【日本株週間展望】弱含み、好決算も下期不安で反応鈍い-金利高警戒
10月30日(ブルームバーグ):11月第1週(2-6日)の日本株相場は弱含みの展開が予想される。国内で発表が相次ぐ4-9月期決算で企業収益の改善傾向は確認されているが、下期業績の先行き不透明感を背景に、投資資金の流入が限られる状況は続きそう。長期金利の先高観が広がりつつあることも、相場の重しだ。
日興コーディアル証券・国際市場分析部の橘田憲和ストラテジストは、「国内決算を受けた株価反応は限定的で、物色に広がりが出てこない」と指摘。構造改革路線の象徴であった郵政民営化を見直すことが正式に決まり、「海外勢の資金流出も懸念される」とし、日経平均株価の直近安値(10月6日の9628円)が意識されそうという。
10月最終週は、米国の個人消費や住宅関連統計が市場予想に届かなかったほか、円高進行も嫌気され、輸出関連や素材株が軟調に推移、29日には日経平均が3週間ぶりに1万円の大台を割り込んだ。週間下落率は2.4%。
企業の4-9月期決算発表が本格化している。新光総合研究所の29日時点の集計では、東証1部企業(除く金融)の20%、時価総額ベースで33%が終了し、245社の経常利益は前年同期比72%減(事前予想は82%減)。一方、2010年3月期通期の経常益予想については上方修正が81社と、下方修正の52社を上回っている。
企業収益の改善傾向は確認できるものの、「リストラ効果が大きく、トップラインは苦戦が目立つ」と、DIAMアセットマネジメントの岩間恒シニアポートフォリオマネジャーは指摘。同氏によると、「損益分岐点比率が高水準にあり、輸出企業で収益に対する為替感応度が上がっていることも、先行き警戒感を高める要因」という。
下期読めず、11月1週決算はトヨタなど
実際、決算発表を終えた主要輸出企業の株価反応の鈍さから、投資家の慎重姿勢が垣間見える。26日には日立製作所が10年3月期の売上高予想を小幅に下方修正する一方、損益水準を大きく上方修正した。同社株は翌27日こそ2.3%上げたものの、その後は売りに押された。
27日にはホンダが今期利益予想を大幅に上方修正、翌28日のホンダ株は3.3%高となったが、同業のトヨタ自動車や日産自動車などに買いは波及しなかった。日興コーデ証の橘田氏は、「マクロ経済環境に不透明感が濃く漂い、下期の収益改善度合いも読めないため、買いの勢いが同業他銘柄や相場全般に広がらない」と嘆く。
11月1週に4―9月決算発表を予定している主要企業は、2日に帝人や旭化成、川崎重工業、4日にオリックスや王子製紙、5日にトヨタ自動やニコン、6日にオリンパス、古河電気工業など。
米欧など金融政策会合、「出口戦略」示唆も
海外では、3-4日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるほか、3日にオーストラリア準備銀行の金融政策決定会合、4-5日に英中銀の金融政策決定委員会、5日には欧州中央銀行(ECB)理事会も予定されており、各国で金融政策の変化が示されるかどうかに、投資家の関心が高い。
しんきんアセットマネジメント投信のチーフエコノミスト、宮嵜浩氏は、米国で金融政策を平時モードに戻す「出口戦略」に備えた動きが出てくる可能性が高く、その場合に金融市場がどのような反応を示すかを見極めたいという。「将来の利上げを意識する格好でドルの買い戻しが起きれば、ドルと逆相関にある原油先物など商品相場の下落基調が鮮明化し、資源株への売りが強まる」と、同氏は警戒感を示す。
米金利に上昇バイアスがかかりやすいなか、日本でも国債増発懸念などから、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが27日、約2カ月半ぶりに1.4%台に上昇、株式相場の新たな不安材料に台頭してきた。有利子負債が多い不動産や電力、その他金融株などが金利負担増の懸念から売られやすいほか、「国債で多額の資金を運用する銀行や保険株にも短期的にマイナスに働く可能性がある」と、いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は指摘する。
米国でISMや雇用関連統計
第1週は、米国経済に関する注目材料が多い。2日に米供給管理協会(ISM)による10月の製造業景況指数が発表され、3日には10月の自動車販売台数、4日に10月のISM非製造業景況指数やADPエンプロイヤー・サービシズによる米民間部門の10月雇用統計と、マクロ関連指標の発表が相次ぐ。ADP雇用統計は、週末6日に米労働省が発表する雇用統計を占う上で注視される。
日本の輸出動向との連動性が高い米ISM製造業景況指数については、エコノミストの予測中央値が53(前月は52.6)となっており、製造業活動の拡大と縮小の境目を示す50を3カ月連続で上回る見通し。ただ、同指数の回復モメンタム(勢い)鈍化が意識されるようだと、日本企業の輸出の伸びも期待しづらいとして、指数寄与度の高い電機株や自動車株からの資金流出を招く可能性もある。
米GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費の動向を大きく左右する雇用関連指標のエコノミスト予想の中央値は、ADP雇用統計での米民間部門の10月雇用者数が前月比19万人減(9月は25万4000人減)、米労働省による雇用統計では非農業部門雇用者数が17万5000人減少(同26万3000人減)、失業率が9.9%(同9.8%)。
*T 【市場関係者の当面の日本株相場の見方】●プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパン 篠原慎太郎株式運用部長 「先行きが不透明で、相場は二の足を踏んでいる状態だ。もっとも、在庫水準は非常に低く、ここから生産が落ち込むことはないだろう。基本的には景気は回復の方向に向かっているため、大きく下がることはないと見ている。懸念材料は新興国を中心とした利上げ。早急に利上げが進むと、投資家心理を冷やしかねない」
●中央証券の大越秀行株式部長 「米国にらみの1週間になりそう。FOMCで出口戦略をにおわすコメントの変更が行われれば、株式相場にはマイナスになる。ただ、住宅減税や追加対策が議論されている段階で、実際に変更が行われるとは考えにくい。日本企業の業績は良好で、米国株が下振れても日本株の下値は限定される可能性が高い。とはいえ、国内の政策不透明感や銀行の増資懸念など日本独自の要因から上値も追いにくい」
●十字屋証券の岡本征良・投資情報室長 「新興国の株価や為替が動意づいている。世界の資本市場の流れが転機を迎え、変動率が高まる過程にあるのかもしれない。しかし、中国などでは、二番底を回避するために政府が景気浮揚策を打ってくる可能性が高く、世界の株式相場は結果的にもみ合いとなるのだろう。日経平均は1万円前後でもみ合う公算が大きい」
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更新日時: 2009/10/30 17:16 JST