7月30日の海外株式・債券・為替・商品市場
7月30日(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルは一時86円割れ、米景気減速で
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが円に対し一時、今年初めて86円を割り込んだ。4-6月(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)で景気の減速が示されたことが嫌気された。月間ベースでは3カ月連続の下落となった。
円はユーロに対して1週間ぶり高値に上昇。セントルイス連銀のブラード総裁が29日、米国が日本型のデフレに近づいているとの認識を示したことを受け、投資家の安全需要が高まった。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの為替調査担当マネジングディレクター、ジェンズ・ノードビグ氏(ニューヨーク在勤)は、「ドルは7月に入って急激な下降局面となっている」と指摘。「ドルを動かすのは主に、米金融当局のハト派的な姿勢が鮮明になるような状況だろう」と述べた。
ニューヨーク時間午後4時5分現在、ドルは対円で1ドル=86円41銭と、前日の86円79銭から0.4%安。一時85円95銭と、昨年11月30日以来の安値を付ける場面もあった。円はユーロに対し0.8%上げて1ユーロ=112円64銭(前日113円51銭)。一時112円3銭と、23日以来の高値を付けた。ドルはユーロに対しては0.4%上昇し、1ユーロ=1.3034ドル(前日1.3079ドル)。
カナダ・ドルは主要通貨すべてに対して値上がり。同国の5月のGDPは0.1%増と、伸びが市場予想を下回ったものの、カナダ銀行(中央銀行)が利上げを続けるとの観測が広がった。米ドルに対しては、前日比0.9%高の1米ドル=1.0279カナダ・ドル。
成長鈍化
米商務省が発表した2010年第2四半期の実質GDP(速報値、季節調整済み、年率)は前期比2.4%増と、第1四半期の3.7%増(修正値)から伸びが鈍化した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値では2.6%増だった。
モントリオール銀行のグローバル為替ストラテジスト、アンドルー・ブッシュ氏(シカゴ在勤)は「追加の景気対策が必要と考える人は、第2四半期が第1四半期から減速したことを受けて、その考えを強めるだろう」と述べた。
米商務省が30日発表したGDPの年次改定値によると、1930年代以降で最悪となった今回の米リセッション(景気後退)はこれまでの既報値よりも一段と悪化していたことが明らかになった。改定値によると、2007年第4四半期から2009年第2四半期の米経済成長率はマイナス4.1%。従来の発表では3.7%の縮小だった。
シカゴ購買部協会が発表した7月のシカゴ地区の製造業景況指数(季節調整済み)は62.3に上昇し、伸びは市場予想を上回った。この発表を受け、ドルは対円での下げを縮小した。
7月のドルの動き
ドルは今月、主要通貨すべてに対して値下がり。対円では2.3%下げ、ユーロに対しては6.2%安。円は対ユーロで3.9%下落している。
セントルイス連銀のブラード総裁は29日発表された調査報告書の中で、景気が減速し、物価が下落した場合は、連邦公開市場委員会(FOMC)が米国債の購入を再開すべきだとの見方を示した。
ナショナル・バンク・オブ・カナダの外為担当マネジングディレクター、ジャック・スピッツ氏(トロント在勤)は、「きのうのブラード総裁の発言以降、市場はリスク回避の方向で反応している」と分析。「タカ派で知られていたのが転じてデフレリスクを指摘し、それに対応するため量的緩和措置の必要性を示唆したからだ」と語った。
◎米国株:総じて上昇、消費者信頼感の上方修正で
米株式相場は総じて上昇。S&P500種株価指数は月間ベースでは過去1年で最大の値上がりとなった。消費者マインド指数の上方修正やシカゴ購買部協会が発表した7月の景況指数が前月比で上昇したことが買い材料となり、景気回復のペースが減速しつつあるとの懸念を抑えた。
生保のメットライフが上昇。利益がアナリスト予想を上回ったのが好感された。セキュリティソフトウエアのマカフィーは大幅上昇、S&P500種採用銘柄の中で値上がり率がトップだった。同社の第2四半期利益はアナリスト予想を上回った。製薬のメルクは下落。ダウ工業株30種平均銘柄の中で2番目の下落率だった。同社の売上高はアナリストの予想平均に及ばなかった。
S&P500種株価指数は前日比0.1%未満上げて1101.60。ダウ工業株30種平均は同1.22ドル(0.1%未満)安の10465.94ドル。騰落比率は5対4。
INGインベストメント・マネジメントのアセット・アロケーション責任者、ポール・ゼムスキー氏は、「明るい部分もある」と述べ、「最重要といわれるGDPの統計内容には失望した。しかし一方で、企業利益は非常に良好で、企業も前向きに受け止めている。各社とも工場を新設し、設備投資を行っている。景気は段階的に回復していくだろう」と続けた。
S&P500種は月間ベースで6.9%上昇。ブルームバーグがまとめたデータによると、7月12日以降で四半期決算を発表したS&P500種採用企業のうち77%以上がアナリスト予想を上回る利益を計上した。予想によると、S&P500種企業の今年の利益は35%増と、1988年以降で最大の伸びとなる。
第2四半期GDP
米商務省が発表した第2四半期の実質国内総生産(GDP、速報値、季節調整済み、年率)は前期比2.4%増に伸びが鈍化、予想も下回った。貿易赤字の拡大や個人消費の伸び悩みが影響した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値では2.6%増だった。
ニュースレター「ガートマン・レター」のエディターとして知られるエコノミスト、デニス・ガートマン氏は、「弱気相場の記憶が非常に長く尾を引いている」と述べ、「いまだに9%を上回る失業率だ。ここから個人消費が拡大するのかどうか疑問だ」と続けた。
7月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は67.8と、前月の76.0から低下した。速報値は66.5だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト58人の予想中央値では67が見込まれていた。
またシカゴ購買部協会が発表した7月のシカゴ地区の製造業景況指数(季節調整済み)は62.3と、前月の59.1から上昇した。ブルームバーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査の予想中央値は56.0だった。同指数は50が製造業活動の拡大と縮小の境目を示す。
メットライフが高い
メットライフは4.6%上昇。同社の第2四半期純利益は15億6000万ドル。前年同期は14億ドルの赤字だった。収入改善やデリバティブ(金融派生商品)の投資利益が寄与した。
マカフィーは9.4%高。同社4-6月(第1四半期)決算は、利益がアナリスト予想を上回った。同社はまた、携帯電話向けセキュリティーサービス「ウェーブセキュア」を提供するテンキューブを買収することで合意したと明らかにした。
一方、メルクは下落。同社が発表した4-6月(第2四半期)の売上高と糖尿病治療薬の売り上げはアナリスト予想を下回った。
◎米国債:2年債利回り過去最低-GDPに反応
米国債相場は上昇。2年債利回りは過去最低水準に低下した。米実質国内総生産(GDP)の伸びが4-6月(第2四半期)に鈍化したことから、最も安全な債券とされる米国債の需要が膨らんだ。
米国債は月間ベースで4カ月連続の上昇となった。米商務省が発表した第2四半期の実質GDP(速報値、季節調整済み、年率)は前期比2.4%増に伸びが鈍化。エコノミスト予想も下回った。米セントルイス連銀のブラード総裁は前日発表した報告書の中で、景気が減速し、物価が下落した場合には、当局は米国債の購入を再開すべきだとの見方を示した。
シティグループ・グローバル・マーケッツの先物部門の金利ストラテジスト、ジェームズ・コリンズ氏は、「米GDP統計は精彩を欠き、成長減速を示唆している」と指摘。「国債は明らかに、経済の弱さが頼みの綱となるかのような値動きをしている」と述べた。
BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4時39分現在、2年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の0.5461%と、過去最低水準を付けた。同年債(表面利率0.625%、2012 年7月償還)価格は2/32上げて100 5/32。10年債利回りは8bp低下の2.90%と、1週間ぶりの低水準。
2年債利回りは週間ベースでは4bp、月間では6bpいずれも低下した。10年債利回りは週間で9bp、月間では3bpそれぞれ低下。一方、30年債は月間ベース3月以来初めての下落。利回りは10bp上昇の3.998%。
米GDP成長率
第2四半期の米実質GDPは1-3月(第1四半期)の3.7%増から伸びが鈍化した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は2.6%増だった。
ウェルズ・ファーゴによると、米実質GDPの成長率は今年下期に年率2%をやや下回るペースになるもよう。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は、「今年7-9月(第3四半期)と下期についての当社最初の見通しによると、異常に弱い第3四半期になりそうだ」と述べた。
この日は10年債と2年債の利回り格差が一時2.35ポイントと、22日以来の最小に縮まった。1日には2.28%と、9カ月ぶりの水準に縮小。2月には2.94%と、過去最大に拡大していた。
月末の買い
投資家が月末のデュレーション(残存期間)長期化への買いを入れたことも国債相場の押し上げにつながった。
シカゴ購買部協会が発表した7月の景況指数が前月から上昇し、市場予想を上回る拡大を示すと、国債は伸び悩む場面もあった。7月のシカゴ地区の製造業景況指数(季節調整済み)は62.3と、前月の59.1から上昇した。同指数は50が製造業活動の拡大と縮小の境目を示す。
米セントルイス連銀のブラード総裁は29日発表されたデフレの可能性に関する調査報告書の中で、「ここ最近の歴史をみても、米国は日本型に最も近い」と指摘、「ネガティブショックに対する有効的な政策対応は米国債の購入を通じた量的緩和策の拡大だ」と述べた。
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、米国の経済成長下支えのため、必要に応じて「一段の政策対応を取る用意がある」と述べた。
◎NY金:3日続伸、下げ過ぎ感から買い-1183.90ドル
ニューヨーク金先物相場は3日続伸。月間ベースでは昨年12月以来の大幅安となり、安全への逃避先としての需要が高まるとの見方から買いが集まった。
月間ベースでは、7月は5%安。3月以降で初めてのマイナスとなった。6月21日に付けた過去最高値1オンス=1266.50ドルからは6.5%下げている。金連動型ETF(上場投資信託)としては最大の「SPDRゴールド・トラスト」の金保有量は週間ベースで1.5%減少し、2009年4月以降で最大の下げとなった。
リンド・ウォルドックの市場担当シニアストラテジスト、アダム・クロプフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は「金は値を戻し始めている」と指摘。「調整局面は自然に収まった可能性がある。長期保有型の投資家にとっては買い場かもしれない」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場12月限は前日比12.70ドル(1.1%)高の1オンス=1183.90 ドルで取引を終了。上げ幅は13日以降で最大。週間ベースでは0.3%下げた。
◎NY原油:続伸、終盤に持ち直し78.95ドル-月間でも上昇
ニューヨークの原油先物相場は続伸。月間ベースでは過去6カ月のうち5度目の上昇となった。
4-6月(第2四半期)の米実質国内総生産(GDP)が前期比2.4%増と伸びが鈍化したことを手掛かりに、原油は朝方の取引では2%下げる場面もあった。その後、ニューヨーク時間午後2時時点の1バレル=77.80ドルから、取引終了前の30分間に1ドル以上値を戻した。
米コンサルティング会社、ショーク・グループのアナリスト、ハムザ・カーン氏(ペンシルベニア州ビラノバ在勤)は、「相場は急激に下げ、100日移動平均である1バレル=78.25ドルをも割り込んだ」と指摘。「だが、トレーダー勢はまだこの水準はあきらめたくない状況だ」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日比59セント(0.75%)高の1バレル=78.95ドルで取引を終了した。月間ベースでは約4.3%高。過去1年間では18%上昇している。
◎欧州株:3日続落、予想下回る米GDPで-月間では上昇
欧州株式相場は3日続落。米国内総生産(GDP)の伸びが予想を下回ったことで、回復足踏みへの懸念が強まった。
セメントメーカー最大手、フランスのラファルジュは3.9%安。建設株の下げの中心となった。同社は需要見通しを下方修正した。ドイツのハイデルベルグセメントは3.4%安。同社が発表した4-6月(第2四半期)決算は利益が予想を下回った。
スペインの風力タービンメーカー、ガメサ・コルポラシオン・テクノロヒカは12%下落。同社が売上高見通しを下方修正したことを手掛かりに売られた。一方、フランス最大手の通信機器メーカー、アルカテル・ルーセントは11%高。同社は2010年通期の利益マージン目標を据え置いた。
ストックス欧州600指数は前日比0.4%安の255.35で終了。第2四半期の米GDPが前期比2.4%増、伸びが鈍化したことが材料視された。同指数はその後、7月の米消費者マインド指数が予想を上回ったことを手掛かりに下げ渋った。7月の欧州600指数は前月比で4.9%上昇。月間ベースでは3月以降で初めてプラスとなった。
ETXキャピタルのシニアトレーダー、マノジュ・ラドワ氏(ロンドン在勤)は、「米GDPはかなり弱い内容だった」と指摘。「誰もが米経済の成長に期待しているのに、なかなかそうならない。あまり芳しい月末の迎えとは言えない」と語った。
米国の第2四半期GDPはエコノミスト予想の2.6%増を下回った。27日に発表された7月の米消費者信頼感指数や、28日に発表された6月の米製造業耐久財受注も予想に届かなかった。
◎欧州債:スペイン債伸び悩む-ムーディーズ格付け見直し
欧州債市場でスペイン国債相場が伸び悩んだ。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはスペインの格付けを引き下げ方向で見直すと発表した。ポルトガルとアイルランドの両国債相場は下落した。
一方、ドイツ10年債利回りは約1週間ぶりの低水準となった。米国の4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)の伸びが予想以上に鈍化したほか、6月のドイツ小売売上高が予想よりも悪化したことが背景にある。
独2年債利回りは4日ぶり低水準を付けた。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が30日発表したユーロ圏統計によると、6月の失業率が10%の高水準にとどまったのに加え、7月のインフレ率は1.7%に加速し、1年半ぶりの高水準となった。
クレディ・スイス・グループ(チューリヒ)の債券ストラテジスト、カーステン・リノウスキー氏は「リスク回避の動きが強まり、これが欧州の主要国の国債相場の上昇に役立ったが、周縁国の国債は恩恵を受けなかった」と述べ、「ムーディーズの発表と米国市場の地合いがこうした動きをさらに強めた」と付け加えた。
ロンドン時間午後4時48分現在、スペイン10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.23%。独10年債利回りは4bp低下し2.67%となった。独2年債利回りは3bp下げ0.8%となった。
一方、ポルトガル10年債利回りは前日比10bp上昇の5.23%。独10年債に対する上乗せ利回りは12bp拡大し251bpとなった。
◎英国債:上昇、消費者信頼感悪化で景気懸念-月間でも高い
英国債相場は上昇。7月の英消費者信頼感がエコノミスト予想以上に悪化したことで、政府が歳出削減を進める中、景気回復が足踏みするとの懸念が広がった。英国債は月間ベースでも上昇した。
10年債利回りは1週間ぶり低水準を付けた。英調査会社GfK・NOPの30日発表によると、7月の消費者信頼感指数はマイナス22と、6月のマイナス19から悪化し、11カ月ぶりの低水準となった。エコノミスト予想はマイナス20だった。29日発表の経済統計では英住宅価格が7月に下落したほか、6月の住宅ローン承認件数は減少しエコノミスト予想を下回った。
BNPパリバ(ロンドン)の金利ストラテジスト、マテオ・レゲスタ氏は、「財政健全化に伴い、政府の景気への貢献は長続きしないだろう。英国債の見通しについては前向きな姿勢を変えていない」と語った。
ロンドン時間午後4時1分現在、10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.33%。6月30日以降では5bp低下した。同国債(表面利率4.75%、2020年3月償還)価格は0.64ポイント上げ111.63。2年債利回りは5bp下げ0.77%。
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更新日時: 2010/07/31 07:01 JST