米経済コラム:アナリストよ、基本に戻れ!

ウォール街のアナリストた ちにとって、企業の操り人形というイメージを払しょくする絶好の機会が訪れ ている。

なすべきことは、業績予想の手法を昔ながらの方法に戻すことだけ。何の からくりもない。実質ベースに当たる「プロ・フォーマ」や「EBITDA(利 払い前・税引き前・償却前利益)」での算出をやめればいいのだ。

ところが、アナリストたちはもっと誠実な決算内容を求める世間の声を無 視し、最高財務責任者(CFO)に肩入れしたままだ。企業側も、経営陣が大 っぴらにしたくないコストを除いたアナリストの予想を優遇している。

パソコンソフト最大手、米マイクロソフトの直近の四半期決算では、6億 6000万ドル(約876億円)、1株当たり8セントに上る集団訴訟の和解費用が 除かれていた。決算発表前のアナリスト予想もこれに素直に従った形で、和解 費用が取るに足らないものであるかのように数字を算出していた。

同社の支援者なら、これは一時費用だと反論するかもしれないが、マイク ロソフトの優位さを考えれば、大規模な訴訟は継続的な経営上の問題だ。

シスコ

アナリストのお墨付きを得て、米ネットワーク機器最大手のシスコシステ ムズは、従業員がストックオプション(自社株購入権)を行使する際に同社が 納める税金を決算に計上していない。米メディア・インターネット接続最大手 のAOLタイム・ワーナーも、第4四半期(10-12月)の決算で17億ドルに上 る評価損を強調しなかった。

半導体・携帯電話大手の米テキサス・インツルメンツ(TI)は、事業買 収で利用価値がなくなった研究開発の償却費を決算から除き、通信用光ファイ バー・ケーブル最大手の米コーニングも、最近では日常茶飯事ともいえる人員 削減についてのコストを一時費用として計上している。

米バイアコムなど業績の悪いメディア会社を担当するアナリストたちは、 企業の希望通りEBITDAで業績予想を出し続けている。たとえば、バイア コムのEBITDAはことし約10%増加するとの見方がある。事業収入の多く が株主に還元されるのではなく、すぐに社外に流れることが正しく理解されて いれば、この方法も問題はないのだろうが。

会計基準

会計基準緩和によって、企業買収で発生するのれん代(買収額と買収され る企業の純資産の差額)の償却をしなくても済むようになった。CFOなど企 業幹部は喜んでいいはずだが、案の定、彼らは満足していない。

アナリストも、これまた案の定、同じ気持ちだ。CFOや最高経営責任者 (CEO)から疎まれることを恐れているようだ。所属する証券会社が投資銀 行業務を獲得できるよう、アナリストは従順な態度を求められているのかもし れない。

いずれにせよ、これではひど過ぎる。アナリストたちは自ら立ち上がる機 会を放棄したのだ。ここままでは、彼らの信用度は五輪のフィギュアスケート 競技の審判と同程度のままだ。 (デービッド・ポーリー)

ニューヨーク David Pauly、 東京 山口 裕子 Yuko Yamaguchi、 --*(03) 3201-8984、{yuyamaguchi@bloomberg.net}   Editor:Kakuta

参考画面: マイクロソフトの決算 {MSFT US <Equity> ERN}

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