約2兆5000億円)以降の 四半期で最も大きかった。2002年第2四半期(4-6月)は131億ドル(1兆 5700億円)、第3四半期(7-10月)60億ドル(約7200億円)、第4四半期 (10-12月)は84億ドル(約1兆円)だった。

昨年の第4四半期の案件には、4億4300万ドル(530億円)の日本航空と 日本エアシステムの経営統合も入っており、ここでも主要取引銀行のみずほと三 菱東京がアドバイザーを務めている。

リーマンは助言に加え「投資」も

一方、リーマン・ブラザーズは日商岩井・ニチメンの統合(株式移転)比率 の算定を含め、アドバイザーを担当した。日本でのM&A部門の責任者である村 上寛氏はインタビューで、「強力なM&A担当チームに加え、強力な株式、債券、 不動産のビジネスで総合力があるかが、助言業務での案件を獲得する重要なカギ になってきている。再生案件は今や日本のM&Aの原動力で、われわれの力が発 揮できる分野である」と強調した。

リーマンは、日商岩井などの持ち株会社に最大で500億円を出資する方針を 示している。また、リーマン広報担当の佐藤美由紀氏によると、そのほかに、優 先株式の引き受けによる数10億円の出資も検討中という。J.P.モルガンの河 野社長は「リーマンの例に代表されるように、アドバイザーが(自らを含め)外 部からの資本を招き入れ、対象企業のビジネス強化を図っていくのが最近のトレ ンドかもしれない」と分析している。

実際に最近では、リーマンのほかにも、外資系投資銀行などが経営改善中の 企業に資金供給する例が目立っている。米ゴールドマン・サックスが、自己資本 増強を目的に三井住友フィナンシャルグループが発行した約1500億円の優先株 を引き受けたほか、メリルリンチもUFJ銀行などが設立した不良債権管理会社 に約1200億円を出資した。

●2003年1-3月期のM&A仲介ランキング・上位10社
                                     仲介金額           案件数
 1.          みずほFG                7312               21
 2.         三菱東京FG               6498                5
 3.      リーマン・ブラザーズ          6458                1
 4.      野村ホールディングス          4812               20
 5.        大和証券グループ            3517               16
 6.        J.P.モルガン            2179                5
 7.      モルガン・スタンレー          1716                6
 8.      UBSウォーバーグ            1370                2
 9.     ゴールドマン・サックス         1309                6
10.   デロイト・トーシュ・トーマツ     1258                5
注)仲介金額の単位は100万米ドル、データは2003年4月8日までに集計した
の1-3月期の公表案件。

東京 平野 和 Kazu Hirano

日向 貴彦 Takahiko Hyuga --* 03-3201-3220 khirano1@bloomberg.net Editor:Kaimai/Asai

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