世界の鉱山業界:「失われた世代」挽回へ、人材争奪戦が激化
4月25日(ブルームバーグ):ブルーノ・リズート氏の父親チェーザレさんは1951年、イタリア南部から船に乗りカナダのハリファクスに降り立った。19歳だった。コートはなく、「ポケットの中には5セント」だけ。オンタリオ州ティミンズの金鉱山に向かい、その後41年間にわたって地下で働いた。
それから約60年。カルガリーを拠点とする人材仲介業者のリズート氏は父親のように鉱山で働く人材を探している。鉱山ブームが盛り上がる中、鉱山各社は世界各地で労働者を探し求めている。同氏は10-20人を南アフリカ共和国からカナダに連れてくる提案書を携える。
カドル・スタッフィングのマネジングパートナーを務めるリズート氏(38)は「人材がいない。これが業界の弱点になると思う」と指摘。「管理能力のある者も現場の労働者もいないので多くのプロジェクトを軌道に乗せることができないだろう」と述べた。
オーストラリアのウエスタンオーストラリア州にある鉄鉱石鉱山やチリの銅山、カナダのケベックの金鉱床など各地で熟練労働者が不足する中、カナダのバリック・ゴールド などの鉱山会社は人材不足を補うのが困難な状況にある。金や銅、石炭などの原材料生産会社は中国などの需要を満たすため鉱山開発を進めている。地質学者やエンジニア、鉱山労働者が一斉に退職する時期に入り賃金が上昇する一方、生産性は低下している。
失われた世代商品相場が下落し採用が滞った1980年代と90年代に大学院の鉱業専攻コースの入学者は落ち込んだ。売上高で世界最大の産金会社、バリックのアーロン・リージェント最高経営責任者(CEO)によると、99-2001年のテクノロジーブームも鉱山業界の就業者減少に拍車を掛けた。
リージェントCEOはインタビューで「当時は基本的に業界として低迷していた。重要ではない業界だった。そのために一世代分の人材を失ってしまった」と振り返る。
カナダの鉱業人材協議会によれば、同国では、鉱山業界の3分の1以上に相当する約6万1550-7万1740人が向こう10年間に退職する見込み。
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更新日時: 2012/04/25 15:33 JST