5月20日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は20日、日本経済に関する年次4条協議終了後に声明を発表し、世界金融危機に伴う日本の深刻な景気後退への政府・日銀の対応について「日本の政策当局は、非常に必要とされていた財政刺激策および金融政策による支援により、強力な対策を取ってきた」とした上で、「これら対策は今年および来年の経済成長率に大きく寄与しよう」との見解を示した。
その一方で、声明では「見通しには依然不透明性が残っている」とし、「2010年には持続的な経済回復が見込まれるが、これは世界経済回復の時期とそのペースに大きく依存している」と指摘。インフレ率については「景気後退を受け、11年まで若干のマイナスにとどまろう」との見通しを示した。
日銀の金融政策運営については「日銀は政策金利引き下げ、金融市場の安定確保に資する方策、企業資金調達支援のための対策といった政策により、タイングよくかつ効果的に政策対応を行ってきた」と評価。その上で「代表団は、今後も緩和的な金融政策の維持が必要であり、見通しがさらに悪化し、金融部門にストレスが再びかかるような状況が生じた場合には、より一層支援を強化する必要も出てくるだろうとみている」としている。
IMFは、IMF協定第4条の規定に基づき、加盟各国との協議を通常毎年行っている。IMFアジア太平洋局シニア・アドバイザーのジェームズ・ゴードン氏率いる代表団は今月12日から20日にかけて訪日し、日本政府高官と日本銀行幹部や、民間部門の代表と最近の経済動向や今後の政策課題について協議した。
経済回復後は消費税上げも
財政政策に関しては「下振れリスクに対応するために引き続き柔軟な対応が求められる」とし、「仮に景気後退が予想以上に長引いた場合には、追加的な刺激策もあり得る」との見方を示した。一方、公的債務の急増と高齢化に伴う財政圧迫を考えると、危機収束後に取るべき中期的な財政健全化戦略が重要とし、「歳出面での施策と同時に、経済が回復の途についた暁には消費税の引き上げを行うとのコミットメントを含む、包括的な税制改革が必要となろう」との見解を示した。
声明では、金融部門での政策について「引き続き経済減速長期化のリスクに対して金融システムの耐性を強化することに重点を置くべきである」と強調。与信コストの上昇と保有株式の評価損により銀行の収益が悪化する一方で、企業部門は世界需要の急激な落ち込みと厳しい金融状況の影響を強く受けているとした上で、①銀行の自己資本および収益率強化②銀行の株式保有リスクの低減③厳しい状況に置かれているが存続可能な企業の再建促進-を今後の優先課題に挙げた。
声明はまた、「中期的に内需と外需のバランスの取れた成長を確保するためにも、構造改革が必要」と指摘。これについて「農業部門および医療、保育、高齢者介護といったサービス部門における規制緩和に向けての積極的な取り組みは、経済成長の推進と雇用創出に寄与する」と評価した。対日直接投資の促進や金融市場の発展、製品市場の柔軟性を高める改革の一層の推進は、「内外需のバランスを確保し、世界経済の変化に日本が適応する助けとなるだろう」としている。
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