【書評】夢の中で妻を殺すのもゴールドマンの行動も習慣
4月5日(ブルームバーグ):スロットマシンのレバーを引くと、リンゴや金の延べ棒の絵柄に混じってラッキー7の数字が回り始める。左と右が「7」、しかし、真ん中の7が半分切れていたら、あなたはどう思うだろう。
「外れた」と思う人も、「惜しかった」と思う人もいるだろう。ギャンブル依存症の人はこれを「ニアミス」、つまりほとんど当たりだったと考えて再びコインを入れてしまう。
スロットマシンのプレーヤーはウォール街のトレーダーに似て、勝つことの精神的興奮を追い求める。そして脳が興奮している間も、人を支配しているのは習慣だ。チャールズ・デュヒッグ氏は著書「ザ・パワー・オブ・ハビット(仮訳:習慣の力)」の中で、習慣がどのように形作られ、どうしたらこれを変えられるかを検証する。
良くも悪しくも習慣というものは、人間が朝起きてまず飲む1杯のコーヒーから夜寝る前の最後の1口のワインまで、全てを左右する。習慣には意識的なものと無意識なものがある。ゴールドマン・サックス・グループはリスクを抑える習慣を意識して育てようとするし、夢遊病で妻を殺してしまうのは無意識の習慣によるものだろう。
しかし研究によると、習慣というのは基本的に神経系回路に沿った単純な流れだと米紙ニューヨーク・タイムズ記者のデュヒッグ氏は指摘する。
著者によると、この流れは3段階から成る。まず、欲求を引き起こす引き金がある。例えば、たばこ好きの人が「マールボロ」の箱を見る。次に、いつもの行動(たばこに火を付ける)が起こる。最後に満足(ニコチンが脳に届く)が来る。引き金、定番の行動、満足、この繰り返しだ。
この回路の流れは脳の最も原始的な中核部に焼き付けられるが、有害な習慣はその仕組みを理解することによって変えられると著者は言う。
「習慣は運命ではない。習慣というものを分解してみれば、修正が可能だ」とデュヒッグ氏は記している。同氏は習慣の形成に関する科学的研究の例を挙げ、爪をかむ癖のある人やギャンブル依存症の人、夢の中で妻を殺してしまう夢遊病患者などを登場させる。
さらに、企業が習慣を利用している例も挙げている。それによると、ゴールドマン社員はすべての決定にリスク判断を織り込むことを習慣付けられるし、スターバックスは同社のバリスタ(エスプレッソをつくる専門職人)たちに、客が怒ってカッカするほど落ち着く習慣を教え込んでいるという。
原題:Kill Your Wife While Sleepwalking or Get Goldman Touch:Books(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ブリュッセル Jim Pressley jpressley@bloomberg.net
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更新日時: 2012/04/05 21:09 JST