企業文化

ブルームバーグ投資コンテスト2020を振り返って

2020年11月20日

ブルームバーグでは、金融や経済に関する知見を広げ、投資の世界を体験してもらおうという趣旨で、学生の皆さんを対象とした投資コンテストを開催しています。今年は全国35大学から80チーム、240名がエントリー。テーマは、ESG投資です。

環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)の 3つの英単語の頭文字をとったESG投資は、短期的な利益追求のみではなく、長期的視野に立って、持続可能な社会に配慮した企業に対して投資をするもので、昨今爆発的な高まりを見せており、グローバルで資金が流入しています。

参加した大学生・院生は1990年代後半生まれのいわゆるZ世代。社会課題への関心が高いデジタルネイティブとも言われています。投資を通じて社会を変えること、それが現実に可能だとすると、彼らは、どのような未来を思い描いているのでしょうか。

3カ月間ブルームバーグターミナルへ無料でアクセス
各チームは指導教員1名、学生3名で構成され、3カ月の間、金融プロフェッショナルが利用する情報端末ブルームバーグターミナルへのアクセス権をフリートライアルで提供。チーム独自の理論に基づいてポートフォリオを構築、1億円の投資シミュレーション(上場日本株式限定)に取り組んでいただきました。ESGの基本知識や端末操作に関するオンラインおよびビデオトレーニングが提供されたほか、ヘルプデスクも利用可能です。

コロナ禍でキャンパスへはいることも、友人とランチすることもできないような状況のなかでの取り組みとなりましたが、参加の皆さんにとっては、どのような経験だったのでしょうか。

「機関投資家が使っている端末を使用することで、個人ではできない複雑かつ横断的な銘柄分析をすることができて非常に楽しかった」「本を読むよりも実践的にESG投資について考える機会となり、とても良い経験になった」「交流が希薄化していた仲間たちとチームで取り組み、いい機会となった」といったポジティブな声が数多く寄せられ、アンケート回答者の9割以上が「貴重な体験ができる」機会として友人や後輩に薦めたいと回答しています。

事前提出のリポートによる第一次審査で、ESG要素を効果的に投資判断に組み込んでいるかなどの評価項目に基づいてファイナリスト8チームが選出されたのち、11月12日、10分間のプレゼンテーションによる最終選考がオンライン(一般公開)で開催されました。厳正な審査の結果、第1位に 「慶應義塾大学 Sato Squad」、第2位に 「同志社大学 ハナミレジェンド」、第3位に 「同志社大学 ほくろ」が入賞しました。

コンテスト参加でESGについて深く学べた
1位に選ばれた慶應義塾大学 Sato squadチームは、「優勝できる自信はなかった」と打ち明けてくれました。「ESGと企業利益に関する研究も少なく、正の相関があるとは言えないため、自分たちで一つの指標を作ろうと思いついた。なるべくバイアスが働かないよう努力した結果、シンプルになった」といいます。このチームは、独自の合成スコアを作成したあと、テキストマイニングを活用して経営理念について分析しています。最も時間がかかったのは銘柄選定において方向性を固め、各ステップの詳細と妥当性を決定することだったそうです。また、コンテスト参加でESGについて深く調べる機会を得られたことで、非常に大きな学びがあった、課題に対する評価軸を前もってチーム内で共有することや、専門的な内容を他人に理解してもらうためにわかりやすく話すことなどの重要性を学んだと話してくれました。

Sato squad 慶應義塾大学

ESG 投資は江戸時代にルーツがある?
2位に入賞した同志社大学ハナミレジェンドは、日本に必要なESG投資は何かという視点で調査を進めるなかで、「循環型エコシステムが形成され、人口動態に合わせた社会を実現していた約200年間続いた江戸時代」の持続可能性に着眼し、検証。最終的には、社会インパクト投資ファンドとして、持続可能な社会と技術発展に貢献するファンドを構築しました。

ハナミレジェンド 同志社大学

ESG投資は「ビューティコンテスト」?
3位の同志社大学ほくろチームは、各企業によるESG取り組みの画一性に疑問を抱き、ケインズの美人投票原理に基づいて、ESG に関する市場調査を実施。「社会のニーズをくみ取った活動を行う企業の企業価値は上昇する」という仮説を立て、X、Y、Zという世代別の志向性やニーズを研究した世代別ファンドを構築、協力を得られた投資先選定企業にオンラインで対話を行っています。

ほくろ 同志社大学

20代が描く社会的インパクト
「投資家は資金を預けるとしたら、投資を通じて長期的に社会的インパクトを与えたいという気持ちがある。信頼してお金を預けてどういう日本になっていくのか。銘柄スクリーニングからのストーリーが重要」と話すのは、審査を担当した一橋大学大学院経営管理研究科の本多俊毅教授です。

本多氏は、「ESGが叫ばれるようになって時間がたつなかで、いろいろと面白い考え方がでてきた。リターンやリスク管理も大切ではあるものの、入賞した3チームはストーリーに説得力があった」と講評しました。また上位入賞した、東京工業大学のInoue Labチームについても本多氏は、「市場ですでに同じカテゴリーで認知されている銘柄群をあえてはずし、将来リターンにつながる、まだ周りに評価されていない企業の成長性を検証するという難しい作業に取り組んだ」と高く評価しました。

金融商品としての認識も必要
同じく審査にあたった、カタリスト投資顧問株式会社取締役副社長COO小野塚 惠美氏は、「発表はどれも大変素晴らしく、投資家としても示唆をもらった」としつつ、「投資なので、金融商品として考えたときのアプローチが重要。企業の財務的な要素が先なのか、ESG的な要素が先になるのかというスクリーニングの順番も大切」と続けました。また、「独りよがりでない市場の視点、マーケティングの視点も必要と感じた」としています。小野塚氏は最後に、ハナミレジェンドチームのリポートにあった、開国で日本を訪れた当時の米国総領事ハリスの言葉「彼らはよく肥えて身なりもよく幸福そうである、これが人民の本来の姿だろう」を引用し、「今では世界の幸福ランキングで下位にある日本が、新しい未来に向かって行くにあたり、デジタル化、地産地消もふまえながら、日本らしいESGの企業の在り方、国民の幸福の在り方を考えていくべきかもしれない」と講評しました。

今年で4回目を迎えるブルームバーグ学生投資コンテスト。年を追うごとにレベルが高くなっている、と話すのはアセットマネジメント営業責任者内田です。「短い時間の評価査定が大変難しかった」とし、「受賞の有無にかかわらず、今後も自信を持って研究、自己研鑽に励んでくださいと激励しました。

投資を通じて見えてくる自身や企業の価値観
学生の皆さんは、投資先選定のためにブルームバーグターミナルでESGデータを探し、企業にアンケートを送り、協力いただいた企業にオンラインでミーティングの時間を持つなどやりとりを行っています。

終了後に寄せられた感想のなかに、「ESG投資について深く知るきっかけとなりました。企業・投資家のあるべき姿について、自ら考えるきっかけとなり、将来のビジョンの形成に大きく影響しました」という声や、「ESGは今回のコンテストで初めて知ったが、今後の社会で重要になっていくことが分かった」という回答がありました。またリポートのなかで、「女性活躍に関する開示データの少なさ自体が日本における女性活躍に対する意識の低さを表していることに気づいたのが、非常に大きな学びだった」とコメントしているチームもありました。

コロナ禍という大変厳しい現実に社会全体が翻弄されるなかで、投資コンテストへの取り組みを通して、企業や社会がどうあるべきなのか、自らが働く企業がどのような価値観を持っているのか、また自分が働くことの意義をあらためて考えたという人も多いようです。

ブルームバーグでは、We Work on Purposeという考え方に基づいて、社員それぞれが、ここで働くことの意義を大切に考えながら仕事に向き合っています。皆さんが今後どのように職業や社会に向き合うのかー投資コンテストへの参加が、各自のビジョンを発展させていくための一助になれば幸いです。今後も学生の皆さんを対象としたさまざまな企画を展開してまいります。ぜひ奮ってご参加ください。

最後になりましたが、ご尽力いただいた担当教官の先生方、ご協力いただいた各企業担当者の皆さま、審査員の皆さまにこころより感謝申し上げます。

ファイナリスト8チームおよびレポート特別賞3チームによるレポート集は以下のリンクからダウンロードいただけます。
ブルームバーグ投資コンテスト2020 レポート集

ファイナリストプレゼンテーションの様子は、以下よりオンデマンドでご視聴いただけます。
ブルームバーグ投資コンテスト2020 プレゼンテーション オンデマンド

入賞チーム・参加校

ファイナリスト (チーム50音順)

  • 青山学院白須ゼミ 青山学院大学
  • Inoue Lab 東京工業大学
  • Sakitake-Island 慶應義塾大学
  • Sato Squad 慶應義塾大学
  • Tears 同志社大学
  • ハナミレジェンド 同志社大学
  • 深井研究会 慶應義塾大学
  • ほくろ 同志社大学

レポート特別賞(チーム五十音順)

  • E stock gal’s 国際基督教大学
  • Focal 東京大学/東京大学公共政策大学院
  • 明治大学小原ゼミ 明治大学

参加校一覧(80チーム35校)(50音順)

  • 青山学院大学
  • 関西学院大学
  • 九州大学
  • 京都経済短期大学
  • 京都大学
  • 慶應義塾大学
  • 国際教養大学
  • 国際基督教大学
  • 埼玉大学
  • 滋賀大学
  • 滋賀大学大学院
  • 成蹊大学
  • 専修大学
  • 創価大学
  • 千葉大学
  • 中央大学
  • テンプル大学
  • 東京工業大学
  • 東京大学
  • 東京大学公共政策大学院
  • 東京大学大学院
  • 東京都立大学
  • 東京理科大学
  • 東京理科大学大学院
  • 同志社大学
  • 東洋大学
  • 一橋大学
  • 広島大学
  • フェリス女学院大学
  • 明治大学
  • 立教大学
  • 立命館大学
  • 立命館アジア太平洋大学
  • 琉球大学
  • 早稲田大学