7月23日の海外株式・債券・為替・商品市場
7月23日(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ユーロ週間で下落-テスト後も不安
今週のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが主要通貨の過半数に対して下落。欧州連合(EU)による銀行ストレステスト(健全性審査)の結果、不合格となったのは7行にとどまり、銀行の資本不足に対する不安緩和には至らなかった。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア為替ストラテジスト、ウィン・シン氏は、「透明性に対する不安を大きく緩和する効果は望めない」と指摘。「ストレステストはさほどストレスをもたらさなかったようだ」と続けた。
株式相場の上昇に伴い、ユーロ安を見込んだポジションの手じまいが進み、ユーロは前日比では上昇した。円は対ドルで下落。日本の政局から3日連続で円高による成長リスクが指摘されたことから、是正措置に踏み切るとの観測が強まった。ハンガリーのフォリントは反落。ムーディーズ・インベスターズ・サービスはハンガリー格付けを引き下げ方向で見直すと表明した。
ニューヨーク時間午後4時28分現在、ユーロは対ドルで今週0.1%下落の1ユーロ=1.2914ドル。先週末は1.2930ドル。円は対ドルで1%下げて1ドル=87円43銭。先週末は86円57銭だった。
ストレステスト
欧州銀行監督者委員会(CEBS)は、欧州銀行のストレステト(健全性審査)の結果、7行が通過しなかったと発表。不足している資本総額は35億ユーロ(約3900億円)だった。
欧州連合(EU)当局は、域内の金融機関91社がリセッション(景気後退)とソブリン債危機を乗り切れるかどうかを査定。中核的自己資本(Tier1)比率6%を合否ラインとした。債務危機によりギリシャやスペイン、ポルトガルの国債相場が急落したことを受け、各国政府は自国の金融機関の健全性に対する投資家の不信を是正したい考えだ。
CEBSによると、ストレステストは銀行が取引する債券について欧州諸国のソブリン債に絡む損失を査定したものの、償還まで保有する債券については対象としなかった。
ゲイン・キャピタル・グループ傘下のオンライン為替取引会社FOREXドット・コム(ニュージャージー州ベドミンスター)のチーフストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏は、「信頼性が欠如している」と指摘。「想定シナリオがもたらすストレスを甘くみているようだ」と述べた。
「先は長い」
今週のユーロは主要16通貨のうち、13通貨に対して下落。逆に対円では最も上昇した。ユーロは先週までは週間ベースで3週連続で上昇していた。月初来では5.2%の値上がり。
BNYメロンの為替グループのマネジングディレクター、サマルジット・シャンカー氏(ボストン在勤)は、「投資家が今回認識し、今後も認識を変えないのは、ユーロ圏銀行とユーロ圏の政策当局者にとって、先は長いということだ」と指摘。「結局はファンダメンタルズがものを言うことになるだろう」と語った。
円が対ドルで下げた背景には、日本政府からの発言が影響した。荒井聡国家戦略兼経済財政担当相は23日の閣議後会見で、「株安や円高が急テンポで進めば景気の下押し要因になりかねない」と懸念を示した。内閣府の津村啓介政務官は三役会議後の記者説明で、円相場について「現在の為替水準は少し高すぎるというのが印象としてあるかもしれない」と指摘した。
円高リスク
今週は、直嶋正行経済産業相をはじめ、複数の当局者から円高を懸念する声が出ている。日本銀行の山口広秀副総裁は21日、現在の為替円高が企業マインドや企業活動にどの程度の影響を与えるのかは「一定の時間をかけながら判断していくべきもの」と述べ、当面は勢を静観する姿勢を示した。
日本の通貨当局が最後に円売り介入を実施したのは2004年。主要7カ国(G7)による協調介入は、2000年のユーロ買い介入以来、行われていない。
◎米国株:続伸、ジェンザイム買収観測やGEの増配で
米株式相場は続伸。ダウ工業株30種平均は年初からの下落分をほとんど埋めた。医薬品メーカーのジェンザイムが買収されるとの観測から、M&A(企業の合併・買収)活動の回復ペースが加速しているとの楽観が広がった。ゼネラル・エレクトリック(GE)が増配を発表したことも買い材料になった。
ジェンザイムは15%急伸し、2000年以来の大幅高。フランスの同業サノフィ・アベンティスが同社に買収を打診していたことが関係者2人の話で明らかになった。GEは3.3%高。今年1-6月(上期)が過去10年以上で最高の業績となったフォード・モーターも上昇。ベライゾン・コミュニケーションズも高い。同社は新製品の携帯端末投入が寄与し、加入者数の伸びが加速した。
S&P500種株価指数は前日比0.8%高の1102.66。1カ月ぶりに1100を上回って終了した。ダウ工業株30種平均は102.32ドル(1%)上昇の10424.62ドル。昨年末からの下落率は0.1%未満に縮小した。
ジェームズ・インベストメント・リサーチのマネーマネジャー、トム・マンガン氏は、「市場はヘルスケアセクターでのM&Aに関する憶測に反応しており、株式へのウエートが低い投資家は居心地が悪くなっている」と指摘。「株式へのウエートが低い投資家は、株価が高値圏で推移しているときには心臓が止まるほど怖い思いをする。相場が底ばいのときは、なにも保有していなければよかったと思うものだ」と述べた。
午前はもみ合い
サノフィがジェンザイムに「非公式な買収の打診を行った」と米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じるまで、株式相場はもみ合いで過ごしていた。ブルームバーグのデータによると、今年に入って米企業が受けた買収提示額の総計は既発表ベースで3970億ドルと、前年同期を11%上回る。同データによると、医薬品メーカーや医療関連企業が370億ドル相当を占め、買収を仕掛ける企業のトップとなっている。
GEは四半期配当を1株当たり10セントから20%引き上げ、12セントとする発表。自社株買いの期間延長も明らかにした。
株価が朝方にもみ合った背景には、欧州の銀行に対して実施していたストレステスト(健全性審査)の結果を見極めようとしていたためとの見方もある。
欧州の91銀行を対象としたストレステストでは、通過しなかったのは7行で、不足する資本総額は35億ユーロ(約3900億円)だった。同テストを統括した欧州銀行監督者委員会(CEBS)が23日発表した。ドイツの不動産金融大手ヒポ・レアルエステート・ホールディングは、同国の銀行としては唯一の不合格となった。スペイン貯蓄銀行協会の発表によれば、カイシャ・カタルーニャを中心とする貯蓄銀行グループも不合格。
予想上回る
S&P500種は今月2日以降7.8%上昇。企業業績に対する楽観が背景にある。ブルームバーグのデータによると、S&P500種構成銘柄で12日以降に決算を発表した149社のうち、約85%の企業の1株当たり利益が市場予想を上回っている。
フォードは5.2%高。同社上期の利益は47億ドルとなり、上期業績としては1998年以来で最高だった。4-6月(第2四半期)の黒字は連続5四半期目。一部項目を除いたベースの1株当たり利益は68セントと、ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリスト12人の予想平均(41セント)を上回った。
ベライゾンは3.8%高。米携帯電話サービス最大手の同社は、4-6月決算で利益がアナリスト予想を上回った。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォン(多機能携帯端末)で加入者を集めた。
◎米国債:下落-株式相場上昇やリスク選好で
米国債相場は下落。2年債利回りは過去最低から上昇した。米医薬品メーカーのジェンザイムが買収されるとの観測から株式相場が上げたほか、欧州銀行のストレステスト(健全性審査)で、対象となった91行のうち84行が合格したことでユーロが上昇し、リスク選好が高まった。
この日は一時、今回のストレステストでは政府のデフォルト(債務不履行)をかわせるだけの健全性は示されていないとの観測から下げを消す場面もあった。米財務省は来週、総額1040億ドル規模の国債入札を実施する。
MFグローバルの債券部門シニアバイスプレジデント、リチャード・ブライアント氏は「きょうは株式相場に合わせて動いている」とし、「ストレステストが終わり、来週には入札がある」と述べた。
BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4時25分現在、2年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の0.58%。一時過去最低となる0.5516%を付ける場面もあった。同年債(表面利率0.625%、2012年6月償還)価格は、1/32下げて100 3/32。10年債利回りは6bp上昇し、2.99%。
米株式市場では、S&P500種株価指数が前日比0.8%高の1102.66で終了。終値ベースで1100を上回るのは、6月22日以来初めて。外国為替市場では、ユーロが対ドルで0.2%上昇し、1ユーロ=1.2915ドル。
ストレステストでは、銀行が取引する債券について欧州諸国のソブリン債に絡む損失を査定するものの、償還まで保有する債券については対象としないことが、欧州中央銀行(ECB)の文書の草稿から分かった。
取引債券での損失に限定
22日付の機密文書によると、テストでは「デフォルト(債務不履行)は想定していないため、ヘアカット(掛け目、担保価額の割引率)は取引債券ポートフォリオにのみ適用される」。
ヒュー・ファンステーニス氏らモルガン・スタンレーのアナリストによれば、金融機関はギリシャ国債の約90%を保有ポートフォリオ、10%を取引ポートフォリオに組み込んでいる。
野村ホールディングスの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏(ニューヨーク在勤)は「欧州の銀行システムがいかに密接にかかわり合っているかを考えれば、取引債券も保有債券もすべて対象にすべきだった」と指摘した。
「断定は難しい」
MFグローバルのブライアント氏は「欧州銀行セクターの健全性を示すに当たり、ストレステストが本当のところ何を意味するか、また判断基準がどれだけ優れているかを断定するのは難しい」と語った。
◎NY金:4日ぶり下落、ストレステスト後のユーロ安映す
ニューヨーク金先物相場は4日ぶりに下落。欧州銀行監督者委員会(CEBS)は、欧州銀行のストレステスト(健全性審査)の結果、91行のうち7行が通過しなかったと発表。これを手掛かりにユーロの対ドル相場が下げ、金売りにつながった。
EUは、これら7行はソブリン債危機を乗り切ることができないと判断した。ユーロの対ドル相場は一時0.8%下げ、ドルに代わる投資先としての金への需要が後退した。金は6月21日に付けた過去最高値1オンス=1266.50ドルからは6.2%下げている。
インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドディーラー、フランク・マギー氏(シカゴ在勤)は、「金は一時的にドルとの逆相関関係を取り戻しつつある」と指摘。「金はユーロに追随して下げている」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場8月限は前日比7.80ドル(0.7%)安の1オンス=1187.80ドルで取引を終了。週間ベースでは8.4%上昇した。
◎NY原油:11週間ぶり高値から下落、暴風雨への懸念薄れ
ニューヨークの原油先物相場は下落。熱帯性暴風雨「ボニー」はメキシコ湾の石油プラットフォームに打撃を与えるには至らないとの見方から、11週間ぶり高値から値下がりした。
原油は一時1.1%安。米国立ハリケーンセンター(NHC)の表によると、ボニーは24日にメキシコ湾に達するまでに若干勢いを強める可能性がある。原油は週間ベースでは上昇。経済成長ペース加速の兆候から世界的に株価が上昇したことで原油が買われた。
コンフルエンス・インベストメント・マネジメント(セントルイス)のチーフ市場ストラテジスト、ビル・オグレイディ氏は、「前日あれだけ上昇すれば、いくらか下げるのは理に適っている」と指摘。「22日にあれほどの高値で引けたのは、熱帯性暴風雨が原因だ。進路は警戒すべきだが、熱帯性暴風雨にとどまり、さほど発達しないだろう」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日比32セント(0.40%)安の1バレル=78.98ドルで取引を終了した。22日には株価上昇を背景に79.30ドルと、終値としては5月5日以来の高値だった。9月限は今週3.3%上昇した。
◎欧州株:4日続伸、英GDPや独景況感の改善を好感
欧州株式相場は4日続伸。英国内総生産(GDP)が4年ぶりの大幅な伸びを示したことや、ドイツの企業景況感指数が予想に反して上昇したことを好感。欧州の銀行に対して実施していたストレステスト(健全性審査)の結果に関する懸念を相殺した。
スポーツ用品メーカーの独アディダスやオランダの塗料メーカー、アクゾ・ノベルは、決算が市場予想を上回ったことを背景に大きく値上がりし、全体の上昇をけん引した。ストレステストの結果を控え、スペインのサンタンデール銀行も高い。英デナ・ペトロリウムは13%急伸。韓国石油公社が、同社に提示していた買収額を引き上げた。
ストックス欧州600指数は前日比0.6%高の255.97で終了。週間の上げ幅は3.2%に拡大した。日中は一時上げを消す場面もあった。
シュローダー・インベストメント・マネジメントのチーフ欧州エコノミスト、アザド・ザンガナ氏は「ストレステストから、市場が求めていたような明確かつ透明な情報が得られることを期待したい」と発言。「理想はすべての銀行が合格することだが、もちろん一部に問題を抱える銀行が存在することもわかっている」と述べた。
アディダスが高い
アディダスは2.2%高。同社が発表した4-6月(第2四半期)決算は、純利益が1億2600万ユーロと前年同期の900万ユーロから増加した。アナリスト予想は7090万ユーロだった。
アクゾ・ノベルは2.6%高。同社の4-6月(第2四半期)決算は、純利益が2億7300万ユーロ。前年同期は1億5500万ユーロ。市場予想は1億9000万ユーロ。
◎欧州債:ドイツ国債下落-独景況感と英GDP改善で
欧州債市場ではドイツ国債が下落。7月のドイツ景況感指数が予想に反して3年ぶり高水準となったほか、英経済が予想を上回るプラス成長となったことに反応した。
独2年債利回りは1週間ぶり低水準から上げに転じた。ドイツのIfo経済研究所が23日発表した7月の独Ifo企業景況感指数は106.2と、前月の101.8から上昇し、2007年7月以来の高水準となった。エコノミスト予想では低下が見込まれていた。
RIAキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、ニック・スタメンコビッチ氏(エディンバラ在勤)は、「Ifo指数は予想に反して伸びたことから、ドイツ国債に悪影響を及ぼした」と発言した。
ロンドン時間午後4時24分現在、独2年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の0.76%。同国債(表面利率0.5%、2012年6月償還)価格は0.11ポイント下げ99.525。独10年債利回りは2.71%と、前日から4bp上昇した。前週末比では2年債利回りはほぼ2bp低下したのに対し、10年債利回りは12bp上げた。
英政府統計局(ONS)が23日発表した英国の4-6月期のGDP速報値は前期比1.1%増加し、4年ぶり高成長となった。これはブルームバーグがまとめたエコノミスト予想のほぼ2倍の伸び。1-3月(第1四半期)は前期比0.3%増だった。
◎英国債:下落、GDP統計に反応-10年債利回り3.44%
英国債相場は下落。この日発表されたGDP(国内総生産)統計で、英経済が4-6月(第2四半期)に4年ぶり高成長となったことに反応した。
英政府統計局(ONS)が23日発表した4-6月期のGDP速報値は前期比1.1%増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト32人の予想中央値では0.6%増が見込まれていた。1-3月(第1四半期)は前期比0.3%増だった。
コメルツ銀行の為替ストラテジスト、ルッツ・カーポウィッツ氏(フランクフルト在勤)は「GDP数値は本当に素晴らしかった」と述べた。
10年債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.44%、2年債利回りは7bp上げ0.88%となり、いずれも月初来の高水準となった。
ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS)がまとめた指数によると、英国債の年初来のリターン(投資収益率)はプラス5.78%。これに対しドイツ国債はプラス6.5%。
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更新日時: 2010/07/24 07:08 JST