2002年のIPO騰落率:時流企業の好調目立つ、上場子会社公募割れ

2002年に株式を新規公開(IPO) した124社のうち、初値が公募価格を上回ったのは91社、下回ったのは23社 となった。また、初値と公募価格が同価格となったのは10社。傾向としては、 時代の流れに乗り、安定した需要拡大が見込める事業を展開する企業に好調な 初値が付いたものが多く、一方で初値が公募価格を下回った企業には、上場企 業の子会社が目立った。

成長期待と足元の業績不振で乱高下

初値が公募価格を大きく上回った企業は、相場全般が堅調だった4月に集 中し、上位10社中、ニイウスなど5社が4月上場銘柄だった。事業内容のユニ ークさや、少子・高齢化社会の恩恵を受けるといった時代のすう勢を経営に取 り込んだ企業が多いのが特徴。インターネットユーザーの有害サイトへのアク セスを未然に防止するソフトの開発・販売会社であるデジタルアーツは、上場 初日は買い気配のまま売買が成立せず、上場2日目に付いた初値は公募価格の

2.9倍だった。GIS(地理情報システム)などのシステムインテグレーション を手がける応用技術の初値も同2.7倍、在宅介護事業を行う日本ロングライフ も2.7倍を記録。

また、公募価格ベースのPER(株価収益率)が同業他社より割安だった 銘柄や、最低売買金額が少なかった企業にも人気化する銘柄が多かった。

ただ、初値が好調だった企業の多くは、その後急落している。携帯電話な どのコンテンツの企画・制作を手掛けるビーマップは、初値と公募価格との比 較では上昇率2位だったが、初値と直近終値(12月30日現在)ベースの比較で は下落率トップ。コンテンツ市場の拡大期待から初値は公募価格の3.6倍とな ったが、今期は赤字転落見通しとなるなど、業績悪化が株価下落につながった。 このほか、上昇率トップのシンプレックス・テクノロジー、ディースリーパブ リッシャー、応用技術なども、株価は高値から大きく調整している。

乏しい新鮮味は業績安定の裏返し

一方、初値が公募価格割れとなった企業には、新日鉄ソリューションズ、 住友チタニウム、NECモバイリングといった上場会社の子会社が目立った。 投資家にとって、上場子会社は下請け的な印象が強く、また事業内容の新鮮味 の乏しさから成長性を感じにくいというマイナス面がある。

さらに公募価格ベースのPERが、同業他社比較で割安感に乏しいうえ、 公募・売出し株数の多さなどが市場全般の需給悪化懸念を強めさせたことも、 上場時の不人気につながったとの指摘も出ている。

初値が公募価格を23.7%下回り、下落率では3位となったコナミコンピュ ータエンタテインメントジャパンは、公募・売り出し株数が230万5000株で、 公募価格ベースのPERも22.5倍だった。

ただ、上場子会社銘柄の株価は総じて、初値以降は堅調に推移した。特に 好業績が期待される銘柄には機関投資家の買いニーズが強く、相場全般が下落 基調を強めた影響もあり、有名上場企業の子会社という知名度の高さ、業績の 安定性が投資家から改めて注目を集めたとみられる。

初値と直近価格の比較では、新日鉄ソリューションズが上昇率8位に入っ たほか、NECフィールディングスは初値こそ公募価格を割り込んだが、その 後は上昇基調。イオンファンタジー、イオンモールも堅調だった。

また、三光ソフランやスタジオアリスなど好業績期待の強い銘柄も機関投 資家からの買いや、個人投資家などの追随買いで順調に上昇。いちよし証券投 資情報部IPO担当の宇田川克巳氏は、一連のIPO銘柄の価格推移について 「投資家がリスクをとりにくい状態になっていることの表れ」と分析している。

●2002年新規公開銘柄の騰落率ランキング●

《初値対公募価格比》

【上位10社】 順位  銘柄(コード)   公募価格(円) 初値(円) 初値/公募(%)

1 シンプレクス・テクノロジー(4340) 192000    999000     420.3

2 ビーマップ(4316)  250000 900000 260.0 3 ニイウス(2731) 100000 300000 200.0

4 デジタルアーツ(2326)  81000 231000 185.2

5 ラック(4359)      300000 820000 173.3

6 日本ロングライフ(4355) 150000 404000 169.3

7 応用技術(4356)     380000 1010000 165.8

8 ドーン(2303)      270000 670000 148.1

9 ディースリー・パブリッシャー(4311)※310000 755000 143.5 10 アドバンスクリエイト(8798)   40000 96000 140.0

※ディースリー・パブリッシャーは株式分割を実施しており、株価は分割考慮後の価格。

【下位10社】 順位  銘柄(コード)   公募価格(円) 初値(円) 初値/公募(%)

1 東北新社(2329)     2700     1700     -37.0

2 フォーサイド・ドット・コム(2330) 95000 70000 -26.3 3 コナミCEジャパン(4338) 3800 2900 -23.7

4 新日鉄ソリューションズ(2327)  5500 4400 -20.0

5 日本ヘラルド映画(2320) 250000 205000 -18.0

6 クエスト(2332) 1300 1100 -15.4

7 モス インスティテユート(2316) 500000 450000 -10.0

8 システムプロ(2317)  300000 275000 -8.3

9 アーネストワン(8895)  650 601 -7.5 10 住友チタニウム(5726)   1760 1639 -6.9

《初値対直近価格比(12月30日終値)》

【上位10社】 順位  銘柄(コード)   30日終値(円) 初値(円) 初値/終値(%)

1 三光ソフラン(1729)    1500    510     194.1

2 福神(2728) 2455 1410 74.1

3 アーネストワン(8895)   990 601 64.7

4 イオンファンタジー(4343) 1520 950 60.0

5 ネクシィーズ(4346) 195000 125000 56.0

6 シノハラ建設システム(8909) 165000 110000 50.0

7 毎日コムネット(8908)   520 385 35.0

8 新日鉄ソリューションズ(2327) 5900 4400 34.0

9 ミサワホーム中国(1728) 465 350 32.9 10 テンポスバスターズ(2751) 450000 340000 32.4

【下位10社】 順位  銘柄(コード)   30日終値(円) 初値(円) 初値/終値(%)

1 ビーマップ(4316) 62000 900000 -93.1

2 エルゴ・ブレインズ(4309) 386 2700 -85.7

3 スターキャット・ケーブルネットワーク(4339)185000 1040000 -82.2

4 ディースリー・パブリッシャー(4311) 150000 755000 -80.1

5 シンプレクス・テクノロジー(4340)  199000   999000     -80.0

6 NIFベンチャーズ(8458) 83000 400000 -79.3

7 応用技術(4356)     215000 1010000 -78.7

8 ドリームインキュベータ(4310)   61100 280000 -78.2

9 ラック(4359)      200000 820000 -75.6 10 ケネディ・ウィルソン(4321) 144000 580000 -75.2

東京 白木 真紀 Maki Shiraki、院去 信太郎 Shintaro Inkyo --* (03)3201-7644 mshiraki1@bloomberg.net Editor:Ushiroyama

シンプレクス・テクノロジー 4340 JP <Equity> CN

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