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ドコモ社長:海外事業の評価損は「期末で必要な会計処理」(3)

(会見の内容などを追加します)

東京 3月28日(ブルームバーグ):携帯電話国内最大手であるNTTド コモの立川敬二社長は28日の定例記者会見で、同社が2002年3月期連結決算 で米携帯電話大手のAT&Tワイヤレスなど海外出資先の株式評価損を特別損 失として計上するか否かについて、「ルールに照らして処理をしていきたい」と 述べた。金融商品会計基準に従って処理すれば、1兆円程度の株式評価損を計 上する可能性がある。

立川社長は、海外出資先のうち、英ハチソン3GUKやオランダの携帯電 話大手KPNモバイルは上場していないため、「第三者に委託して価値をはじい てもらう必要がある」と説明。一方、米携帯電話大手のAT&Tワイヤレスは 上場会社であるため、「期末の時点で計算して必要な会計処理をしたい」と述べ た。ただ、具体的な処理額については、会計処理中であるとして明言を避けた。

ドコモは米証券取引委員会(SEC)に1月に提出した書類のなかでも、 下期にも海外投資の評価損を計上する可能性を明記していた。同社はそのなか で「このところ、当社(ドコモ)の投資先を含む通信事業者や携帯電話事業者 は、競争激化や債務負担の増加、株価の激しい変動、財務状態の悪化といった 一連のネガティブな状況に直面している」として、今後も海外投資先に絡んで 「減損を計上する必要に迫られる可能性がある」としている。

厳格な資産評価は評価できるとの見方も

ドコモが海外事業の株式評価損を計上することについて、投資家などから は、「きちんと評価して経費として落とした方がいいものは、落とした方がいい」 (アイエヌジー投信のチーフ・インベストメント・オフィサー、水野秀昭氏)、 「評価損を計上することは、資産などを厳格に測定しているという点で、評価 できなくはない。特別損失計上はネガティブだが、財務面では資産圧縮効果が ある。相対的に資産効率があがる面もある」(みずほ証券のシニアアナリスト、 高橋篤朗氏)と、評価損の計上はむしろプラス材料との意見も聞かれる。

また、富士投信投資顧問の岩本誠一郎・株式運用部ファンドマネジャーは、 「AT&Tワイヤレスなどが急落していたのが見えていたので、これらを織り 込んでドコモも下落していたが、足元の株価はしっかりしている」と述べる一 方、「大きな特別損失の計上は厳しい」と指摘する。

海外通信バブルの崩壊で特別損失が膨らむ見通し

ドコモは1999年以降、グローバルな事業拡大を念頭に、欧米、アジアの携 帯電話会社に総額約1兆8000億円を投資してきた。うち、AT&Tワイヤレス には昨年1月、98億ドル(当時の為替レートで約1兆1000億円)を出資した。 昨年12月には、AT&Tワイヤレスが同業のテレコープ買収に伴い新株を発行 したことから、16%の持ち分を維持するために、3億8000万ドル(約490億円) の追加出資を行った。

通信不況を受け、投資先企業の収益悪化が深刻化するなか、ドコモは2001 年9月中間期にオランダの携帯電話大手KPNモバイル(ドコモの出資比率は 15%)の投資評価損2620億円の計上を余儀なくされた。

AT&Tワイヤレスの株価はニューヨーク証券取引所で8.70ドル。ドコモ の株式保有簿価の約23ドルに比べて約6割下落している。これから計算すると、 同社株に対する評価損は約7000億円程度とみられる。立川社長はAT&Tワイ ヤレスについて「(株価という)バイサイド(買い側)の評価は出ているが、セ ルサイド(売り側)の評価は別だ」と述べ、同社の株価の下落原因については、 「業績は決して悪くないが、負債が増えすぎているため」との見方を示した。

約1850億円を投じた英ハチソン3GUKにはKPNモバイルも出資してい る。KPNが2001年12月期にハチソン3GUKに対する損失計上を行ったた め、同じく評価損を計上する可能性がある。

約670億円を出資している台湾のKGテレコムは未上場だが、昨年末に第 3世代携帯電話の事業免許の申請を取り下げており、企業価値が低下したと判 断されることから、やはり評価損計上は不可避のようだ。

海外戦略は不明確との声も

立川社長は海外戦略について、「第3世代携帯電話を世界的に投入して、ア プリケーションを共有するという方針を変更する必要はない」と語った。海外 の出資先からは、配当と株式の値上がり益が期待できるほか、サービス・ネッ トワークの共同調達によって、コスト削減が可能だという。日本のユーザーが 同じ携帯電話を海外でも使える環境を整備することにも期待をかける。

ただ、ドコモのこれまでの海外展開について、第3世代携帯電話は設備投 資負担も大きすぎるうえ、投資に対するリターンがはっきりしないことから、 「海外で第3世代携帯電話がらみの投資をするというのはどうか」(ベアリング 投信投資顧問の小林聡ファンドマネジャー)との懐疑的な見方もある。同氏は、 「ドコモは第3世代のブームに乗ってしまった面もあり、戦略が明確でない。 技術が走り始めてしまって、止められないのではないか」と指摘している。

ドコモの株価終値は前日比1万3000円(3.75%)高の36万円。

東京 矢沢 利弘 Toshihiro Yazawa

今泉 綾子 Ryoko Imaizumi

鈴木恭子 Kyoko Suzuki ニューヨーク 河合美奈子 Minako Kawai --* (03)3201-8982 tyazawa@bloomberg.net Editor:Okimoto

業界別ニュース:JBN17

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