【緊迫イラク情勢】石油利権はいったん白紙に-ブルームバーグ座談会

米英中心の同盟軍がイラク攻撃を仕掛 ける可能性が高まるなか、ブルームバーグ・ニュースは24日、伊藤忠フューチ ャーズの鈴木孝二・本社法人事業チーム長、大和総研の佐久間和博アナリストを 招いて情勢分析の座談会を開いた。2氏とも戦争勃発は不可避としたうえで、戦 争後にイラクの石油利権はいったん白紙になり再分配されると予想した。

イラク戦争開始については鈴木氏が「3月上旬から中旬にかけて」という時 期を示したうえで「始まれば短期間で終わる」との見通しを示した。佐久間氏も 終結までの期間は不明としながら、ブッシュ米大統領は勝利を確信して戦争を始 めると読む。そのうえで2氏ともにフセイン政権は崩壊するとみている。

米のイラク攻撃の背景はともにイラク民主化を挙げながら、最終的には見解 が異なった。鈴木氏は、石油の53%を輸入に依存する米の本音は「石油エネル ギー」獲得と分析した。一方、佐久間氏はテロを支援するイラクのフセイン大統 領を排除して「米国民の安全」を確保するのが狙いと強調した。

世界2位の埋蔵量を誇るイラクの石油の利権については現在、契約済みや開 発分を含めロシアが最も食い込んでおり、フランス、中国、イタリアや韓国など が続いているとされる。この利権については戦争によりいったん破棄されるとの 予測で一致した。

イラク、民主化政権樹立で石油利権は再分配

佐久間氏は「白紙から入札が始まる。新しい民主化された政権が各メジャー (国際石油資本)なり各国の石油会社と契約して復興資金を獲得する」と予想。 鈴木氏も、利権はイラク国民の信託を受ける形で管理され「米英中心とした世界 の5大メジャーにロシアや中国が加わる形で信託方式により分割される」と予測 した。

ここに日本の石油会社がどうかかわってくるかについては、2氏とも、かか わることは出来ないとの認識で一致した。鈴木氏は、個別企業の問題というより 「日本の利益を何も考えずにやっている」という政府の問題であるとも指摘した。 戦争後のイラクに民主化政権が樹立された場合の影響としては佐久間氏、鈴木氏 ともに、王制を敷いている他の中東諸国の体制が揺らぐ可能性を挙げた。

こうした見方を含めた戦争後の原油価格(ニューヨークのWTI、ウエスト テキサス・インターミディエート)の見通しについては、鈴木氏が一時的に1バ レル当たり18-15ドルまでの低下を予想した。背景としては戦争プレミアム分 の8ドルがはげ落ちるとしており、基調的に原油価格が下落するとはみていない。 これに対して佐久間氏は原油価格の下落をみており、サウジアラビアの王制が揺 らぐようなことがあれば、10ドル以下まで下がるとも予想した。

米、英、スペイン、新決議案を国連に提出

イラクは石油確認埋蔵量が1125億バレルと世界シェア10.7%で、サウジア ラビアに次ぐ世界2位の規模を誇っている。イラクをめぐっては、米、英、スペ インの3カ国が24日(日本時間25日早朝)、国連安全保障理事会に武装解除を 求める新たな決議案を提出した。イラクの国連決議違反を明記し、実質的には武 力行使を容認する内容になっている。

これに対してフランス、ロシア、ドイツの3理事国は査察強化による平和的 解決の模索を柱とし、武力行使は最後の手段とする独自の新提案を策定する意向 を表明した。米英などの強硬案には反対する。

米英などによる新提案は、イラク国連査察団の追加報告が予定されている3 月7日の内容を踏まえて採決されることになる。イラクをめぐる情勢は緊張の度 合いを増している。

東京 上野 英治郎 Eijiro Ueno ニューヨーク 河合 美奈子 Minako Kawai --* (03) 3201-8841 e.ueno@bloomberg.net Editor :Abe

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