米経済コラム:期待はするな、CEOの目は閉じている

破たんしたエネルギー卸売 会社エンロンの詐欺行為が米国で最大の企業破たんを招いた教訓から、企業の 情報開示の強化を求める声が強まっているが、期待はできない。企業の最高経 営責任者(CEO)は、真実をすべて話す義務があるにしても、実際は不可能 だからだ。偽りや省略、遠回しの表現を身に付けたCEOたちは、もはや真実 を見極められなくなっている。

パソコンソフト最大手マイクロソフトのゲイツ会長は、自分自身を慈悲深 い独裁者だと信じ込んでいる。ネットワーク機器最大手シスコシステムズのチ ェンバースCEO兼社長は、規模の小さな企業の買収に投入した巨額の資金を 微々たるものだと認識している。

総資産は巨額でも収益が貧弱な数十の企業は、米国で一般的に認められて いる会計原則(GAAP)とは異なる、いわゆる「プロ・フォーマ」決算が経 営実態を反映していると信じている。利払いを実際の経費として認識していな いのだ。

Kマートとゼロックス

ディスカウントチェーン2位のKマートとオフィス機器メーカーのゼロッ クスのCEOはともに、業績の「転換」に自信を示していた。しかし、2人は 本当に「転換」という言葉の意味を知っているのだろうか。

KマートのコナウェイCEOは、1月に連邦破産法11条(会社更生法)の 適用を申請したのが復活の兆しだとでも思っているのだろうか。Kマートの経 営状況が改善していたならば、企業の再建に定評がある幹部2人を雇い入れる 理由はあるのだろうか。ゼロックスのマルカヒーCEOは、7四半期連続での 減収が良い兆候だと認識していたのだろうか。

企業が破たんするとCEOたちはいつも、もっともらしい説明をこじつけ る。損失を決算報告書の奥深くに封じ込めるのとまったく変わらない。それで も違法行為ではないのだ。

グローバル・クロッシング

Kマートが破産申請した1週間後、国際高速通信のグローバル・クロッシ ングが後に続いた。グローバルは5年前に設立された新興企業で、総延長約16 万キロメートルの海底光通信ケーブルを運営していたが、過剰設備と124億ド ル(約1兆7000億円)の債務負担で経営が行き詰まった。創業以来、一度も利 益を計上したことはなかった。

グローバルの破産申請の発表は変わっていた。まず、アジアの通信会社2 社、香港のハチソン・ワンポアとシンガポール・テレメディアにグローバルの 経営権を7億5000万ドル(約1000億円)で譲渡することに合意したと発表。 そのうえで、破産法11条の適用を申請すると説明した。

さらに、一時は64.25ドルまで上昇したこともある同社の株価について、 価値がなくなったと告げる代わり、「普通株と優先株の既存の株主は、新しい資 本構成に参加しない」と、回りくどい表現で説明した。

CEOたちは、生命の危機にはさらされていないかもしれないが、自分自 身の失敗に向き合うことができず、経営する企業をリスクにさらしている。企 業の経営陣は、従業員の士気高揚や新製品開発、消費者への働き掛けに向けた 自分たちの計画の失敗や無能さが減益の理由であるとは認めようとせず、リセ ッション(景気後退)のせいにしようとする。CEOは単に真実をつかむこと ができないのだ。 (デービッド・ポーリー)

(ポーリー氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラ ムの内容は同氏自身の見解です)

ニューヨーク David Pauly、 東京 田渕 実穂 Miho Tabuchi、 --* (03)3201-8473 mtabuchi@bloomberg.net    Editor:Kakuta

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