天才トレーダーの能力は「生まれつき」、学習不能-遺伝子が決め手
10月12日(ブルームバーグ):瞬時の決断力と失敗からの素早い学習力。株式トレーダーとして成功するために必要なこれらの能力は、習得できるものではなく天賦のものらしいことが、ドイツの神経科学者らの研究で分かった。
ベルリンのマックス・プランク・インスティチュート・フォー・ヒューマン・ディベロップメントの学者らの研究によると、このような天性の才能はVALと呼ばれる変異遺伝子2つを持っている人々に備わっている。VALは脳で分泌される化学物質ドーパミンの働きに影響を与える。研究結果は12日発行のプロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズに掲載された。
研究者らは1000人の被験者のDNAを調べVAL遺伝子2つを持つ13人と、METという別の遺伝子を持つ13人を選び出した。MET遺伝子を持つ人は記憶力と注意力を必要とする実行機能テストで好成績であることが以前の研究で分かっている。今回の研究ではVALを持つ人が迅速な決断に優れていることが分かったと、研究を率いたハウケ・ヘーケレン氏は述べた。
同氏は「特定の遺伝子を持つ人々がどんな能力を持っているかを特定するためには、今回よりはるかに大規模な研究と新たなデータ分析が必要だ」とした上で、「そのような研究によってトレーダー向き、経営者向き、裁判官向きの人間を特定できるかというのは、また別の難しい問題だ」と付け加えた。
今回の研究は最近注目度を増している「ニューロエコノミクス(神経経済学)」と呼ばれる分野の一環。この分野は生物学的な脳の仕組みが経済行動や意思決定にどう影響するかを扱う。
METもVALも、COMTという酵素に影響する。この酵素はドーパミンの成分と、ドーパミンが脳内の2カ所のいずれに配分されるかを左右する。ドーパミンは脳内の前頭前皮質の発達に重要だとされている。ヘーケレン氏によると、この部位は政策策定や道徳的な意思決定を制御する。ドーパミンはまた、腹側線条体と呼ばれる脳内の別の部位の機能にも必須。こちらの部位は欲望をつかさどり、報酬を得たり間違いを認識したりすることで学習していくという。
研究では被験者に、パターンを認識し複数の選択肢の中から最善のものを選ぶゲームをさせた。パターンはしばらく時間がたつと変わるため、予想と異なる結果に素早く適応できる被験者の得点が高くなる。
「これは株式市場に似ている」とヘーケレン氏は指摘した。VALを持つ人はMETを持つ人に比べ5-10%成績が良かったという。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:アムステルダム 木下 晶代 Akiyo Kinoshita akinoshita2@bloomberg.netEditor:Yoshito Okubo記事に関する記者への問い合わせ先:Rob Waters in San Francisco at rwaters5@bloomberg.net.
更新日時: 2009/10/13 16:03 JST