独首相、成長も必要とのECB総裁に賛同-仏オランド候補も
4月26日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は成長加速の重視を呼び掛けた欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁に賛意を表明した。ドイツ当局者らは債務危機との闘いで同国が緊縮財政に固執しているとの批判を否定した。
メルケル首相は25日、与党会派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のベルリンでの会議で、欧州には「ドラギECB総裁がきょう述べたような形、つまり構造改革という形での成長が必要だ」と語った。
ドラギ総裁はこの日ブリュッセルで、欧州首脳らが政策の焦点を債務と赤字の削減から拡大し、成長加速への取り組みを強化すべきだと呼び掛けた。欧州首脳らは3月に、ドイツが提唱した財政協定に署名したが、フランス大統領選挙で優位に立つオランド候補は成長てこ入れに向けた協定の変更を主張し始めた。
ドラギ総裁は「われわれは財政協定を得た」とし、「私が今最も強く考えているのは成長協定を成立させることだ」と語った。
オランド氏は、ドラギ総裁の発言は助けになると述べ、自身が当選した場合、フランスは現行の財政協定は批准しないと言明した。同氏は25日パリでの記者会見で、「現時点での主要なリスクは、企業への十分な信用供与がないために欧州経済がリセッション(景気後退)にとどまることだ」と語った。
1兆ドル規模の欧州ファイアウオールもECBの無制限流動性供給もスペイン、イタリアへの危機波及リスクを払拭(ふっしょく)せず、欧州一の経済大国で救済への貢献国であるドイツに対応強化を求める論調が強まっている。
毅然、かつ友好的な姿勢でオランド候補は世論調査で優位が示唆されている5月6日の決選投票の先を見据え、メルケル独首相に対し「毅然、かつ友好的な」姿勢で接する考えを示し、「対話が必要だ。われわれは意見の相違を隠すつもりはないが、対立を作り出す必要もない」と語った。
3月2日の財政協定署名に向け各国首脳に働き掛けてきたメルケル首相はこの日ベルリンで、緊縮財政が唯一の危機解決策ではないとした上で、「政府債務を増やすだけの景気刺激プログラムではなく、持続可能なイニシアチブという形での成長が必要だ」と語った。
ドイツ政府の当局者は匿名を条件に、成長協定は財政協定に付随する形で、個々の国向けに成長促進措置を推奨するものになる可能性があると述べた。6月18、19日にメキシコで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議を目途に、競争力強化と構造改革の措置を盛り込んだ内容を完成させる公算があるという。
新しい標語、財政規律と成長ファロス・トレーディング(米コネティカット州スタンフォード)のマネジングディレクターで外為トレーディング責任者、ダグラス・ボーズウィック氏は電子メールで、「欧州の新しい標語は財政規律と成長だ」として、「1カ月以内に欧州全域のインフラストラクチャーが発表されると思う」と指摘した。
オランド候補は仏TF1テレビとのインタビューで、欧州には緊縮はもう十分だと発言。2日前にも、当選した場合は経済の成長に軸足を戻す考えを示していた。
トマス・シュテファン独財務次官は、これまで常に債務危機で傷付いた市場の信頼を回復するためには債務削減と成長加速の両方の措置が鍵だとドイツは認識してきたと述べた。
同次官はベルリンでの会議で。「財政規律を論じることは、ドイツが大なり小なりいわば財政再建のタリバンのようなものだということではない」と述べ、「財政再建が全てだと考えているわけではなく、ユーロ圏にはもっと成長が必要だと固く信じている」と語った。
ただ、同次官もドイツ連邦銀行(中央銀行)のドンブレト理事も、高債務国が赤字を削減する重要性に変わりはないと主張した。
原題:Merkel Backs Draghi’s Call for Growth to Combat DebtCrisis (2)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ベルリン Tony Czuczka aczuczka@bloomberg.net;ベルリン Patrick Donahue pdonahue1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Hertling jhertling@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/26 03:26 JST