企業文化

Z世代が本気で取り組んだESG投資とは?ブルームバーグESG投資コンテスト2021開催

2022年1月20日

ブルームバーグ東京オフィスでは、2021年12月にESG投資コンテスト2021ファイナリスト決勝大会&表彰式を開催しました。全国26大学55チーム、総勢262名の大学生の中から最終選考に残った上位8チームの皆さんが、3か月にわたって練り上げた投資プランをプロフェッショナルの機関投資家の皆さんの前で発表しました。

テーマとなったESG投資はここ数年で急速に拡大した新しい領域ですが、地球環境や社会構造の変化を背景に、参加学生の皆さんのESGに対する関心も深く、ファンドの構築方針、分析、プレゼンテーションを含め全体として非常にレベルが高いものとなりました。選考にあたった審査員からは、Z世代である参加者のユニークな切り口は「斬新で、示唆に富み、参考になるものだった」といった賛辞が多く寄せられました。

最終的に見事第一位に輝いたのは、京都大学/一橋大学  「Isanobu Five」チーム、第二位は同志社大学「PASSIONISTA」チーム、そして第三位は同じく同志社大学で「OIF」チームとなりました。

第一位の京都大学/一橋大学  チーム「Isanobu Five」は、日本社会の課題である「働きがい」に着目し、転職サイトを活用し従業員のワークモチベーション分析に基づいた投資戦略を構築しました。ESGネガティブスクリーニングとテキストマイニングを用いた独自スコアからワークモチベーションの高い企業を選出し、審査員からは「非常にオリジナリティの高い投資ファンド」と喝采を博しました。ワークモチベーションというテーマにそったデータをいかにスコア化するかという課題においても、妥協せず考察を重ねたことで論理的かつ説得力を持ち、「非常にチャレンジングな手法にもかかわらず魅力的なファンドコンセプト」と高く評価されました。

Isanobu Fiveチームは、「従業員の生の声を客観的に評価すること」の困難さ、そして「汎用的な統一指標整備の必要性」を学んだとし、チームを代表して挨拶した溝前さんは、「まさか私たちが、と驚いています。他チームのプレゼンテーションにも学ぶところが多く、ご指摘いただいた未熟な点を今後ブラッシュアップしていきたいです」と喜びの声を寄せてくれました。

第二位は投資家の視点に立ち、ESG 投資のリスクに強い側面に着目したファンド構築を行った同志社大学チーム「PASSIONISTAです。チームはファンドの頑強性をさらに高めることを目指し、共和分関係とその株価の乖離を分析。特にリスクに強いESG への取り組みを抽出しました。審査員からは、株価の動きとその背後にある構造を「共和分」というコンセプトから投資機会の発掘に結びつけた「完成度の高い投資ファンド」として高く評価されました。また、論理的なスクリーニングプロセスやESGインテグレートとアルファの積極的追求という観点からも「非常に高いレベルでのプロセスの構築」と審査員からの支持を得ました。グローバルアロケーションのプロセスにもう少し論理性を加味すれば「完成度はさらに上がる」とアドバイスがありました。

チームは、「リスクに強いだけでなく、このファンドがESGやSDGsの促進において実際に寄与することができるのか、検証してみたい」と述べています。代表の宮川さんは「大変光栄です。ご協力いただいた皆さんに感謝するとともに今回得た学び、経験を糧にそれぞれの人生をよりよいものにすべく、歩みを進めていきたい」とコメントしました。

第三位の同志社大学「OIF」チームは、日本人の投資行動に潜む非合理性およびその背景にある特有の 3 つのバイアスに着目。「投資家の持つバイアスに沿った ESG への取り組みを行っている企業は企業価値が向上する」と仮説を立ててファンドを構築しました。審査員からは、ESG投資に行動ファイナンス的アプローチを適用したことで「斬新で共感しやすいポートフォリオとなった」と好評でした。またスクリーニングの結果が仮説と整合性があるかどうか、企業訪問なども含め十分な検証を行った点も高い評価につながったとしています。今後はESG投資という側面から、コンセプト全体を貫く論理的なバックボーンを意識すればさらによくなるとアドバイスされました。

今後は、「日本だけでなく世界の投資家のバイアス分析まで研究を広げていきたい」と語るOIFチーム。代表の鶴田さんは、「株式市場には日頃なじみがありませんでしたが、人の心理に着目したさまざまなバイアスにふれることができました」と感想を述べています。

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募集一覧

新しい、黎明期にあるESG投資

2017年より続く本コンテストは学生の皆さんに経済、金融、投資についての理解を深め、金融の最前線を実体験で学べる機会を提供するために開催しているものです。選考では、投資コンセプト、銘柄選別のプロセス、選別された銘柄の妥当性の検証等について、オリジナリティと成熟度の面から幅広く審議されます。

今年は趣旨にご賛同いただいた資産運用会社や業界団体による特別講演や交流会も実施し、審査でもご協力いただきました。審査員による全体の総括(抜粋)は以下の通りです。

  • 今年はプロの運用者を審査員にお迎えしたこともあり、投資案件として魅力的なものにも高い評価がなされていた。受賞は逃したが、環境に着眼した中央大学の「しまうま」チームが提案した炭素調整PERコンセプトについては「商品化できるのではないか」という声も上がった。受賞の有無に関わらず、本コンテストでの学びを糧とし、未来の金融、日本そして世界を担う人材としてご活躍いただけたらと願う。(審査員長:ブルームバーグL.P. ポートフォリオ&リスク・ソリューション 日本営業責任者 内田 雅晴)
  • 多彩なプレゼンテーション、新しい投資哲学や着眼点に、私自身学ぶところが多々あった。受賞外のチームもそれぞれ素晴らしく、僅差だったと思う。ESG投資の世界というのは今回、その一端に触れていただいたようにまだまだ新しくかつ奥深いため、皆さんのような新しい世界観が必要であり、「新参」であっても活躍できる機会が十分にある。若い皆さんが今回のように真剣にチャレンジするということを目の当たりにし、ESG 投資の未来は大変明るいと確信した。(一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会 人材育成委員会委員 平瀬 錬司 氏)
  • 参加者の意識やレベルの高さ、その努力に敬意を表したい。ESG投資やリサーチはまだ新しい分野で、学生とプロの投資家で格差は少ない。データの開示が乏しくまた統一感がない中で、試行錯誤があったと思うが、その結果として素晴らしいレポートになったのではないか。昔と比べて開示の方法は変わってきており、今後も大きく変わっていくだろう。ESG投資の黎明期にこうした機会に挑戦したことで、その立ち上がりを見ることができたのは、今後皆さんの大きな財産となろう。(大和アセットマネジメント株式会社 アクティブ運用第二部 企業調査チームリーダー 兼 スチュワードシップ・ESG推進部 チーフ・アナリスト 寺島 正 氏)
  • ESG投資は、非常に幅広く、かつ確立したものがない分野。非財務と呼ばれるESG要素は、中長期の分析になればなるほど重要性が高く、今後ますますその傾向が高まろう。留意点としてESGが全面に出過ぎた場合、投資としての側面、受益者に良質なリターンを出すことがおろそかになることが危惧されるが、特にファイナリストの皆さんはESGと投資パフォーマンスの視点がしっかりと考慮されていた。(三井住友DSアセットマネジメント株式会社 責任投資推進室長 川鍋 秀樹 氏)
  • ESG投資への注目度が高まる一方で、いわゆるウオッシュへの目線も厳しくなってきている。より明瞭かつ明示的な説明が要求されるなかで、皆さんの分析や戦略は、なぜ、どのようなESGの観点に着目したのか、非常に明確な説明がなされていた。私たちも責任ある機関投資家として、企業及び社会全体の持続的成長、サステナビリティの実現をめざし、日々ESG課題の解決に向き合っている。今回の関わりを通じて、若い世代がESGをどう捉えているかが分かってよかった。(三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社 執行役員運用企画部長 宇野 直樹 氏)
  • 「常識にチャレンジしよう」とする精神を持った皆さんのようなZ世代が牽引していく今後の社会に期待を持つことができた。10年前はこうしたESGデータを開示している企業は世界で5000社ほどしかなく、枠組みもなかった。しかし、審査員としてご協力いただいているような先達のご尽力のおかげで弊社でも業界最多の1万2000社、2100項目を分析に提供できるようになった。その一方で、企業のESGデータはまだまだ不足し、標準化が課題となっている。今後社会に出て行く皆さんには、そうした現実を頭の片隅に入れておいていただければと願う。(ブルームバーグL.P. 日本バイサイド 営業統括責任者 富永 有紀)

最後になりましたが、ご尽力いただいた担当教官の先生方、ご協力いただいた各企業担当者の皆さま、審査員の皆さまにこころより感謝申し上げます。

ファイナリスト8チームおよびレポート特別賞4チームによるレポート集は以下のリンクからダウンロードいただけます。
ブルームバーグESG投資コンテスト2021 レポート集

ファイナリストプレゼンテーションの様子は、以下よりオンデマンドでご視聴いただけます。
ブルームバーグESG投資コンテスト2021 プレゼンテーション オンデマンド

入賞チーム・参加校
ファイナリスト (チーム50音順)

  • 青山学院大学「青山学院白須ゼミ」チーム
  • 京都大学/一橋大学「Isanobu Five」チーム
  • 東京工業大学「Inoue Lab」チーム
  • 同志社大学「OIF」チーム
  • 慶應義塾大学「Sato Squad」チーム
  • 中央大学「しまうま」チーム
  • 関西学院大学「pilot roof」チーム
  • 同志社大学「PASSIONISTA」チーム

レポート特別賞(チーム五十音順)

  • 立命館アジア太平洋大学「AppleCat 」チーム
  • 名古屋大学「Arpeggios」チーム
  • 東京工業大学大学院「TokyoTech FinTech」チーム
  • 明治大学「Victory」チーム

参加校一覧(26校55チーム)(五十音順)

  • 青山学院大学
  • 関西大学
  • 関西学院大学
  • 京都大学
  • 慶應義塾大学
  • 国際基督教大学
  • 成蹊大学
  • 専修大学
  • 中央大学
  • 東京工業大学
  • 東京工業大学大学院
  • 東京大学
  • 東京都立大学
  • 東京理科大学大学院
  • 同志社大学
  • 東洋大学
  • 名古屋大学
  • 二松學舍大学
  • 一橋大学
  • 広島大学
  • 福山大学
  • 法政大学
  • 明治大学
  • 横浜市立大学
  • 立命館アジア太平洋大学
  • 早稲田大学

過去のブルームバーグ投資コンテストの記事:

2020年投資コンテスト

2019年投資コンテスト

2018年投資コンテスト

2017年投資コンテスト