雪印乳:連結赤字714億円に拡大、全農や伊藤忠と資本提携を検討(5)

経営再建中の雪印乳業は28日、2002 年3月期の連結決算で純損益が714億円の赤字(従来予想は240億円の赤字) に拡大する業績下方修正を発表した。牛肉偽装事件を起こした子会社雪印食品 の収益が大きく落ち込むうえ、その影響で雪印乳自身の収益も悪化する。同時 に発表した経営再建策では、全国農業協同組合連合会(全農)や伊藤忠商事な どの資本受け入れを検討することが盛り込まれた。

2002年3月期の連結売上高は前期比1.3%増の1兆1561億円(従来予想は 1兆2000億円)、経常損益は393億円の赤字(同220億円の赤字)に下方修正 した。雪印食の牛肉偽装が発覚した1月以降、同社や雪印乳の売上高は大きく 落ち込んでいる。同期の特別損失の合計は520億円に上り、そのうち雪印食品 の解散に伴う約210億円、9月に募集した希望退職者への割増退職金で約100 億円などを計上した。

3月の売り上げ状況では、牛乳、乳製品ともに11月に見込んでいた計画数 値よりも50%程度下回って推移している。

雪印乳業では、定期的に消費者の信頼度調査を実施している。1月末時点 では調査対象者の約半数が雪印に対して信頼を示していたが、2月末にはそれ が35%にまで低下したという。

雪印乳は乳食品に軸足、全農に筆頭株主要請

経営再建策では、雪印乳本体はチーズやバターといった乳食品事業に軸足 を置き、全農や伊藤忠などの資本参加で財務・収益体質を強化する意向だ。

本体をチーズやバターなど乳製品事業に絞り込むことから、2004年3月期 の単体売上高は1400億円と2002年3月期見込みの3633億円から大幅に減少す る。経常利益は60億円(同336億円の赤字)を目指す。事業縮小に伴い本体の 人員は現在の4500人から1500人に減少する。

増資については300億円規模を望んでおり、相手先の出資比率が50%以上 になることも想定している。雪印乳業の西紘平社長は、全農に筆頭株主になる ように要請していることを明らかにした。

また、伊藤忠はこの日、雪印乳からの提携要請に前向きの姿勢を示し、雪 印乳への資本参加や雪印乳子会社の雪印アクセスの株式買い増しなどを検討 すると発表した。雪印アクセスの株式について5月末までに買い増しで合意し たい意向だ。

事業再編を進める雪印乳は主力だった牛乳事業について、全農、全国酪 農業協同組合連合会(全酪連)の3社での事業統合を視野に入れる。医薬品事 業は大塚製薬グループと合弁会社を設立するとすでに発表しており、育児品事 業ではネスレジャパンホールディングとの合弁会社設立を含めた提携検討も発 表している。

アイスクリーム事業についてはロッテとの原材料・物流共同化を表明して いるが、現在も複数の企業と事業提携について交渉を進めている。冷凍食品事 業は伊藤忠商事との共同持ち株会社により10月を目標に事業統合する。

会見に出席した西紘平社長は「食中毒事件の時とは違う、大変厳しい中で の再建計画の策定となった。痛みを伴う改革だが、各事業が強力なパートナー との連合体で新しい雪印に飛躍できる」と語った。

株主総会で経営陣の全員が退任へ

また、西社長は6月の株主総会で現経営陣の取締役8人全員が退任する予 定を示し、「われわれの責務は、この再建計画の道筋をつけ、確実なものにする こと」と言明した。

6月開催予定の株主総会後には新経営体制となるが、新社長については「外 部からなのか、中の人員からなのかは決定していない」(西社長)。また、新経 営陣には女性の社外取締役も採用するとしている。

UFJキャピタルマーケッツ証券エクイティ調査部の鈴木大輔シニアアナ リストは、「(伊藤忠の増資などで)財務的には、(雪印乳再建への)道筋がたっ たが、今後は本業で失った信頼をどう回復させ、シェア拡大をしていくかが課 題」と述べ、イメージダウンからの信頼回復は容易ではないと指摘した。

雪印乳の株価終値は、前日比9円(5.70%)高の167円。

東京 堤 紀子  Noriko Tsutsumi

上野 英治郎 Eijiro Ueno

鈴木 偉知郎 Ichiro Suzuki

--* (03) 3201-8950 ntsutsumi@bloomberg.net Editor : Hinoki/Ozawa

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