日本株は反発、月例報告の上方修正観測で内需関連買い-円安で輸出も
3月11日(ブルームバーグ):東京株式相場は3日ぶりに反発。政府の月例経済報告で景気の基調判断が上方修正される見通しとの一部報道を好感し、内需関連業種に買いが入った。その他金融、小売、不動産が東証1部の業種別上昇率の上位。また、為替が円安方向に動いたため、業績懸念の後退から電機や精密機器など輸出関連も高い。
日経平均株価の終値は前日比101円3銭(1%)高の1万664円95銭、TOPIXは同7.94ポイント(0.9%)高の930.38。日経平均はこの日の高値で取引を終えた。
みずほ投信投資顧問の有村秀夫シニア・ファンドマネジャーによると、「直近指標などで国内経済が着実に改善していることを確認できていることが、内需株の見直し買いにつながった」という。また、市場の一部で観測される日本銀行の追加金融緩和が実施された場合、「不動産業界を中心に資金調達環境の改善が期待できる」と指摘した。
日本政府が3月の月例経済報告で、景気の基調判断を上方修正する方針を固めた、と11日付の日本経済新聞朝刊が報じた。中国向けなどの輸出が好調で生産活動は伸長、景気は着実に持ち直しているとしている。上方修正されれば8カ月ぶりで、同報告は15日に公表の予定。内閣府は10日、国内民間設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の基調判断を4カ月ぶりに上方修正していた。
国内景況感の改善に加え、来週16-17日に日本銀行が開催する金融政策決定会合で追加的な金融緩和策が示されるとの期待も根強く、きょうの東京市場では内需株の上昇が目立った。アコムやプロミスなどの消費者金融株が買われ、ヤマダ電機やイオンなど小売株、三菱地所など不動産株も高い。大成建設をはじめとする建設株、大和証券グループ本社など証券株も堅調。
外国為替市場では円相場が対ドルや対ユーロで前日より安く推移。為替採算の悪化懸念が後退し、ソニーが5日続伸で連日の昨年来高値を更新したほか、TDK、京セラ、ミツミ電機が日経平均のプラス寄与度上位に並ぶなど、輸出関連株にも投資資金が向かった。
日本時間午前11時に中国で発表された2月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.7%上昇と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値2.5%上昇をやや上回ったことを受け、同国でのインフレ加速抑制に向けた金融引き締めに対する警戒感が浮上。発表後に上海総合株価指数など中国株が下落転換した影響で、日経平均は午後の取引開始直後から急速に伸び悩み、一時24円高の1万588円まで上げ幅を縮小した。
丸三証券の牛尾貴投資情報部長によると、中国のCPIが予想比で上振れ、「当局が全国人民代表大会(全人代)明けにも利上げに動くとの思惑で、リスク資産である株式への売り圧力がいったん強まった」という。しかしCPIの伸び率は、温家宝首相がインフレ率の上限ターゲットに据える3%を超えなかったうえ、「2月は春節(旧正月)の影響もあり、3月以降を見極める必要がある。実際に早期利上げに動く可能性は低い」と同氏。株売りは続かず、日本株も終了にかけ持ち直した。
チャート明るく先高観
日経平均は、先週末の日本銀行による追加金融緩和観測、米雇用統計などを受けた5日と8日の大幅高で、1月15日の高値と2月9日の安値を上下の起点に形成された「三角保ち合い」を上放れ、一目均衡表の抵抗帯(雲)の上限(1万502円)も明確に上回ってきた。チャート分析上では、強気相場入りとなっている。
日興コーディアル証券・国際市場分析部の橘田憲和ストラテジストは「国内外での不安材料が解消されつつあり、下値不安が薄れてきた」と指摘する。株価指数先物・オプション3月限の特別清算値(SQ)算出前の最終売買日を迎え、「日経平均の銘柄入れ替えの影響が多少気になるが、ロールオーバー(期先物への乗り換え)は順調に進んでいるようで、波乱なくSQを通過する可能性が高い」と見る。
東証1部の売買高は概算で18億2879万株、売買代金は1兆1548億円。値上がり銘柄数が1280、値下がり281。業種別指数は29業種が上昇、4業種が下落。
マグロ養殖関連買い集める、鉄鋼安い
個別では、東都水産や林兼産業などマグロ養殖関連株が買いを集めた。欧州連合(EU)のマグロ国際取引禁止支持の朝日新聞報道を受けて、養殖需要が増えると見込まれた。水産卸のホウスイは18%高と急騰。独立系調査会社ティー・アイ・ダヴリュが、人件費削減による収益性改善やアジア向け製品出荷の伸びで、2010年12月期営業損益の黒字転換は確実との見方を示したスミダコーポレーションも大幅高。
半面、新日本製鉄、JFEホールディングスなど鉄鋼株が利幅圧迫懸念で売られた。ブラジル資源大手ヴァーレが10年度の鉄鉱石の価格交渉をめぐり、日本の鉄鋼各社に09年度と比べて90%以上の値上げを提示した、と11日付日経新聞が報じている。第三者割当増資などで資金調達すると発表したセキュアード・キャピタル・ジャパンは、1株価値の希薄化などが警戒され続落。
国内新興3市場は、ジャスダック指数が前日比0.2%安の51.80、東証マザーズ指数は0.1%安の416.82、大証ヘラクレス指数は0.6%高の589.87といずれも小動きだった。個別では自社株取得方針を示したヨンキュウが急伸。エスクリ、フェローテック、フルスピード、ウェッジホールディングスが高い。半面、モルガン・スタンレー証券が投資判断を「イコールウエート」に引き下げた楽天が売られ、比較.com、スターバックスコーヒージャパンも下げた。
-- Editor:Shintaro Inkyo, Tetsuzo Ushiroyama、Makiko Asai
記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野敏 Satoshi Kawano skawano1@bloomberg.net
更新日時: 2010/03/11 16:40 JST