東電:福島第一原発廃炉に30年、1兆円以上-専門家らが試算(1)
3月30日(ブルームバーグ):東日本大震災で被災し放射能漏れを起こしている東京電力福島第一原子力発電所の原子炉を廃炉にするには30年かかり、費用は1兆円以上に上ると専門家やアナリストはみている。
地震後の大津波で冷却システムが崩壊したことから、6基ある原子炉のうち4基には冷却するために海水を入れたため、復旧は不可能になった。菅直人首相は29日、廃炉になる可能性が高いと述べた。
日本エネルギー経済研究所原子力グループの村上朋子グループリーダーは、福島第一原発1-4号機について、冷却し放射能物質を除去し保管した後に廃炉にする必要があると指摘した。
京都大学原子炉実験所の宇根崎博信教授は、福島第一原発の廃炉には米ペンシルベニア州のスリーマイル島原発の汚染除去を中心とする廃炉にかかった12年よりも長くかかるとの見通しを示した。
菅首相は津波に対する防災が不十分だったとし、東電の安全基準が低すぎたと批判した。1-4号機の燃料棒冷却も高い放射線量を含む水管理区域外でも検出されるなど障害に阻まれ作業が進んでいない。
6基の可能性も
米パーデュー大学のダニエル・アルドリッチ教授(政治学)は、「国民の支持がない中だと6基すべての廃炉を余儀なくされる可能性もある。残りの2基を救おうと思えば、国民の支持を得なければならないが、それは難しいだろう」と語った。
東電の広報担当、松本直之氏は29日、福島第一原発の事故対応に専念しており、同原発の将来についてはコメントできないと述べた。
日本の原子力当局は福島第一原発の事故を国際原子力エネルギー機関(IAEA)の原発事故基準で7段階のうち5に位置付けている。1段階上がるごとに事故の深刻度は10倍になる。
1979年に起きたスリーマイル島事故では、原子炉1基が一部溶融し米原子力史上最悪となり、5に位置付けられた。世界原子力協会のウェブサイトに掲載されているリポートによると、修理と洗浄に12年、9億7300万ドル(約800億円)かかった。洗浄作業には1000人以上の作業員が携わった。
廃炉に30年
日本エネルギー経済研の村上氏は、日本の力だけで行うとすれば、福島第一原発の廃炉には約30年かかるとの見通しを示した。
日本原子力発電は98年に32年の運転を終了した茨城県東海村の原子炉を廃炉にする作業を開始した。作業完了予定は2021年で、費用は885億円。01年6月まで3年かけて原子炉を安定させ核燃料を炉心から除去した。
日本原子力発電に13年間勤務し東海村の原子炉廃炉にも携わった村上氏は「東電が4基の原子炉を廃炉にするのは議論の余地がないことだろう。費用はおそらく1兆円を超えるだろう。損傷した燃料棒を原子炉から除去するのにも2年以上かかる。作業がずれ込めば費用も増加する」と予想した。
チェルノブイリの影
世界の原発事故史上最悪だったチェルノブイリでは、14年までに原子炉を覆っているコンクリート建屋を建て替えなければならないが、ウクライナだけでは資金を賄うことができない。高さ110メートルのアーチ型建屋を建設するには15億5000万ユーロ(約1800億円)かかっているが、欧州復興開発銀行(EBRD)が資金の65%を出している。
記事についての記者への問い合わせ先:Shigeru Sato in Tokyo at ssato10@bloomberg.net東京 岡田雄至 Yuji Okada yokada6@bloomberg.netTsuyoshi Inajima in Tokyo at tinajima@bloomberg.net記事についてのエディターへの問い合わせ:大久保 義人 Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.netAmit Prakash at +65-6212-1167 oraprakash1@bloomberg.net;Clyde Russell at +65-6311-2423 orcrussell7@bloomberg.net
更新日時: 2011/03/30 11:59 JST