日銀:10年度成長率を2.6%に上方修正-政策金利据え置き(Update2)
7月15日(ブルームバーグ):日本銀行は15日午後、同日開いた金融政策決定会合で、4月末に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)の中間評価を行い、2010年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しをプラス1.8%からプラス2.6%に上方修正したと発表した。政策金利は0.1%に据え置くことを全員一致で決定した。
中間評価によると、政策委員の見通しの中心値は、11年度の実質GDP成長率がプラス2.0%からプラス1.9%に下方修正された。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比上昇率は10年度がマイナス0.5%からマイナス0.4%に上方修正。11年度はプラス0.1%に据え置かれた。
日銀は「4月の展望リポートで示した見通しと比べると、成長率は新興国の一段の高成長などを背景に2010年度は上振れるが、11年度についてはおおむね見通しに沿って推移すると予想される」と指摘。物価については「国内企業物価・消費者物価指数(除く生鮮食品)とも、おおむね見通しに沿って推移すると予想される」としている。
1日発表の日銀企業短期経済観測調査(短観)は、輸出、生産の増加により企業収益が上向いていることを背景に、企業の景況感が幅広く改善した。もっとも、先行きについては、ギリシャの財政危機に端を発した欧州の景気悪化懸念や、中国の引き締め政策、米国の政策効果はく落による景気減速懸念により、不透明感が強まっている。
足元の景気は堅調
短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス1と前回調査から15ポイント改善。リーマン・ブラザーズ破たん前の08年6月調査以来2年ぶりのプラスに転じた。白川方明総裁は8日、定例支店長会議であいさつし、景気は「緩やかに回復しつつある」と指摘。先行きも「回復傾向をたどる」との見方を示した。
しかし、前田純一名古屋支店長は8日の会見で、東海経済の先行きについて「経営者の間では慎重な見方が多い」と指摘。「エコカーの新車購入補助金が9月末で終了し、10月以降は反動が懸念されることに加え、欧州の財政問題への不安、それに米国の自動車販売の回復が芳しくないことが先行きの見方を少し弱くしている」と述べた。
日銀が3カ月に1度実施している生活意識に関するアンケート調査(6月調査)では、物価が1年前に比べて「上がった」とする回答が35.8%と08年9月調査以来7期ぶりに増加した。これまでのガソリン価格上昇などが物価観に影響したとみられるが、世界経済減速への懸念から国際商品価格が下落に転じたことを受け、6月の国内企業物価指数は前月比0.4%低下と8カ月ぶりのマイナスに転じた。
みんなの党の躍進で圧力も
参院選で日銀法改正やインフレ目標導入を主張する「みんなの党」が躍進したことで、日銀に対する風圧がこれまで以上に強まるとの見方が強まっている。日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「民主党の惨敗となり、新たな連立をどの党と組むかが注目される。連立相手がみんなの党や国民新党であれば、日銀に対する追加緩和要請が強まる可能性がありそうだ」という。
日銀が打ち出した成長基盤強化を支援するための新貸出制度に対し、みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行が相次いで申請を表明するなど、同制度を利用する動きが広がっている。大和総研の田谷禎三顧問は「新貸出制度は実施に向けて順調に滑りだしているようだが、日銀に対する圧力を緩和する切り札にはなりそうにない」と語る。
JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は、参院選後の政局が不安定化する可能性を指摘しつつも、「『デフレから早期脱却』と言う点では大半の党が一致しているため、日銀に対する圧力は高まることが予想される」と指摘。「この点は日銀も十分に理解しており、今後も日銀が『玉を打ち続ける』ことは事実上既定路線だろう」としている。
日銀は15日の金融政策決定会合で、長期国債の買い入れ額を月1.8兆円に据え置いた。議事要旨は8月13日に公表される。白川方明総裁は午後3時半に記者会見する。
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見通しは次の通り(前年度比、%。<>は政策委員見通しの中央値)
【政策委員の大勢見通し】
実質GDP 国内企業物価指数 コアCPI
【2010年度】 +2.5~+2.7 +1.2~+1.3 -0.5~-0.2
<+2.6> <+1.2> <-0.4>
4月時点の見通し +1.6~+2.0 +1.1~+1.5 -0.5~-0.2
<+1.8> <+1.3> <-0.5>
【2011年度】 +1.8~+2.1 +0.5~+0.9 0.0~+0.2
<+1.9> <+0.8> <+0.1>
4月時点の見通し +2.0~+2.2 +0.5~+0.8 -0.1~+0.2
<+2.0> <+0.7> <+0.1>
【政策委員の全員の見通し】
実質GDP 国内企業物価指数 コアCPI
【2010年度】 +2.2~+2.7 +1.0~+1.4 -0.5~-0.2
4月時点の見通し +1.5~+2.0 +1.0~+1.6 -0.6~-0.2
【2011年度】 +1.8~+2.1 +0.5~+1.0 -0.1~+0.3
4月時点の見通し +1.9~+2.4 +0.4~+1.0 -0.1~+0.3
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金融政策決定会合、金融経済月報等の予定は以下の通り。
会合開催 総裁会見 金融経済月報 議事要旨 8月9、10日 8月10日 8月11日 9月10日 9月6、7日 9月7日 9月8日 10月8日 10月4、5日 10月5日 10月6日 11月2日 10月28日 10月28日 - 11月19日 11月15、16日 11月16日 11月17日 12月27日 12月20、21日 12月21日 12月22日 1月28日 1月24、25日 1月25日 1月26日 2月22日 2月16、17日 2月17日 2月18日 3月18日 3月14、15日 3月15日 3月16日 4月12日 4月6、7日 4月7日 4月8日 5月9日 4月28日 4月28日 - 5月25日 5月19、20日 5月20日 5月23日 6月17日 6月13、14日 6月14日 6月15日 未定
総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情勢の展望(展望リポート)は10月28日と4月28日、議事要旨は午前8時50分。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 Masahiro Hidaka mhidaka@bloomberg.net
更新日時: 2010/07/15 13:17 JST