インクルージョン

受け入れ合う文化が根付いているから、自分らしく自信を持って働ける(後半:BPROUD)

2021年10月13日

*本稿は水嶋 レモン氏がDiversity works向けに執筆し、ブルームバーグは掲載許可を得ています。

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ト・カイさん
イギリス、ロンドン出身。イギリスの大学を卒業後、2008年にエンジニアとしてブルームバーグに入社。2012年からはエンジニアリングチームリーダーを務める。2014年に来日し、引き続きエンジニアのチームリーダーとして活躍。東京オフィスの「LGBTアンド アライ コミュニティ」(BPROUD)の共同リーダーとして、社内のLGBTQ活躍推進としたD&I 活動に関わる。

同社の慈善事業に助けられ自分も誰かの役に立ちたいと思った

カイさんが就活時に重視したのは、「地元・イギリスの地域社会に馴染んでいる企業で働いてほしい」というご両親からの強い希望。彼のご両親は、1980年代に難民としてロンドンへ移住しました。しかし、移民であることから地域のコミュニティになじむまで、とても苦労したそうです。「だからこそ、息子である私には、仕事を通じて自然と地域に溶け込んでもらいたいと思ったのでしょうね」とカイさんはやさしい笑顔で当時を振り返ります。

ブルームバーグを志望したのは、ご両親が営む飲食店の常連さんを通じて同社がプログラマーの求人を出していることを知ったことがきっかけ。入社前から「ブルームバーグはいい企業だ!」という確信があったことも後押しになったそうです。

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カイさん「私が育ったイーストロンドン(ロンドンでも貧困層の多い地域)の学校では、均等に学ぶ機会を得られない学生がたくさんいました。そんな彼らに向けてブルームバーグが行っていたのは、英語の本を読み聞かせる事業。英語が読めない子と一緒に本を読むという、とても簡単なことではありますが、私自身もすごく助けられたんですよね。その経験を機に、同社が生活に困っている人たちの慈善事業に力を入れている姿に強く惹かれるようになっていきました。面接はあまり得意ではなかったのですが、面接官の方があたたかく出迎えてくれたうえ、質問時も答えやすいようにリードしてくれて。そのおかげもあって、新卒でロンドンオフィスに入社することができました」

2021年で入社13年目。7年前には東京オフィスへ移動し、現在はエンジニアリングチームのリーダーとして活躍しています。メインはエンジニアの仕事ですが、岡本さんと同じようにブルームバーグコミュニティの活動にも従事。数年前からは、「BPROUD」という、LGBTQ+アライコミュニティの共同代表を務めています。

カイさん「ロンドンオフィス時代も同コミュニティのメンバーでしたが、アクティブに活動するようになったのは東京へ来てから。ロンドンにいたころはオフィスの外にLGBTQを支援するアクティビティがたくさんあったので、個人での活動を優先していたんですよね。だけど、東京では日本語に不慣れなこともあり社外での活動を探すのが難しかったので、BPROUDに参加するようになりました。社内でも確立されたコミュニティであることや、言語の壁がないこと、活動内容の質が高いことも、参加を決めた理由です」

BPROUDが定めているゴールは3つ。ひとつは、アライの方々に積極的に参加してもらうこと。2つめは社員全体のLGBTQが抱える課題に対する認識を上げること。そして3つめは、コミュニティとしての連帯感を高めること。

カイさん「私たちがとても大切にしているのは、コミュニティという居場所を作ることです。当事者の社員が安心できる居場所があれば信頼感も育まれますし、それぞれが自分らしく生きるための環境や気持ちを整えることもできる。そしてゆくゆくは、誰もが日々気持ちよく仕事ができるという部分にも繋がっていくと思っています」

近年では、全社員の業務をより円滑に遂行できるようにするためのプロジェクトにも参加。チームの仲間とアイデアを出し合い、視覚障がいのある社員が使いやすいようにダッシュボードの改良を行った。

インクルーシブな環境が自分を成長させてくれた

近年のBPROUDの活動で、手ごたえを強く感じた取り組みは2つ。ひとつは、2020年に社員全員を対象にリモートで開催した「オープンデイ」という取り組み。自分たちでテーマを決めて自由に話し合うことを目的としたイベントで、現状の平等性や不平等について話し合ういい機会になったそうです。

カイさん「一番感慨深いのは、“平等性”というテーマをみんなで選べたこと。参加者の方々といろいろな意見をシェアして、多くのことを学びあえたのもよかったです。私自身、LGBTQに対する社会全体の意識はまだまだ低いと感じているんですよね。だからこそ当事者の方が抱える葛藤や不平等だと感じた経験を社員の方々に共有できたこの会は、皆で信頼関係を築き合ううえでもとても意義のある時間になったと実感しています」

もうひとつは、8月に行われた「OUT&B-PROUD」という催し。内容は、LGBTQの方が自身のセクシュアリティをカミングアウトした時のエピソードを、少人数のグループ単位で打ち明けるというもの。

カイさん「カミングアウトというのは、当事者以外にはあまりわからない経験だと思うんです。当事者の方たちが各自のストーリーをシェアすることで、LGBTQの人たちがどういう思いで生きているかという認識も高められたのではないかと思っています」

東京レインボープライドに参加

D&Iに関する啓蒙が広く浸透しやすいのは、社員たちが長年培ってきた社内風土があってこそ。いち社員であるエンジニアとして、そしてチームリーダーやコミュニティ代表として、カイさんが特に共感しているのは、インクルージョンが企業文化として成り立っているところだといいます。

カイさん「普段の会話はもちろん会議の決定事項などでも立場や役職に関係なく、様々な人たちと意見を持ち寄り話し合うことで解決策を探すというプロセスが風土にしっかりと根付いている。すべての意見やアイデアにはいいも悪いもないという当社の考え方は、私がエンジニアとして仕事を進めるうえでも大切にしていることでもあります」

自分の意見を発信したり聞き入れたりしてもらえるのも、インクルーシブな環境だからこそ。この“受け入れる”というやりとりは、「社員が自信を育み、成長するためにも大切なことである」とカイさんは語ります。

カイさん「入社したばかりの頃の私は、ネガティブなフィードバックを自分への攻撃や非難と捉えがちでした。しかし、誰に対してもフラットに接するメンバーと対話を重ねるうちに、「これは自分が成長するためのアドバイスなんだ」と前向きに考えられるようになってきたんです。相手の言葉をまっすぐ受け止められるよう成長できたのは、インクルーシブな環境で過ごしてきた恩恵でもあると思っています」

最後に、理想の生き方を軸に仕事を選びたいZ世代に向けてメッセージをいただきました。

カイさん「仕事を探すといっても、自分が何を求め、何がしたいのかわからないこともありますよね。特に若い方は自己が確立しておらず、自分自身がどういう人間かわかっていない方も多いでしょうし。なので、思い切って冒険してしまうのもアリだと思います。「こういう環境や条件じゃないと合わなそう」という考えにとらわれるよりも多少のリスクをとって、考えてもみなかった分野に飛び込んでいく。もしそこが働きにくい職場だとしたら、自分を犠牲にして何年もいる必要はないし、転職という選択肢もありますからね。もちろん会社と戦うのも方法のひとつですよ。ただ、「自分らしく働ける」という部分は妥協しないでください。自分らしくいることは自信やいい仕事、ひいてはいい人生につながりますよ!」

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