苦い薬だけではスペインの病は癒せない、欧州は再考必要―社説
5月1日(ブルームバーグ): 欧州の経済危機封じ込めのための戦いで、スペインはその成否の鍵を握る最前線だが、攻防戦では苦戦を強いられている。
スペイン経済はきりもみ状態に陥っている。既に24.4%と過酷なほどの高水準となっている失業率 は、一部予測では30%に達する可能性さえある。政府の信用格付けは引き下げられたばかりで、資金借り入れコストは6%近くに達し、支払い能力に疑問符が付けられている。投資家がスペインの銀行を見る目は厳しさを増している。
欧州の指導者らはスペインを責めることはできない。中道右派のラホイ政権は競争力強化を目指した改革を進展させ、結果的に失敗に終わったものの、欧州連合(EU)が求めた緊縮策にも取り組んできた。その結果である財政削減はスペイン経済の首を絞め、政府の歳入を干上がらせ、EUの財政目標達成のためにさらなる緊縮が必要となる可能性がますます高まっており、自らの政策が自己破滅をもたらす様相となっている。
EUはスペイン支援に乗り出さねばならないが、これまでとは違う施策を求めていかねばならない。もし欧州の首脳たちがスペインの銀行救済に迅速に動かなければ、また少なくとも景気悪化を緩和しなければ、危機はたちどころに封じ込め困難な状態にまで悪化してしまうだろう。
スペインは過去に例のない不動産バブルを経験、銀行システムはその時に貸し付けた不良債権の重みにあえいでいるが、同国が銀行システムをてこ入れするための選択肢は限られつつある。スペイン政府は銀行セクターの改革に取り組み、資本増強や貸倒引当金の積み増しも要求した。だが、アナリストらはそれでも十分ではないとの見方を強くしている。
不良資産ラホイ政権は銀行の不良資産をバランスシートから外すことによって銀行を守る計画を検討している。しかし、これを進めるに当たっては、政府はない袖を振ってでも資金を注入しなければならない。政府がもし、預金保証のために取ってある資金に手を付ければ-これまでも検討されてきたアプローチではあるが-一方で危機を緩和しても他方で危機を深刻化させることになる。同政権はこのほかにも悪名高いスペインの労働市場改革のために多くの手を打ってきた。
これらの忍耐強い構造改革や賃金抑制によって、同国の長期的展望が改善されるとしても、短期的な救済にはつながらない。救済は、EUが一丸となって、金融緩和や財政引き締めの先送りなどによってのみ与えることができる。スペインは自分のために財政を緩めることはできない。そんなことをすれば投資家を動揺させる恐れがある。従って、どんな実施可能な打開策を実行するにせよ、欧州全域に及ぶ財政政策の合算といった形態が必要になろう。そして欧州中央銀行(ECB)が困窮国家の債券や欧州共同債に対する最後の貸し手としての役割を担う必要がある。
ばかげた賭けドイツが主張しているように、スペインや他の財政悪化国が財政緊縮策を通じて、たとえ低成長やゼロ成長だっとしても、自らの手で経済的安定を取り戻すことができると言い張るならば、それはばかげている。もし欧州の首脳たちが事態が悪化しても行動する時間はあるという方に賭けるなら、それは間違いだ。スペインにプレッシャーを掛けることはもはや生産的ではない。それはあらゆる可能な措置を講じている政府の足元をすくうことになる。もし、賭けが外れたなら、物事はたちどころに解体し、あまりに急速に事態が動くためにプランB(次善の策)さえ効果を発揮しないだろう。
プランBを発動するのは今だ。
原題:Spain’s Slump Requires Europe to Rethink Tough-LovePolicy: View(抜粋)
更新日時: 2012/05/01 15:15 JST