FOMC:「長期にわたり」低金利継続、欧州危機も警戒(Update2)
6月23日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)は22-23日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を「長期にわたり」ゼロ近辺にとどめる方針をあらためて示した。また、欧州の債務危機が米国の経済成長に打撃を与える可能性について言及した。
声明は「金融の状況は総じて経済成長を支える方向性を弱めており、これは主に国外の展開を反映している」と指摘した。インフレは鈍化していると言及。景気回復については「進行中」とし、4月の「引き続き強くなっている」から変更した。先行きの回復ペースについては当面、「緩やかなものになる」との見通しを維持した。
新築住宅販売件数が減少するなか、バーナンキ議長率いるFRBは、株価を押し下げ、消費者や企業の信頼感の脅威となっている欧州債務危機の悪影響への対応にも迫られている。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は「経済成長見通しはシフトダウンされた。声明は金利据え置きがしばらく続くことを示唆している」と述べた。同氏の利上げ開始時期予想は2011年半ば。
FOMCは労働市場について「徐々に改善しつつある」とし、4月の「労働市場の改善が始まった」から修正した。個人消費については失業や「厳格な信用条件」により「依然抑制されている」との判断を示した。
インフレは下降トレンド
FOMCはFF金利の誘導目標を2008年12月以降、ゼロから0.25%のレンジに据え置いている。声明は高い失業率と低いインフレ率、落ち着いたインフレ期待が「長期にわたって、FF金利の異例な低水準を正当化する可能性が高い」と指摘した。この文言は2009 年3月以降、毎回の声明で使用されている。
ブルームバーグ・ニュースが今月実施したエコノミスト調査の予想平均によれば、利上げは来年第1四半期まで実施されない。欧州危機を受け、バークレイズ・キャピタル、クレディ・スイス、UBS、ドイツ銀行が利上げ開始時期の予想を数カ月、先送りした。
米金融当局はインフレについて「当面、抑制された状態が続く可能性が高い」と予想。「エネルギーなどの商品価格はこの数カ月で幾分か下落し、基調的なインフレは下降トレンドにある」としている。
カンザスシティー連銀のホーニグ総裁は4回連続で反対票を投じた。低金利を長期にわたって維持することを表明すると、資産バブルをあおり、利上げに向けた柔軟性を限定する可能性があるとの見解をあらためて示した。
欧州懸念
ギリシャの債務問題が波及するとの懸念が強まり、欧州政府は5月、7500億ユーロ規模の緊急支援の枠組みで合意した。
FRBは5月9日に緊急会議を開き、欧州やカナダ、日本の中銀との通貨スワップ取り決めの再開を承認した。
声明は特別流動性供給プログラムで現在、唯一残っているターム物資産担保証券融資ファシリティー(TSLF)には言及しなかった。商業用不動産ローン担保証券市場の活性化を狙った同プログラムは6月30日に終了する予定。
バーナンキFRB議長は9日、金融市場が「引き続き安定化している」との見方から欧州危機の米国への影響は「わずか」なものにとどまるとの見解を明らかにした。一方、タルーロFRB理事は5月の議会証言で、欧州の債務危機が世界経済の回復を妨げる可能性があると発言していた。
前回のFOMC会合以降、S&P500種は約8%下落。5月の民間雇用者数は4万1000人増と、4月の21万8000人増から大幅に伸びが鈍化した。住宅着工件数は10%減少し、年初来の最低水準に落ち込み、中古住宅販売件数は4カ月ぶりの大幅減。小売売上高は8カ月ぶりにマイナスとなった。
高まる成長リスク
イートン・バンス・マネジメントの運用担当者、エリック・スタイン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「4月の前回会合以降、リスクは高まっている」と発言。声明は「FOMCが2010年から11年にかけて政策金利を据え置くことを強く示唆している」と述べた。
米金融当局者は22-23日の会合で最新の四半期経済予測を示した。グラムリー元FRB理事らエコノミストは当局者が成長見通しを下方修正したとみている。
経済予測
4月時点のFRB理事と地区連銀総裁の成長率の予想中央レンジは今年が3.2―3.7%、2011年が3.4-4.5%だった。FRBは7月14日に最新の予測を含むこの日の議事録を公表する。
この日は副議長としてドナルド・コーン氏(67)の最後のFOMC会合となった。この日で勇退する予定だったが、後任が就任するまで理事としてFRBにとどまることに合意している。4月にオバマ大統領はコーン副議長の後任としてサンフランシスコ連銀のイエレン総裁と、2人の理事候補を指名したが、上院での承認が済んでいない。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba Editor:Tsuneo Yamahiro記事についての記者への問い合わせ先:Scott Lanman in Washington at slanman@bloomberg.net.
更新日時: 2010/06/24 06:31 JST