雪印乳:雪印食を解雇された社員が怒りあらわ-株主総会(3)

経営再建中の雪印乳業は27日、札幌 市民会館(北海道札幌市)で第52回定時株主総会を開催し、再建計画に伴う資 本減少や株式併合など6議案すべてを可決した。出席株主は647人(前年は648 人)。所要時間は3時間5分(同2時間13分)と過去最高だった。

総会の冒頭、雪印乳業の西紘平社長は「一昨年の食中毒事件以来、多大な ご迷惑とご心配をおかけしたことを謹んでお詫び申し上げる」と述べ、株主に 頭を下げ陳謝した。

総会では、11人の株主が質問に立った。ある株主は雪印食品の牛肉偽装事 件で同社を解雇された従業員と名乗り、親会社として責任を持ち子会社を守る のが当然なのに、乳業から雪印食品に役員が来ることはなかったと批判。さら に、食品の従業員の話も聞かず、親会社だけ助かればよいというエゴでは済ま されないと述べ、怒りをあらわにした。

また、別の株主は、今、雪印に社会の批判が集中しているが、会社が謝れ ば激風が収まるというのではなく、今は雪印の創業の精神に帰ることだと思う と語った。

これに対して西社長は「ご指摘の通り」と述べたうえで、「原点の心が薄れ てしまったことが食中毒や牛肉偽装事件を起こしてしまった」と、再び陳謝し た。

雪印乳業は、2000年夏の食中毒事件後、消費者の「雪印ブランド離れ」に より急激に業績が悪化。工場の統廃合や他社との提携などにより早期の経営再 建を目指していたが、今年1月に発覚した子会社、雪印食品の牛肉偽装事件で グループ信用力も低下。その結果、3期連続の赤字決算を余儀なくされた。

今年5月に新たに策定した再建計画では、雪印乳業本体はチーズやバター など乳製品に特化した事業を手掛けると発表。牛乳やアイス、医薬などは外部 との提携で本体から切り離し経営再建を目指すが、総会を終えた60代の男性株 主が果たしてそれでうまくいくのか不安に思っていると述べるなど、再建を危 ぶむ声も聞かれた。

元雪印乳業の社員で株主の1人である高橋武治さん(80歳)は「総会の間、 ちゃんと質問に答えていたし、食中毒事件などについて反省も見られる」と語 りながらも、今後の再建については「消費者の信頼を得ないと前進できない」 と不安気だった。

また、大阪の市民団体「株主オンブズマン」代表の森岡孝ニ・関西大学教 授は、「雪印は企業風土を変えない限り消費者の持っている不信感をぬぐえな い」と指摘した。

株主オンブズマンは今年4月、雪印乳業に対して社外取締役の選任など株 主提案を申し立てていた。

この日の総会で雪印は、全国消費者団体連絡会事務局長を務めていた日和 佐信子氏を社外取締役に選任した。

西社長ら役員総退陣

総会では、西社長をはじめ現取締役8人の辞任に伴う高野瀬忠明・執行役 員と全国農業協同組合中央会の篠塚勝夫・常務理事らの新取締役選任も可決。 総会後の取締役会で高野瀬氏の社長就任および篠塚氏の副社長就任が決まり、 社外取締役1人を含む9人の新経営体制が発足した。

総会後の取締役会を終えて記者会見した高野瀬社長は「厳しい経営環境の 中での新体制であるが、消費者の信頼を取り戻し再建に向けて必ずやり遂げる という強い意志を持って経営に臨みたい」との考えを示した。

同時に社外取締役で企業倫理委員会委員長を務める日和佐氏は、「これまで の不祥事を考えると(経営)システムと意識の両方に問題があった」と述べた うえで、「これらの原因究明をしていく」としている。

また、雪印は退任した取締役のうち西社長と市乳(牛乳)事業担当の竹内 良種専務、乳食品事業担当の竹之内英毅常務の3人が9月末までの3カ月間、 顧問に就任したことを明らかにした。再建計画の引き継ぎや取引先との問題な どについて経営をサポートしていく方針。9月末には顧問も退任する。

雪印乳の株価終値は、前日比8円(7.14%)高の120円。

東京 堤 紀子 Noriko Tsutsumi

菅 磨澄 Masumi Suga --* 03-3201-8950 ntsutsumi@bloomberg.net Editor:Hinoki

参考画面:

雪印乳業の株価総合モニター:

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