半導体各社、明暗分かれる-東芝とエルピーダ好調、ルネサスは赤字
7月29日(ブルームバーグ):国内半導体メーカー各社の2010年度第1四半期(4-6月期)決算が29日、出そろった。メモリー事業を手掛ける東芝とエルピーダメモリは好調で大幅な利益を計上したが、システムLSI(大規模集積回路)事業で4月に合併した国内2位のルネサスエレクトロニクスは赤字が残り、明暗が分かれた。
国内首位の東芝は、NAND型フラッシュメモリーが米アップルの「iPhone」などスマートフォン(高機能携帯端末)向けを中心に需要が世界的に拡大。会見した村岡富美雄副社長によると、半導体事業の収益は「計画を大きく上回った」。システムLSIは小幅な赤字、ディスクリート(個別半導体)は小幅黒字だったが、メモリーが補った。
メモリーは平均単価が前年同期より5%程度の下落にとどまったこともあり、半導体事業の売上高は前年同期比23%増、営業損益も同362億円の赤字から222億円の黒字に転換した。
DRAMメーカー世界3位のエルピーダは、売上高が同2.4倍の1763 億円と四半期で過去最高、営業損益は同423億円の赤字から444億円の黒字に転換し、同最高益。パソコン、携帯電話、スマートフォン、電子書籍端末向けなどの需要拡大に加え、薄型テレビ向けも伸びた。
富士通の半導体事業は、システムLSIを含むデバイスソリューション部門が前の期の固定費削減などが奏功し、黒字転換。4-6月期の売上高は前年同期比22%増の1585億円、営業損益も161億円の赤字から60 億円の黒字に浮上した。デジタル家電や自動車向けが回復したためで、システムLSIだけでも、09年10-12月期から四半期ベースで黒字を確保しているという。
ルネサスは不振、利益なき繁忙
他方、NECの半導体子会社だった旧NECエレクトロニクスと、日立製作所と三菱電機の共同出資会社だった旧ルネサステクノロジが4月1日に合併したルネサスは振るわなかった。国内と米国の工場の固定資産を減損処理した結果、4-6月期の純損失は331億円だった。
売上高は2920億円、営業損益は3億円の赤字。主力の汎用マイコンや、産業機器や自動車用のシステムLSIは伸びたが、携帯電話やゲーム機用の半導体は低迷した。赤尾泰社長は、工場の稼働率は平均9割程度に回復したと説明した。
しかし、ルネサスは昨年後半以降の半導体市況回復の恩恵を受けられていない。世界のシステムLSIメーカーの営業利益率は、4-6月期決算で独インフィニオン・テクノロジーズ、伊仏マイクロエレクトロニクスに比べ、ルネサスは回復が大きく後れている。利益なき繁忙のため、MFグローバル証券調査部ディレクターのデービッド・ルーベンスタイン氏は「最も好況な今年にきちんと利益を計上できなければ、次の不況期にはどうするのか」と懸念する。
4000人削減、製造の外部委託加速
新たに策定した12年度までの中期計画では、約4万7000人の従業員のうち4000人を削減するほか、再配置も実施する。固定費用削減のため、リストラや各種構造改革で収益を改善するのが狙いだが、どの工場をどのように再編成または閉鎖するかについて、赤尾氏は「検討中」として明らかにしなかった。
合併後初めて開示した通期の業績予想は、純損益が前の期の1378億円の赤字から800億円の赤字へと赤字幅縮小を見込んでいる。売上高は旧2社の合算値との比較で前期比12%増の1兆1900億円、営業損益は1133億円の赤字から70億円の黒字転換を目指す。
赤尾氏によると、自社の現状の生産能力は「可能な限り維持する」が、製造の外部委託を大幅に増やす考えという。このため、半導体の受託製造を専門に行うファウンドリーで世界最大手の台湾TSMCと、米AMDとアブダビ政府系投資会社が設立したグローバルファンドリーズに委託を進める。
JPモルガン証券のアナリスト、和泉美治氏はルネサスについて「まず、人員が多すぎる」と指摘した上で、「ファウンドリーへの製造委託をもっと進めていくべきだし、現状ではボリュームビジネスにおいて価格競争力を維持できないだろう」との見方を示した。
-- Editor: Tetsuki MurotaniNorihiko Kosaka
記事についての記者への問い合わせ先:東京 中島三佳子 Mikako Nakajima mikako@bloomberg.net
更新日時: 2010/07/29 19:31 JST