三菱電、東芝:重電は保守・サービスに軸足-国内市場低迷・海外出遅れ

重電の電力会社向け系統・変電事業で統 合している三菱電機と東芝は、国内では市場の縮小により、従来主力の機器販売か ら保守・サービス事業に軸足を移す方針だ。海外市場に活路を求めたいが、世界市 場を牛耳る欧州メーカーと対抗するには課題が多そうだ。

重電部門は三菱電機・東芝の数少ない安定収益源。前期(2002年3月期)は 両社ともに半導体や携帯電話・パソコンの低迷で巨額の連結純赤字を計上したが、 重電部門は三菱が前期比17%増の465億円、東芝は同54%増の268億円の営業利 益を稼ぎ出した。

しかし、同部門の将来性は不透明だ。三菱電機の鈴木敏夫副社長によると、「電 力会社の設備投資抑制により、国内重電市場は過去5年間で30%需要が縮小、今 後も急速な回復は見込みにくい」という。景気低迷による電力需要の伸び悩みと、 電力自由化を踏まえたコスト削減が主因だ。

新規設備投資の落ち込みを補うため、すでに納入した設備の保守・サービス事 業に力を入れる。三菱電機では、昇降機事業を除いた重電部門の年間売り上げ5000 億-6000億円のうち、「開閉器など伝統的な重電機器の販売は3分の1程度、残り はサービスやエンジニアリングなど」(鈴木副社長)という。

電力会社からのアウトソーシング(事業委託)受託も拡大したい考えだ。東芝 では、2007年度の電力小売り自由化で、新規参入事業者が増えれば、「保守・サー ビスを一貫して委託するニーズが拡大する」(東芝の大島壽之上席常務)とみる。 マイクロガスタービンなど分散電源向け機器を外部から調達してのシステム事業 も拡充を検討している。

欧州勢、世界戦略で先行

一方、海外では、電力需要の拡大が見込まれる途上国で、拡販を目指したい考 えだ。「中国では市場が年率7%で伸びている。東南アジアや南米、中近東では発 電・変電設備需要がまだ伸びる」(三菱・鈴木氏)ためだ。

しかし、系統・変電機器のメーカー別世界シェアは、欧州のABBが15%と 最大手、独シーメンス6%、仏アルストーム6%で、東芝と三菱電はそれぞれ3% にとどまっている。

東芝と三菱電は、10月1日付で系統・変電事業を統合すれば、シェア6%と なり、シーメンス・アルストームの2社とは互角に戦えると期待している。

だが、世界市場では、「先に再編・統合が進んだ欧州メーカーで戦略的に進出 に成功しており、欧州メーカー製品の仕様が標準となっている。国内の電力会社向 け仕様製品と比べて競争が厳しい」(三菱電・鈴木氏)のが実情だ。

東芝・三菱電陣営は、折半出資の合弁設立による事業統合で、初代社長には東 芝出身者が就任するものの、人事面などで両社対等の立場のため、経営のスピード 感に懸念が残る。

顧客からの信用を獲得するうえで重要なブランドにも問題がある。事業統合後 の新会社名である「ティー・ディー・エレクトリック・システム(TDES、仮称)」 を採用する可能性もあるが、三菱・東芝という社名をより信頼する顧客がいるのも 事実だからだ。

三菱電の株価は前日比10円(1.65%)高の616円、東芝は同5円(0.89%) 高の565円(午後零時45分現在)。

東京 竹本 能文 Yoshifumi Takemoto --*(03)3201-8374 ytakemoto@bloomberg.net Editor:Okimoto

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