12月4日の海外株式・債券・為替・商品市場
12月4日(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎外国為替市場
ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要通貨に対して上昇。午前に発表された11月の米雇用統計の改善を受けて、連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げ観測が高まった。
週間ベースでの円はドルに対して1999年以来で最大の下げを記録。円がキャリー取引の資金調達通貨として選好されるとの見方が強まった。キャリー取引は低金利通貨で資金を調達し、高金利通貨で運用する取引。ユーロは南アフリカ・ランドやポーランド・ズロチに対して下落した。リスク需要の高まりが背景。カナダ・ドルは商品相場の下落をきっかけに上げ幅を縮小した。
バンク・オブ・ノバスコシアの通貨ストラテジスト、カミラ・サットン氏(トロント在勤)は「雇用統計で米金融当局の利上げ決定が近づきつつあるとの見方が強まった。これがドルの支援材料だ」と語った。
主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は午後3時49分現在、1.6%上げて75.811。終値ベースで今年1月以来最大の上げだった。
金利見通し
金利先物市場動向によると、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月のFOMCで政策金利を引き上げる確率は53%。前日は43%、1週間前の同確率は31%だった。
ドルは円に対して一時2.8%上昇して90円77銭。前日は88円26銭だった。週間では4.6%高と、過去10年以上で最大の値上がり。ドルはユーロに対して1.4%値上がりして1ユーロ=1.4846ドル(前日は1.5053ドル)。ユーロは円に対して1.1%上昇して1ユーロ=134円34銭(前日132円87銭)だった。
米雇用統計
米労働省が発表した11月雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比1万1000人減少と、純減幅が前月から縮小した。10月は11万1000人減(速報値19万人減)に修正された。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想(12万5000人減少)も下回った。家計調査に基づく11月の失業率は10%(前月10.2%)に低下した。
ガイトナー米財務長官は4日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、米失業率は今後1年以内に10%を下回るとの見通しを述べ、景気回復は雇用消失よりも雇用創出に近づいているとの認識を示した。
カナダ・ドルは対米ドルでほぼ変わらず。原油や金の相場下落が嫌気された。
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相は4日、ユーロはドルと人民元に対して「明らかに過大評価されている」と述べた。
ユンケル首相は同国での記者会見で、「中国に対して対ユーロでの人民元上昇の容認を訴え、「現在世界で最も速いペースで成長している中国の通貨が絶えず下げているというのは、長期的にみてあり得ないからだ。早急に現状の変革を求めたい」と述べた。
◎米国株式市場
米株式相場は上昇。週間ベースでの上げ幅を拡大した。11月の米雇用統計で雇用者数の純減幅が予想を大きく下回ったことが好感された。またガイトナー米財務長官が、経済成長の改善に伴い労働市場は一段と改善するとの見通しを示したことも終盤の株価を押し上げた。
米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)が上げたほか、オンライン求人・求職サービス大手のモンスター・ワールドワイドが急伸。11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)の純減幅が予想以上に縮小した。失業率は10%に低下。同統計の発表後、主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は上昇、金先物相場は1年ぶりの大幅安となった。鉱山持ち株会社のフリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドなどの資源株が売られ、相場全体の上げ幅は限定された。
S&P500種株価指数は前日比0.6%高の1105.98。ダウ工業株30種平均は22.75ドル(0.2%)上昇の10388.90ドル。
LPLファイナンシャル(ボストン)の最高投資責任者(CIO)、バート・ホワイト氏は「雇用者の純減幅は市場の想定よりもかなり小さく、ここ何カ月間で最も好調な内容だった」と指摘。「この流れを止めるものがあるとすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)による歯止め、つまりFRBが講じる金融政策に対する懸念だ」と述べた。
S&P500種は日中、もみ合いだった。投機の抑制に向けFRBが政策金利を引き上げるとの懸念が重しになった。バーナンキFRB議長は前日、資産価格バブルの抑制で金融政策を利用する可能性を排除しないと述べた。新興市場各国からは、過去最低水準の政策金利が同各国での価格押し上げにつながっているとの意見が浮上していた。
FF金利先物
主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は一時1.6%上昇。金利先物市場動向によると、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までに政策金利を引き上げる確立は55%と、前日の43%から上昇した。
米労働省が発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比1万1000人減少と、純減幅が前月から縮小。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想(12万5000人減少)も下回った。家計調査に基づく11月の失業率は10%(前月10.2%)に低下した。
全米経済研究所(NBER)で景気循環判定委員会の責任者を務めるスタンフォード大学のロバート・ホール教授はインタビューで、労働市場の改善は戦後最悪のリセッション(景気後退)が終了した可能性があることを示唆していると述べた。ただ、正確な終了月はまだわからないとした。
「雇用の谷間」
ホール教授は、「この日の統計は、雇用の谷が12月近辺になることを示しているようだ」と指摘した。
BOAは2.8%高。同社は普通株相当証券を1証券当たり15ドルで発行し、193億ドルを調達した。この証券は1預託証券(DS)と1ワラント(新株引受権)で構成されており、株主が承認すれば普通株式1株への転換が可能になる。
S&P500種の金融株指数は1.7%高と、セクター別10業種中の値上がり率トップ。格付け会社の米ムーディーズは7.7%値上がりし、9月29日以来の大幅上昇だった。
雇用統計を好感し、人材派遣会社も高い。モンスター・ワールドワイドは12%高と、8月7日以来の大幅高。
金先物相場の値下がりを背景に、素材株指数は安い。フリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドは4.7%安。産金会社のニューモント・マイニングは4.5%下げた。
◎米国債市場
米国債市場では2年債相場が8月以来の大幅安。11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の純減幅が市場予想を下回り、雇用市場が戦後最悪の低迷を抜け出しつつある兆候が示された。
2年債利回りは一時、前日比14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の0.86%を付けた。非農業部門雇用者数は1万1000人減。失業率は10%と、10月の10.2%から低下した。
SEIインベストメンツで80億ドル相当の資産運用に携わるショーン・シムコ氏は「きょうの相場の主な材料は雇用統計の内容が予想よりも良かったことだが、入札も投資家の頭にはあり、これも売り要因となった可能性はある」と指摘。「米金融当局が利上げを開始するのは時期尚早だ」と述べた。
BGキャンター・マーケット・データによると、2年債利回りはニューヨーク時間午後4時7分現在、前日比11bp上昇の0.84%。2年債(表面利率0.75%、2011年11月償還)価格は7/32下げて、9926/32。
「高過ぎる」
みずほ証券USAの米国債トレーディング責任者、ジェームズ・コンビアス氏は「良い経済指標が1つ出てもすべては解決しない。だが、以前の価格や株式相場とのかい離を考えると、債券価格は高過ぎたといえる」と述べた。
全米経済研究所(NBER)で景気循環判定委員会の責任者を務めるロバート・ホール氏はインタビューで、「きょうの雇用統計で、雇用情勢の底は今月近くとなりそうな感じが出ている。生産活動の谷は夏ごろだった可能性が高い」と指摘した。
FF金利先物
シカゴ商品取引所(CBT)のフェデラルファンド(FF)金利先物を基にした予想によると、来年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合までに政策金利が少なくとも0.5%に引き上げられる確率は18%で、前日の13.1%から上昇した。6月のFOMCでの同様の確率は52.9%(前日は43%)に高まった。
ドルは主要貿易相手国通貨に対し1月以降で最大の値上がり。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場は、前日付けた過去最高値1オンス=1227.50ドルから一時、4.9%下げた。
ドイツ銀行のプライベート・ウェルス・マネジメント部門の債券トレーディング責任者、ゲーリー・ポラック氏は「大半の投資家は今回の雇用統計の改善を多少懐疑的に見る必要がある」と指摘。「供給管理協会(ISM)がきのう発表した11月の非製造業総合景況指数は50を下回り、サービス業の雇用低迷が示された。きょうの雇用統計ではサービス業の雇用が大幅に増えている。これら2つの数字はつじつまが合わない」と述べた。
◎金先物市場
ニューヨーク金先物相場は1年ぶり大幅安となった。朝方の取引で値上がりしたものの、ドルの上昇を手掛かりに売りに転じた。
主要6通貨のバスケットに対するICEのドル指数は一時1.6%上昇。米労働省が発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比1万1000人減少と、減少幅がエコノミスト予想の12万5000人減少を下回った。金は3日に付けた過去最高値の1オンス=1227.50ドルから最大で5.9%下げた。
ラサール・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のトレーダー、マット・ジーマン氏は「非常に多くの人々が金投資に参入していたため、この日のドル上昇に驚いて出口に殺到した」と指摘。「金はドルの荒い値動きに左右されている」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物2月限は前日比48.80ドル(4%)安の1オンス=1169.50ドルで取引を終了した。
◎原油先物市場
ニューヨーク原油相場は下落。予想外の米失業率低下を受けて一時は値上がりしたものの、ドル相場の上昇で商品への投資意欲が薄れた。
対ユーロでのドル上昇は過去5カ月以上で最大となった。雇用統計によると、11月の失業率は10%に低下。原油価格はこれを受けて、1.9%上昇する場面もあった。サウジアラビア石油相はこの日、「現在の価格に問題はない」と述べつつ、供給は減少傾向にあるとの認識を示した。
エナジー・セキュリティー・アナリシス(マサチューセッツ州ウェイクフィールド)の原油市場ディレクター、リック・ミュラー氏は、「雇用統計は良好な内容で、需要の改善を示唆した」と指摘。「景気の強さを示す指標は通常なら原油の強気材料になるが、今の状況はもっと複雑だ。ドルの上昇でヘッジファンドは商品売りに転じた」と説明した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物1月限は前日比99セント(1.29%)安の1バレル=75.47ドルで終了した。年初からは69%の値上がり。
◎欧州株式市場
欧州株式相場は総じて上昇。11月の米非農業部門雇用者数の減少幅が大きく縮小したうえ、同月の失業率が前月から低下したことが背景。ダウ欧州600指数は週間ベースで上げ幅を拡大した。
世界2位の人材派遣会社、オランダのランドスタッドは7.7%上昇。スイスの保険会社、バロイズ・ホールディングも上昇。UBSが同銘柄の買いを推奨したことが買いを集めた。
ダウ欧州600指数は1.1%高の249.03。朝方には0.6%下げる場面も見られた。週間ベースでは2.7%上昇した。年初からは26%上昇。
米労働省が発表した11月雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比1万1000人減少と、純減幅が前月から縮小した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想は12万5000人減少だった。家計調査に基づく11月の失業率は10%(前月10.2%)に低下。景気回復に伴い、第二次大戦後で最悪の雇用情勢が改善しつつあるとの見方につながった。
OFIアセット・マネジメントのファンドマネジャー、ピエール・アレクシス・デュモン氏(パリ在勤)は、「11月の米雇用統計は励まされる内容だ。これで景気刺激策による下支えなしでも株価は上昇できるようになる」と語った。
ビール醸造で世界3位のハイネケンは3.3%高。ピーターカムは同銘柄の投資判断を「ホールド」から「買い増し」に引き上げた。割安感がでていることを理由に挙げた。同社のアナリスト、クリス・キッパース氏は「ビール銘柄は不況時でもキャッシュフローを作れる。コスト削減が利益につながり、販売高も比較的持ちこたえており、収益力は強い」と指摘した。
◎欧州債券市場
欧州債相場は下落。11月の米雇用統計で、同国経済がリセッション(景気後退)から回復しつつある兆候が増えたことが背景にある。
ドイツ10年債の利回りは約1週間ぶり高水準に上昇。米雇用統計では、非農業部門雇用者数の純減幅がリセッション入り以降で最も小幅にとどまったほか、失業率も予想外に低下した。独連邦銀行(中央銀行)は4日発表した半期経済見通しで、2010年の同国の成長率予想を上方修正し、向こう2年の経済見通しは「目に見えて明るさを増した」との認識を示した。
ノムラ・インターナショナルの欧州金利戦略責任者、チャールズ・ディーベル氏(ロンドン在勤)は米雇用統計について、「重要な数字で、市場も真剣に受け止めている」と指摘。「トレンド形成とまではいかないが、少なくとも安定しつつあることは示している」と述べた。
ロンドン時間午後4時半現在、独10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の3.23%。一時は8bp上昇の3.25%と、ここ3週間余りで最大の上げとなる場面もあった。前週末比では8bpの上昇。
10年債(表面利率3.25%、2020年1月償還)価格は前日比0.54ポイント下げ100.10。2年債利回りは6bp上げて1.35%。
◎英国債市場
英国債市場は下落。11月の米雇用統計で雇用者数の純減幅が市場予想を下回り、米経済の回復が加速しているとの見方が強まった。
英10年債利回りはほぼ1カ月間で最大の上昇となった。米労働省が発表した11月の雇用統計で、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比1万1000人減少と、純減幅はブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想(12万5000人減少)を下回った。株式相場は上昇、英ポンドはユーロに対して値上がりした。
カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロンドン在勤)は、「外部要因、特に米雇用統計が英国債相場を動かしている」と指摘。「来週には市場の関心は国内材料に移るだろう」と述べた。
ロンドン時間午後4時5分現在、10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の3.70%。これは11月19日以来の高水準。同国債(表面利率4.5%、2019年3月償還)価格は0.59ポイント下げて106.24。2年債利回りは5bp上昇の1.19%。
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更新日時: 2009/12/05 08:33 JST