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業種偏り目立つSB市場、一般事業債振るわず-4月発行額10%割る

国内普通社債(SB)市場で、電力・ 金融セクターと恒常的に資金需要がある商社や運輸業界を除く一般事業債の発 行が低迷している。過去に発行された社債償還の借り換え需要があるものの、日 本経済の低迷が長引き、財務リストラを大きな目標に掲げる企業は有利子負債削 減を急いでおり、新規の投資意欲が減退していることが発行額の大幅な減少につ ながっている。

製造業のSB購入には前向きな投資家が多い。「適正な条件設定であれば、 業種分散から製造業のSBには購入意欲がある」(北陸銀行の資金証券部担当者)、 「残存期間が長く、利回りが高い化学、電機、通信などの製造業のSBを購入し た」(住友海上アセットマネージメントの運用部・債券運用チーム担当者)など の声が多く、製造業のSB発行への期待は大きい。

新年度に入ってから4月のSB発行総額は7595億円。数字だけ見ると昨年 9月以来の高水準で、前年同期比でも13%増となっている。しかし内訳は、電 力・金融セクターのSB(69.1%)と運輸・商社のSB(21.5%)だけで全体の 約90%を占め、製造業などの一般事業債は約9.3%と全く振るわない。

4月には、ニコン、曙ブレーキ工業、島津製作所、富士電機、東洋鋼鈑など の製造業が資本市場から資金調達を行い、市場での希少性から売れ行きは順調だ った。島津製作所債の主幹事を務めた東京三菱証券は「供給を上回る需要があっ た。中央から地方までの幅広い投資家に完売した」(デット・キャピタル・マー ケット部担当者)と語った。同債は、需要予測のレンジ(スワップレート+0.35% -0.37%)の下限で条件が決まったことからも投資家の需要の強さがうかがえる。

だが、今後、製造業を含む一般事業債が増加するかどうかは不透明だ。今年 度は、社債の償還が5兆4516億円(日本証券業協会調べ)予定されており、そ の借り換えで一定量のSB発行は見込めるものの、企業が新規投資のために資本 市場から資金を調達する大きな動きは感じられない。「今回の社債発行は設備投 資が目的」(ニコン・経理部担当者)という企業もあるが、既発債の借り換えが SB発行の主な目的とする発行体が多い。

2001年度に総額1450億円のSBが償還予定の三菱電機は「設備投資や償還 資金調達のためにSBを発行する可能性はあるが、具体的には未定。短期での調 達や、低金利で調達可能な生保ローンも視野に入れ、トータルな資金調達を考え ている」(財務部担当者)といい、SB発行の明確な姿勢は見られない。同社は 12日、情報システム・ネットワーク事業に3年間で総額1000億円の設備投資を 行う計画を明らかにしている。

日銀が2日に発表した短観(企業短期経済観測調査)では、大企業の設備投 資計画も前年度比4.7%減と以前よりも減退しているうえ、投資するにしても手 持ち資金で賄う傾向がこの数年続いている。昨年、ゲノム関連投資を目的とした SBを発行し、今年3月にも発行登録の予備格付けを取得した宝酒造も、「今の ところ社債発行計画はない。設備投資はキャッシュフロー内で行う」(財務部担 当者)と外部資金の取り込みには消極的だ。

12月に200億円のSBが償還を迎える旭硝子広報室の二瀬明彦氏は「償還 を迎えても、再度SBを発行するか方針は決まっていない」という。同社は9日 に2001年度からの3年間で、電子・ディスプレー事業を中心に4000億円の設備 投資を実施する計画を発表したが「資金調達はキャッシュフローの範囲内で行 う」(同氏)と資本市場からの資金調達計画がないことを明らかにした。

企業の有利子負債削減の流れも依然として続いている。東芝と協和発酵工業 はそれぞれ、デフィーザンス契約、デット・アサンプション契約によって、社債 による負債をバランスシートから外した。東芝は2月に、個人向け社債200億円 を発行したが、資金調達よりもIR活動の一環によるもので、有利子負債削減の 財務戦略は変わっていない。

東京 上野 孝司 Takashi Ueno

伊藤 小巻 Komaki Ito KO --* (03)3201-8696 tueno@bloomberg.net

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