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民主党政権誕生なら金利上昇・円高か、財源不足で国債増発リスク意識

  6月23日(ブルームバーグ):麻生太郎内閣の支持率低下を受けて、衆院解散・総選挙後に政権交代の実現性が高まっている。金融市場では民主党政権が誕生すると、財源不足による国債増発圧力が高まり、金利が上昇しやすいとの見方が一般的だ。円の国際化や日本銀行の金融政策転換に関する憶測から円高リスクが強まるとの見方もある。

  次回衆院選(任期満了は9月10日)の前哨戦と位置づけられた名古屋、さいたま市長選に続き、14日の千葉市長選でも与党系候補が敗れた。鳩山邦夫前総務相の更迭をめぐる混乱もあり、各種世論調査では麻生内閣の支持率が急落し、次期衆院比例選の投票先でも民主は自民を大きく上回っている。

  UBS証券チーフストラテジストの道家映二氏は、「市場は、民主党政権誕生に備え、長期金利への影響を整理し始めたようだ」と指摘。民主党への一般的なイメージは「ばらまき財政」と「日銀の独立性尊重」であり、金融緩和政策に対し、消極的な印象との見方を示した。

  民主党が4月に発表した「生活・環境・未来のための緊急経済対策」によると、2年間で21兆円(真水)の大型財政出動を実施する方針を掲げている。財源については、予算の総組み替え(税金の使い方の抜本改革)を実施し、国債の増発および増税なしでまかなう考えだ。

  財政政策に関して、予算の無駄を省くことや埋蔵金(特別会計積立金)の活用により、財源を捻出する方針を示しているが、市場では現行の行財政改革だけでは、財源が足りず、大量の国債発行につながると懸念する向きが多い。

  JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野雅明氏は、「鳩山由紀夫代表は4年間消費税を上げないと言っているが、問題の先送りにならないか疑念を持っている」と語った。さらに、「予算を節約し、無駄遣いを止めて財源にするとしても、1回限りの話。高齢化で社会保障関係費は増える宿命にあり、長い視野での議論が必要」と説明した。

  みずほ総合研究所シニアエコノミストの草場洋方氏は、「ばらまきと揶揄(やゆ)されても仕方ない子供育児手当案など、歳出が確実に拡大方向にある」と分析。省庁改革やコスト削減での財源手当てについても、「国債増発に頼らざるを得なくなるのが実情」と予想する。

  財政再建に向けた大胆な政策転換がない限り、財政赤字が拡大する方向に変化は出ない。企業収益が伸び悩み、法人税も減少する見通しの下、JPモルガン証の菅野氏は「大量の国債を発行しないと回らない。日銀に国債購入拡大を打診するのではないか」と述べた。

  一方、日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは実際に政権を取れば、国民受けを狙った姿勢はあらためざるを得ないと指摘。「絵に描いた餅のような予算案になるとは考え難く、政権が代わっても、経済、特に財政政策が大きく転換することはない」と予想している。

         長期金利は1.7%目指す展開も

  長期金利の代表的指標とされる新発10年債利回りは、今月11日に1.56%とおよそ8カ月ぶりの水準まで上昇した。景気回復期待のほか、自民・公明連立政権の大規模補正予算策定を受けて、7月からの国債増発も織り込んだ格好。

  バークレイズ・キャピタル証券チーフストラテジストの森田長太郎氏は、「民主党が政権を取ったとしても、金利が低下する材料はない」という。そのうえで、「政権交代に伴う財政リスク、潜在的に継続する景気の楽観的見通し、それに伴う株価上昇などが複合的に合わさって今夏に長期金利が1.7%を目指す展開も考えられる」と見込んでいる。

  投資家は、債券利回りに財政リスクプレミアム(金利の上乗せ)が反映されないと買いを入れにくい。損保ジャパン・アセットマネジメント運用部課長の平松伸仁氏は「大きな政府に近い財政政策になる可能性がある。鳩山代表の下でばらまき政策が打ち出されるようだと、より強く財政リスクプレミアムを求めていくことになる」と述べた。

        円の国際化や日銀政策転換リスクも

  金融・為替政策に関しては、民主党の中川正春「次の内閣」財務相や仙石由人議員の過去の発言を背景に、円の国際化や日銀の金融緩和政策の転換を意識する見方もある。

  ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストは、「円の国際化は財務省が1980年代半ば以降、主張してきた政策構想で、円高が選好されてきた点に注意すべき。民主党政権になった場合には、国際金融市場における円のプレゼンスを高めるという名目で円高バイアスのかかった政策が取られるリスクに注意する必要がある」と分析。また、金融政策に関しては、「引き締め気味の政策スタンスを許容する可能性が高い」とみている。

  また、三菱UFJ証券チーフストラテジストの石井純氏は、中川氏の発言が蒸し返され、「ドル危機論者の投機筋にとっては格好の仕掛け材料となり、ドル・米国債相場を不安定化させる公算を否定できない」との見方を示している。

  中川氏は先月、ドルの将来価値に懸念を示し、ドル建て米国債の購入に消極的な姿勢を示したうえで、日本政府が米政府に対し円建て米国債(サムライ債)の発行を提起する選択肢もあると提案した。一方、仙石氏は以前、日本の景気悪化が、ゼロ金利・量的緩和政策の採用による利子所得の喪失によってもたらされたと批判していた。

  これに対して、政治要因で市場は動かないとの冷めた見方も多い。JPモルガン証の菅野氏は、「民主党政権になっても、金融政策が急に引き締めに転じることはないだろう。出口政策に影響することはないと思う」と予想。「大きな資金移動はなく、ドル・円は90-120円のレンジ相場」を予想している。

  日本経済が、外需依存から脱却して、内需主導の成長へ構造転換できるのか。民主党政権に対する期待と不安が渦巻く夏になりそうだ。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 Yumi Ikeda yikeda4@bloomberg.net