7月2日の海外株式・債券・為替・商品市場
7月2日(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル上昇、米雇用減でリスク志向が後退
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが主要通貨の大半に対して上昇した。朝方発表された6月の米雇用統計で今年初めて非農業部門の雇用者数が前月比でマイナスとなったことから、米国の景気回復が減速する可能性があるとの観測が広がり、投資家のリスク志向が後退した。
ユーロは対ドルでの上げを縮小した。雇用統計や5月の米製造業受注の予想以上の落ち込みを嫌気し、米株が下落したのが背景にある。
BNYメロンの為替グループのマネジングディレクター、サマルジット・シャンカー氏(ボストン在勤)は、「民間部門の回復ペースは今も非常に遅い」と指摘。「消費者マインドや支出を圧迫する可能性があり、米経済の回復は非常に長くてゆっくりしたものになると考えられる」と述べた。
ニューヨーク時間午後4時24分現在、ドルは対ユーロで0.2%下げて1ユーロ=1.2548ドル。前日は1.2527ドルだった。一時は0.7%下げた。ドルは対円で0.2%上昇して1ドル=87円80銭(前日は87円60銭)。円は対ユーロでは0.4%安の1ユーロ=110円15銭(前日は109円74銭)だった。
週間ベースではユーロは対ドルで1.4%上昇。円は1.6%上昇した。これで昨年11月以来最長となる4週連続の上昇となった。
雇用統計と製造業受注
労働省が発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比12万5000人減少した。特に2010年国勢調査関連の一時雇用者は22万5000人減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は13万人減少だった。民間部門雇用者は8万3000人増加した。家計調査に基づく6月の失業率は9.5%と、前月の9.7%から低下した。
米商務省が発表した5月の製造業受注額は前月比1.4%減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は前月比0.5%減少だった。
豪ドル上昇
この日はドルと円が一時、主要通貨の大半に対して値下がりする場面があった。米株が上昇し、ブラジルやオーストラリアといった資源国の通貨が買いを集めたのが背景だ。
BNPパリバの為替ストラテジスト、セバスチャン・ゲーリー氏は雇用統計について、「市場参加者はもっと悪い数字が発表されると恐れていた」と述べ、「最初の反応は安堵(あんど)感といったところだ」と続けた。
オーストラリアのギラード首相は鉱山会社と新たな資源税で合意した。これを受けて景気減速懸念が緩和され、オーストラリア・ドルは上昇した。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの為替ストラテジスト、ニール・メラー氏(ロンドン在勤)は、「資源税の合意発表は高利回り通貨に下げ休止の機会を与え、円に圧力がかかった」と述べた。
◎米国株:下落、雇用や製造業統計で回復鈍化懸念
米株式相場は下落。ダウ工業株30種平均は7日続落し、2008年の金融危機以来で最長の連続安となった。6月の米雇用統計で民間雇用者数の伸びが予想を下回ったほか、製造業受注が減少したことから、景気回復が鈍化しているとの懸念が強まった。
ゼネラル・エレクトリック(GE)、キャタピラー、バンク・オブ・アメリカ(BOA)が値下がりし、ダウ30種平均の下落率上位を占めた。上場する米アパート管理会社で最大手のエクイティ・レジデンシャルも安い。シティグループによる同社の投資判断引き下げがきっかけ。このほか、航空株が下落した一方、買収観測を背景に製薬株は上昇した。
S&P500種株価指数は前日比0.5%安の1022.58。終値ベースでは昨年9月4日以来の安値。同株価指数は5日続落。ダウ工業株30種平均は46.05ドル(0.5%)下落の9686.48ドル。
ジョンソン・イリントンで18億5000万ドルの運用に携わるヒュー・ジョンソン会長は「市場のセンチメントを表す言葉として思いつくのは『警戒』だ」と指摘。「市場参加者の多くが、株式相場は業績の妥当な見通しに基づけば、過小評価もしくは割安だと確信している。しかし、市場はメッセージを発信しており、それは景気や業績に対するわれわれの見通しがかなり楽観的過ぎるというメッセージだ」と述べた。
S&P500種は週間では5%安。製造業の拡大ペース鈍化や新規失業保険申請件数の予想外の増加、住宅販売の減少が示されたことから、景気回復基調が揺らいでいるとの懸念が高まった。6月の米雇用統計で、民間部門雇用者は8万3000人増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は11万人増だった。また、5月の米製造業受注額は前月比1.4%減少と、減少率は市場予想のほぼ3倍となった。
ビッグス氏は売却
米ヘッジファンドのトラクシス・パートナーズを運営するバートン・ビッグス氏は、再び景気後退に陥るとの懸念から、今週は保有するほとんどすべてのテクノロジー株を売却したと述べた。同ヘッジファンドは2009年に38%のリターンを残した。
ビッグス氏は、同ヘッジファンドに占める強気な取引の割合を最大40ポイント削減したとし、政府の支出抑制で「軟調な」経済がリセッション(景気後退)に陥るとの観測に基づいていると話した。同氏は6月29日、同ファンドではロング(買い持ち)が70%を占めていると語っていた。
ビッグス氏はこの日のインタビューで、「わたしは気が変わった」とし、「大いに弱気というわけではないが、現時点で多くのリスクは負いたくない」と続けた。
S&P500種は引けにかけて一時、上げに転じる場面もあった。ヘルスケアや通信関連株が押し上げに寄与した。
ショートカバー
シーポート・セキュリティーズのディレクター、ジェーソン・ワイズバーグ氏は「上昇はただ、今週組んだショート(売り持ち)ポジションの買い戻しに過ぎない。それ以外は何もない」と述べた。
エクイティ・レジデンシャルは2.4%安。同銘柄を含むS&P500種の不動産株指数は2.1%下落し、業種別24指数の値下がり率トップ。シティグループはエクイティ・レジデンシャル株を「ホールド」から「売り」に引き下げ、住宅および倉庫不動産株は成長見通しに比べると割高だと説明した。
航空株も値下がりし、コンチネンタル航空は9.3%安。ソールベリー・リサーチのアナリスト、ジェームズ・ヒギンズ氏は、同社の4-6月(第2四半期)の利益見通しを引き下げた。デルタ航空は5.9%安。USエアウェイズは5.3%値下がり。
◎米国債:もみ合い、雇用統計後の株価が方向定まらず
米国債相場はもみ合い。方向感のない展開となった株式相場につれた。この日発表された6月の米雇用統計では、雇用者数の減少幅が市場予想よりも小幅にとどまった。
10年債と2年債の利回り格差は、5営業日ぶりに拡大。民間部門の雇用者が6カ月連続で増加するなか、デフレ懸念が後退したことが背景にある。米国の景気回復が失速しつつあるとの観測から、2年債利回りは今週、過去最低を付ける場面があった。
CRTキャピタル・キャピタル・グループの国債戦略責任者、デービッド・エーダー氏は「多くのマイナスのニュースを織り込む状況にきている」とし、「当面、ほかの水準で買いを入れる機会をうかがうべきかもしれない」と語った。
BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4時15分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.98%。同年債(表面利率3.5%、2020年5月償還)価格は7/32下げて104 14/32。
米労働省が2日に発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比12万5000人減少した。2010年国勢調査関連の一時、雇用者が22万5000人減ったことが響いた。ブルームバーグ・ニュースがまとめた非農業部門雇用者数のエコノミスト予想中央値は13万人減少だった。
民間部門雇用者は8万3000人増加した。失業率は9.5%と、前月の9.7%から低下した。
「懸念は現実にはならなかった」
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のマネジングディレクター、ウィリアム・オドネル氏は、「懸念は現実にはならなかった」と指摘。「景気が二番底に向かっていると言うにはあまりに時期尚早だ」と述べた。
株式市場ではS&P500種株価指数が0.5%安。一時は0.5%高となる場面もあった。週間では5%下落となった。
10年債利回りは今週14bp低下。前日には2.8793%と、09年4月28日以来の低水準を付けた。2年債利回りは3bp下げて0.62%。6月30日には過去最低となる0.5856%に低下した。
10年債と2年債の利回り格差(イールドカーブ)は2.35ポイントに拡大。前日は一時2.28ポイントと、昨年10月2日以降で最小となった。
イールドカーブ
イールドカーブの平坦化は、投資家の長期債への需要の高まりを示唆している。長期債は通常、インフレの鈍化を背景に上昇する。一方2年債の利回りは米政策金利の影響を受ける傾向が強い。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、米国債の今年1-6月(上期)のリターンは5.9%。S&P500種株価指数は同期間で7.6%下落した。
世界最大の債券ファンドを運用する米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は、6月の米雇用統計について、「今後の景気と雇用の拡大が非常に鈍いものになる」ことを示唆していると指摘。
また、「失業率が10%近くにある状況で、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに動けるとは考えられない」と述べた。
◎NY金:反発、欧米経済を懸念し投資家は価値保存を優先
ニューヨーク金先物相場は反発。欧米の景気に対する懸念から価値保存手段としての需要が高まった。
米雇用者数は今年初めて減少し、労働市場の回復の弱さを示唆した。債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、ドイツや英国などが想定よりも早く予算削減に取り組むなか、欧州が再びリセッション(景気後退)に陥るリスクがあると指摘した。
MKSファイナンスの通貨・金属担当取引責任者、バーナード・シン氏(ジュネーブ在勤)は、「金は安全な逃避先とみなされている。欧州も米国もまだ良い状況にあるとは言えない」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場8月限は、前日比1ドル(0.1%)高の1オンス=1207.70ドルで取引を終了した。前日の通常取引終了後には、一時1196ドルまで下落していた。週間では3.9%安。
◎NY原油:5日続落、米雇用者数と製造業受注の減少で
ニューヨーク原油先物相場は5日続落。6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が今年初めて減少し、製造業受注が予想よりも落ち込んだことを嫌気し、売りが続いた。
原油は一時1.8%安。米労働省が発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比12万5000人減少。2010年国勢調査関連の一時雇用者が22万5000人減少したことが響いた。米商務省が発表した5月の製造業受注額は前月比1.4%減と、2009年3月以降で最大の減少率となった。予想は0.5%減だった。
ドイツ銀行のエネルギー担当チーフエコノミスト、アダム・シミンスキー氏(ワシントン在勤)は、「第3四半期の経済状況は厳しくなり、それは原油価格に反映されるだろう」と述べた。ただ、「厳しい状況にあるが、景気が二番底に向かっているというわけではない」と付け加えた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日比81セント(1.11%)安の1バレル=72.14ドルで取引を終了した。一時は71.62ドルと、6月8日以来の安値をつけた。
◎欧州株:総じて上昇、米失業率低下で-BHPビリトン高い
欧州株式相場は総じて上昇。6月の米雇用統計で、失業率が予想外に低下したことから、米経済は健全だとの安心が広がった。
英豪系のBHPビリトンやリオ・ティント、スイスのエクストラータが高い。オーストラリア政府は鉱山会社に対し提案していた資源税の税率を引き下げた。英デナ・ペトロリウムは22%の大幅高。同社は韓国石油公社から買収を打診されたと明らかにした。デンマークのバイオテクノロジー企業ジェンマブは46%急伸。同社は英グラクソ・スミスクラインと医薬品に関して新たな同意を交わしたことで、新株発行のリスクが後退したと受け止められた。
ストックス欧州600指数は前日比ほぼ変わらずの237.27で引けた。騰落比率は2対1。同株価指数は週間では4.5%値下がりし、4月15日に付けた年初来高値からの下落率は13%に拡大した。ブルームバーグのデータによると、これにより同指数の株価収益率(PER、業績ベース)は11倍と、2008年以来の低水準となった。
ブロックハウス・アンド・クーパー(モントリオール)のストラテジスト、ピエール・ラポワンテ氏は電子メールで、「雇用創出は定着しつつある」と指摘。「歴史的にみて、米失業率がピークにあるときは世界的に株式相場の上昇が持続する可能性がある」と述べた。
BHPビリトンが高い
BHPビリトンは1.7%、リオ・ティントは1%、エクストラータは3%いずれも上昇。豪政府は新たな資源税の税率を30%とし、鉄鉱石と石炭の利潤に適用すると発表した。従来計画ではあらゆる資源の利潤に一律40%の課税が提案されていた。
デナ・ペトロリウムは22%高と、08年11月以来の大幅上昇。同社は、韓国石油公社から「買収に関して非常に初期段階の打診を受けた。最終的な買収案につながるかもしれないし、つながらないかもしれない」と明らかにした。
◎欧州債券市場:ポルトガル債中心に上昇-入札一過で調達懸念和らぐ
欧州債市場ではポルトガルとアイルランドの両国債相場を中心に上昇した。欧州の周縁国が資金調達で困難に直面するとの懸念が和らいだことが背景にある。
この日発表された6月の米雇用統計で、雇用者の減少幅が市場予想より小幅だったことを背景に、ドイツ国債相場は下落し、他国債とのスプレッド(利回り格差)は縮小した。フランスとスペインは前日に国債入札を実施し、今週のユーロ諸国の国債発行額は約270億ユーロとなった。来週はオーストリアとドイツが国債入札行う。
コメルツ銀行(フランクフルト)の金利ストラテジスト、マルセル・ブロス氏は、「今週の大規模な入札をうまくこなした。来週の入札額は極めて限定されたものだ」と述べ、「周縁国にとっての大きな悪材料が取り除かれた」と続けた。
ポルトガル10年債利回りは前日比24ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の5.41%と、終値としては先月14日以来の低水準となった。同国債(表面利率4.8%、2020年6月償還)価格は1.74ポイント上げ94.38。独10年債とのスプレッドは26bp縮小し275bpとなった。
アイルランド10年債の利回りは16bp下げ5.38%、ギリシャ10年債利回りは13bp低下し10.3%。同年限のイタリア債の利回りは4.03%と、前日から7bp低下した。
一方、独10年債利回りは前日比2bp上昇し2.59%。米労働省が同日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比12万5000人減少した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は13万人減だった。6月の米失業率は9.5%と、前月の9.7%から低下した。
◎英国債市場:下落、米雇用統計を嫌気-10年債利回り3.35%
英国債相場は下落。米民間部門の雇用者数が増加したことをきっかけに、比較的安全とされる国債の需要が後退した。
10年債利回りは1年2カ月ぶり低水準近くから上昇した。米労働省が2日発表した6月の雇用統計によると、民間部門雇用者は8万3000人増加した。全体では12万5000人減少した。エコノミスト予想では13万人減少だった。
BNPパリバ(ロンドン)の金利ストラテジスト、マテオ・レゲスタ氏は「株式などのリスク資産の上昇で英国債を含めた国債の魅力が若干弱まった。米雇用統計は力強い内容だったとは言い難いが、最悪のシナリオが現実化しなかったことから、売りの口実になった」と語った。
ロンドン時間午後5時20分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.35%。前日は3.31%まで下げた。同国債(表面利率4.75%、2020年3月償還)価格は前日比0.26ポイント下げ111.47。2年債利回りは2bp上昇の0.78%。
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更新日時: 2010/07/03 07:05 JST