Updated: Tokyo  2012/02/23 06:33  |  New York  2012/02/22 16:33  |  London  2012/02/22 21:33
 

ユーロが円・ドルより高収益、キャリートレード-ECBの金融緩和で

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  1月23日(ブルームバーグ):ユーロを借り入れ、高金利通貨などで運用するキャリートレードのリターン(投資収益率)が好調だ。欧州債務危機の深刻化でユーロ圏が3年間で2度目のリセッション(景気後退)の瀬戸際にある中、欧州中央銀行(ECB)は追加の金融緩和に追い込まれる可能性があり、ユーロは調達通貨としての魅力を増している。

  ECBが2年半ぶりに利下げに踏み切った昨年11月以降、ユーロを調達通貨とするキャリートレードは、円やドルを調達通貨とした場合のリターンを上回っている。ブルームバーグ・データによると、ユーロで資金を調達し、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、韓国の通貨バスケットで運用した取引の11月以降のリターンは23日時点で8%。調達通貨を円にした場合のリターンはマイナス0.2%、ドルの場合はプラス1%だ。

  キャリートレードが行われるには、調達通貨と運用通貨間で安定的な金利差が存在し、ボラティリティ(相場変動率)が落ち着いていることが必要条件となる。また、為替差損を被らないために、調達通貨が下落基調にあることも重要だ。ユーロは今月、対ドルで約17カ月ぶり安値まで下落、対円では約11年ぶり安値を付けた。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の世界市場調査責任者、ティム・リデル氏(シンガポール在勤)は、「欧州当局がユーロ安回避に動くとは考えにくく、従ってユーロキャリートレードはより魅力的になる」と指摘。ドルや円といった実質ゼロ金利の他通貨が直面している経済成長はユーロより「まし」だと言う。

            利下げ余地

  ECBは昨年12月に2カ月連続で政策金利を引き下げ、過去最低に並ぶ1%とした。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、今年1-3月(第1四半期)にはさらに0.75%へ引き下げる見通しで、一部エコノミストは0.5%までの利下げを予想している。

  スコシア・キャピタルのストラテジスト、サッシャ・ティハニ氏(香港在勤)は、「われわれはECBが3月末までに0.5%の利下げを行うとみており、このようなシナリオの下、ユーロでの資金調達はさらに安くなる」と説明。「流れを一変させるような大きな展開がなければ、ユーロに対して強気になるのは難しい」とみる。

  米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は今月13日にフランスなどユーロ圏9カ国の格付けを引き下げた。ギリシャに端を発した債務危機はスペインやポルトガルなどの周辺国のほか、イタリアやフランスなどの中核国にも波及。当局の対応が後手に回る中、1-3月期にはイタリアの大量償還などが予定されており、債務問題は一つのヤマ場を迎える。

          リセッションに直面

  世界銀行は先週、ユーロ圏のリセッションが新興諸国の景気減速を増幅させる恐れがあると指摘した。17日発表の世界経済見通しによると、今年の世界経済の成長率はプラス2.5%と、昨年6月時点の同3.6%から修正。ユーロ圏については、前回予想のプラス1.8%からマイナス0.3%に引き下げている。

  ECBのドラギ総裁は政策金利の据え置きを決めた今月12日の会合後の会見で、ユーロ圏経済に安定化の兆しが見られるとの認識を示す一方、景気見通しには債務危機による「相当な下振れリスクがある」とし、ECBには「行動の用意がある」とも述べた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)は12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、少なくとも2013年半ばまで政策金利をゼロから0.25%のレンジに維持する方針をあらためて表明。日本銀行は10年10月から政策金利を「0-0.1%」としている。

  クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通貨ストラテジストは、リセッションに直面する欧州のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)と緊縮財政・金融緩和のポリシーミックスは「通貨安と整合的だ」とし、「金融政策もG3(日米欧)中で利下げに動く可能性が一番高く、追加利下げまではユーロキャリーをやめる理由はない」とみる。

         ECBの総資産が過去最大

  ECBは先月、初の3年物資金供給オペを実施し、4890億ユーロを最低応札金利の1%で金融機関に貸し付けた。記録的規模の資金供給や周辺国の国債買い入れにより、ECBの総資産は12月末時点で過去最大の2兆7400億ユーロ(3兆5000億ドル)まで膨らんだ。FRBのバランスシートは2兆9000億ドルで、日銀は約1兆8000億ドル。ECBは2月末に新たな3年物オペを予定している。

  欧州債務危機の先行き不透明感が根強い中でも株式相場は堅調だ。米国などで予想を上回る経済指標が相次ぎ、世界景気に対する悲観的な見方が和らいでいることが背景にある。

  米S&P500種株価指数は昨年10月の安値から20%超上昇し、先週には終値で昨年7月以来、初めて1300を回復した。投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX)も半年ぶりの水準まで低下。深谷氏は「VIXを見ると、それほどリスク回避ではない」と指摘する。

  ストックス欧州600指数も年初から3.5%上昇。先週は週末に反落するまで4営業日続伸し、終値で5カ月ぶり高値となった。

           消去法でユーロ

  先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関・加重通貨指数によると、ユーロは過去3カ月で先進国通貨に対し4.3%下落。豪ドルは4.3%上昇している。ドルと円はそれぞれ3.6%と0.8%の上昇。

  みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は、「ここ1-2カ月で見ればボラティリティも下がってきているし、ユーロの先安観も出ていて、ドルと円は強含んだままとなると、何で調達したらいいかを考えた場合、消去法的にユーロになる」と指摘する。

  ユーロは17日に対豪ドルで1999年のユーロ導入以降の最安値となる1ユーロ=1.2228豪ドルまで下落した。

  唐鎌氏は、「金融機関がここまで傷んでリスクテークできない中でユーロキャリーがトレンド化するかまだ確証はないが、リスク選好局面で豪ドルが買われても、ユーロが売られているという状況は今までなく、説明を付けるとすればユーロキャリー以外にあまりない」と話す。

          ヘッドライン・リスク

  ユーロの売り持ちが過去最大に積み上がる中、先週はユーロの買い戻しが活発化した。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)でユーロの売り越しが17日時点で16万枚に拡大し、4週連続で過去最大を更新した。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志バイスプレジデントは、「トレンドとしてはユーロ安のシナリオを持っているが、何らかのポジティブなヘッドラインにより、積み上がったショート(売り持ち)を解消する動きが短期的に強まる」リスクには注意する必要があると言う。

            独り負け

  中国国家統計局が17日発表した昨年10-12月(第4四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比8.9%増と10四半期ぶりの低成長となったが、市場予想(8.7%増)は上回った。10年前に中国など4つの新興経済大国をBRICsと命名したゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長はGDPの結果について、中国経済の「ハードランディング」を予想するアナリストらに「一撃」を与えたと述べた。

  ブルームバーグのエコノミスト調査によると、ユーロ圏経済は今年7-9月期まで3四半期連続でマイナス成長が続く見通し。一方、米国は2%台、日本もプラス成長を維持する見込みだ。IMF(国際通貨基金)は昨年9月に公表した世界経済見通しで、12年の新興・発展途上国の経済成長率を6.1%と予想している。

  新生銀行市場営業本部の政井貴子部長は、「今は確たる投資先の選定が難しいが、少し見え始めているのはユーロ圏とその他地域の経済のデカップリング(非連動)の可能性だ」と指摘。中国や米国がけん引し世界景気が持ちこたえ、「ユーロ圏の『独り負け』が確信に変われば、ユーロキャリーがテーマとなるし、すでに始まっている可能性もある」と語る。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya hkomiya1@bloomberg.netシンガポール 近藤雅岐 Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net

記事に関するエディターへの問い合わせ先:東京 大久保 義人 Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.net東京 Rocky Swift

+81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net.

更新日時: 2012/01/23 13:32 JST

 
 
 
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