5月29日(ブルームバーグ):バークレイズ・キャピタル証券によると、国内投資家の米国債格下げ予想は「異例」の根強さだ。格下げは米国債とドルの相場に影響するとの見方も9割を占めた。
同社が今週前半に実施した投資家調査では、米国が年内に「トリプルA」の格付けを失う可能性があるとの回答が32.2%。1月下旬に行った同様の調査では33.8%だった。実際に格下げされた場合、米国債とドルの相場に「影響」すると回答は89.8%に達した。
高橋祥夫チーフ外債ストラテジストは28日のインタビューで、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の格付け見通しでは「ネガティブ(弱含み)」は「2年間で3分の1の格下げ確率」を示すと指摘。「約3分の1の投資家が年内の米格下げを想定し続けている状況は異例だ」との見方を示した。
S&Pは21日、最上級にある英国の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。「債務負担」の増大を理由に挙げた。市場では、米国の格付け見通しも引き下げられるとの観測が浮上した。
日本の円建て国債格付けを18日に「Aa2」に引き上げた米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは27日、米国について、債務の状況が「著しく悪化した」と指摘。ただ、最上級「Aaa」格付けの見通しは安定的との見解を示した。
格付け会社フィッチ・レーティングスは28日、米政府による大量の国債発行を指摘しながらも、米国の信用格付けを見直すのは「時期尚早」との見解を示した。
財政赤字が重石
高橋氏は、米長期金利の上昇とドル安の背後には「投資家の米格下げ懸念がある」と分析した。米財務省によると、海外投資家の米国債保有額は3月に3兆2652億ドル。日本は6867億ドルで、中国(7679億ドル)に次ぐ規模だ。米10年物利回りは27日、3.74%と昨年11月以来の高水準を記録(価格は下落)。主要6通貨に対するドル相場は22日、79.81と約5カ月ぶりの安値をつけた。
米国は景気刺激策に伴い、財政赤字が拡大する見通しだ。米議会予算局(CBO)は今会計年度(2008年10月-09年9月)の財政赤字が過去最大の1兆7500億ドルに上るとの試算を公表。赤字幅は前年度の約4倍。国内総生産(GDP)に対する比率も約13%となる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、最大3000億ドルの米国債購入計画を実施中だ。昨年6月から4700億ドル台だった保有残高(週次)は4月1日時点から増え始め、今月27日時点で6000億ドルを突破した。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引によると、米国債が向こう5年間に債務不履行(デフォルト)に陥るリスクに備える保証料を示すCDSスプレッドは28日、47.05bpと1カ月半ぶりの高水準に達した。米国債1000万ドルに対し、4万7050ドルの保証料を意味する。2月24日には過去最悪の100bpをつけた。
バークレイズ・キャピタル証券は05年5月から毎週、米10年債利回りと円相場の上昇・下落見通し、米欧国債のどちらが魅力的かの3点と、市場関係者の関心が高いテーマに関し、日本国内の主な外債投資家を対象にアンケートを実施している。今週は59社が回答した。
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