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【対イラク開戦】石油各社:スポット原油の調達先分散化-様子見気分も

米英によるイラク攻撃がついに始まっ た。原油輸入の9割近くを中東地域に依存する日本にとって、戦火の拡大は原油 供給の途絶につながりかねないだけに、石油各社はスポット原油の調達先分散化 に動いている。ただ、戦争が短期に終わるとの見方や国内の原油備蓄量が十分な ことから、様子見姿勢も強い。

湾岸戦争時に72%だった日本の原油輸入の中東依存度は、2000年度には 87%にまで高まった。調達先を中東地域以外に分散するよりも、中東から大量に 購入したほうがコスト的にも安くつくなど、石油各社が経済合理性を追求した結 果だ。

いったん中東地域で戦争が始まり、日本の原油輸入先の上位を占めるアラブ 首長国連邦(UAE)やサウジアラビアからの原油供給が途絶える事態に陥れば、 「対応しようがない」(石油連盟の岡部敬一郎会長)のが実情だ。

このため石油会社は中東依存度の引き下げや調達先の分散化に取り組んでい る。原油輸入は長期契約に基づくものが8割近くを占め、残りをスポット(当用 買い)調達している。新日本石油はスポットでアンゴラやガボン、ナイジェリア といった中東地域から離れた西アフリカ諸国やロシア、カザフスタンから調達、 この結果、2002年度の上期には88%だった中東依存度が下期には80%を下回る 水準まで下がる見通しだ。

新日鉱ホールディングス傘下のジャパンエナジーも、1月以降イラクに隣接 したクウェートやイランからのスポット調達をやめ、イラクから地理的に離れた オマーンやUAEへと調達先を切り替えた。また、湾岸戦争時以来となるナイジ ェリアからの原油購入の準備を進めている。

ただ、スポット調達先を西アフリカなど中東地域以外に変更すれば、タンカ ー輸送費などコスト増となるため、各社の収益圧迫要因となる。在庫積み増しに ついても、湾岸戦争時のように原油価格が急落するリスクもあり、「今の段階で は特段対応していない」(出光興産の吉岡義晃・常務取締役需給部長)企業もあ る。

国内原油備蓄は、1月末時点で国家備蓄92日分、民間備蓄79日分の計171 日分となっている。湾岸危機当時(1990年12月末)の計142日分(国家備蓄60 日分、民間備蓄82日分)と比べ1カ月分増えていることや、米国とイラクの圧 倒的な軍事力格差を考慮すれば短期間で決着するとの見方が大勢のため、石油各 社の間では、当面戦局の行方を見極めてからでも遅くはないとの様子見姿勢も目 立つ。

一方、駐在員の安全確保も課題だ。コスモ石油では、UAEに社員10人と その家族19人の計29人(3月14日現在)が駐在している。昨年12月から現金 と航空機のオープンチケットを常備させ、緊急時にはすぐに第3国に脱出できる 体制を整えていた。社内に岡部敬一郎会長兼社長を本部長とする緊急時対策本部 を昨年末に設置して情報収集に当たっており、外務省から避難勧告命令が出れば、 それに従って出国させる方針。

UAEに社員25人とその家族15人の計40人(3月15日現在)が滞在して いるジャパンエナジーでも、高萩光紀社長を本部長とする計17人の非常対策本 部が対応を検討している。

東京 鈴木 偉知郎 Ichiro Suzuki

上野 英治郎 Eijiro Ueno --* (03)3201-8594 isuzuki@bloomberg.net Editor:Abe/Okubo

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