円全面安、追加緩和観測で売り優勢-ユーロはスペイン国債入札注視
4月19日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が主要通貨に対して全面安。朝方は日本の3月の貿易赤字 が予想を下回ったことで、円買いが強まる場面も見られたが、日本銀行による追加緩和観測が根強く、円は売り優勢となった。
円は対ドルで一時、1ドル=81円56銭まで下落し、前日の海外市場で付けた今月10日以来の安値(81円57銭)に接近。対ユーロでは1ユーロ=106円半ばから一時、4営業日ぶりの水準となる107円04銭まで円安が進んだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の鹿野達史シニアエコノミストは、為替相場は27日の日銀金融政策決定会合で「追加緩和があるという予想を織り込んでの動きになっている」と説明。また、「目先は貿易赤字が続くことが想定されている」とし、貿易赤字も「円安方向の材料」だと指摘した。
ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.31ドル前半でもみ合い。海外時間にスペインの国債入札を控えて、様子見の展開が続いたが、午後には1.3106ドルまでユーロがじり安となる場面も見られた。
追加緩和観測日銀の白川方明総裁は18日、ニューヨークでの講演で、金融緩和の継続にコミットしていると述べ、日本経済は停滞していると指摘した。
日本時間18日には、西村清彦副総裁が「今後も必要に応じて追加的な手段を講じていく姿勢にある」と発言。市場では、日銀が27日の会合で資産買い入れ等基金の増額など追加緩和に動くとの観測が高まっている。
あおぞら銀行市場商品部の諸我晃次長は、「日銀の追加緩和を見越した円ショート(売り持ち)の積み増しが入っているようで、それがきのう、きょうの円安の主要因だ」と指摘。もっとも、緩和期待が強まっている分、日銀会合後に利益確定の動きで「円高方向にいく可能性は否定できない」と話した。
財務省がこの日発表した3月の貿易収支は2か月ぶりの赤字となった。赤字額は826億円で、ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値2232億円を下回った。一方、季節調整済みの貿易収支は13カ月連続の赤字となり、赤字額は6213億円だった。
貿易収支の発表直後、ドル・円は81円30銭付近から一時81円17銭まで円高に振れたが、円買いは続かなかった。諸我氏は、赤字額が小さく一時円が買われたが、「海外勢など81円前半で結構ドル買いを入れてきていると聞いており、その辺の動きがあったと思う」と話していた。
スペイン国債入札を警戒スペインは19日、最大25億ユーロ相当の2年債と10年債の入札を実施する。みずほコーポレート銀行の岩田浩二バイスプレジデント(ニューヨーク在勤)は、好調だった17日の入札は「短期証券で、もともとそれほど心配されていなかった」とし、きょうの入札の「結果次第でどうなるか分からない」と指摘した。
18日の欧州債市場ではスペイン10年債利回りが7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し5.82%となった。一時17bp下げる場面もあったが、スペイン銀行(中央銀行)が同国の銀行の不良債権比率の上昇を発表したことを受け、下げ幅を縮めた。
あおぞら銀の諸我氏は、スペインの利回り上昇はいったん落ち着いており、入札に関して「それほど悲観シナリオというのは出ていないのかもしれないが、もし悪いとまたリスクオフ(回避)になる」と予想。その場合、円には買い圧力がかかることになるが、日銀の追加緩和を期待した円売りもあるため、少なくともきょうあすに関しては円の上値は限られるとみている。
スペイン以外にも、この日はフランスで2017年償還国債と18年償還のインフレ連動債などの入札が行われる。大統領選挙の世論調査で社会党のオランド候補の優位が続く中、フランスも国債利回りの上昇に直面しており、入札の行方が警戒される。
一方、格付け会社フィッチ・レーティングスの幹部クリス・プライス氏は、オランダが緊縮策を実行しないか、政治的対立が経済の妨げになる状況を容認する場合には、同国は最上級格付け「AAA」を失う恐れがあるとの見解を示した。英紙デーリー・テレグラフがインタビューを引用して伝えた。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 Hiroko Komiya hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/19 16:17 JST